二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て23」 ( No.467 )
- 日時: 2016/09/05 10:27
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
「り、リビング・デッド?」
「そんなドマイナー種族を選ぶのか……?」
「確かにあの死神デッキには、リビング・デッドの《ボーン・アミーゴ》がいるけど……」
暁が宣言した種族は、一同を騒然とさせる。
リビング・デッド。デュエル・マスターズの初期に少数現れた種族で、最近ではほとんどその姿を見せていない。エピソード1では、主にエイリアンのサイキック・クリーチャーとしてそれなりの数が出ているものの、サイキックはメインデッキには入らないので、それがあまり意味があるようには思えない。
登場時期がかなり古く、それゆえにカードパワーも総合的に低い。主力にするのは愚か、その一種族だけでデッキを組むだなんて、正気の沙汰ではない。
「あきら……なにを、考えてるの……?」
「どーだろ。たまたま一番多く持ってたのがそれだから、こうするしかないんだよね」
そんな風に言う暁。その言が、嘘か真かは分からない。
始まる対戦。暁には超次元ゾーンもなかった。サイキック・クリーチャーを軸にするわけでもないようだ。
「先攻は私だね。《ダッシュ・リピート》をチャージして終了だよ」
「……ドロー、《マッカラン》をチャージ……終了」
暁のマナに火のカードが見えた。リビング・デッドは闇の種族。この時点で黒赤は確実に入っている。恐らくは、美琴戦と同じく、黒赤のビートダウンだろう。
「私のターン。《死神城 XENOM》をチャージして、2マナで《さまよう者ブレイン・イーター》を召喚するよ」
「……《獣達の挽歌》をチャージ……2マナで《小さな勇者ゲット》を召喚……ターン終了」
2ターン目。互いにクリーチャーを繰り出す。
暁はバニラの《ブレイン・イーター》。恋は強制攻撃持ちのウィニー《ゲット》。
「れんちゃんのデッキはステロイドみたいね。《無頼勇騎》が多そうだけど」
「単純に補助呪文やトリガーを積んでいるだけかもしれませんよー?」
「なんにせよ、赤単じゃないようだから、《鬼切丸》は怖くなくなったな」
恋のマナには自然単の《獣達の挽歌》が置かれた。これで《鬼切丸》が強化される条件が満たされなくなったので、赤単で恐れるべき一枚が消えたことになる。
「《GENJI・ファイアー》をマナに置いて、3マナ! 《死神亡者ボーン・アミーゴ》を召喚だよ! 《ブレイン・イーター》でシールドをブレイク!」
「殴るんだ……トリガー、ない……」
先手を取ったのは暁だった。早速、恋のシールドが一枚割られる。
「殴るだけならバニラにもできるし、やっぱり黒赤のビートダウン……《喧嘩屋タイラー》をチャージ……3マナで《情熱のD・H ユウ》を召喚」
情熱のD・H(デュエルヒーロー) ユウ C 火/自然文明 (3)
クリーチャー:ヒューマノイド/ヒーロー 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スピードアタッカー
「っ……! そうか、あの人もヒューマノイド——」
「《ユウ》で《ブレイン・イーター》攻撃……ブロック、する……?」
スピードアタッカーの《ユウ》で《ブレイン・イーター》を殴り返しにかかる恋。暁は《ボーン・アミーゴ》でブロックするという選択肢があるが、恋の場には《ゲット》もいるので、《ブレイン・イーター》の破壊は免れないだろう。
つまり暁は、《ボーン・アミーゴ》で《ユウ》か《ゲット》と相打つか、アタッカーとして場に残すかの選択を迫られたわけだが、
「うー……《ボーン・アミーゴ》でブロックだよ! 相打ち!」
「だったら《ゲット》で《ブレイン・イーター》を攻撃……パワー2000どうしだけど、《ゲット》はパワーアタッカー+1000……こっちの勝ち」
暁は《ユウ》との相打ちを選択。そして、続く《ゲット》が《ブレイン・イーター》を討ち取った。
「まだまだ! 《デーモン・ハンド》をチャージ! 4マナで《汚れた者スケルトンソルジャー》を召喚するよ!」
次に現れたのも、当然ながらリビング・デッド。4マナパワー3000という、闇文明でも今ではあり得ないような酷いスペックのバニラクリーチャーだ。
余談だが、《スケルトンソルジャー》はフレーバーテキストすら存在しない、完全な空欄のテキストを持つクリーチャー。正真正銘、真性のバニラクリーチャーである。
「ん……《鬼切丸》をチャージ。3マナで《爆炎シューター マッカラン》を召喚……マナ武装3を達成してるから、《スケルトンソルジャー》とバトル」
しかし、暁のクリーチャーは即座に処理されてしまう。
《マッカラン》のマナ武装で強制バトル。さらに、バトル時《マッカラン》はパンプアップし、パワーが4000。一方的に《スケルトンソルジャー》を討ち取った。
「うぅ、いつもやってることを、やられ返されてるみたいだよ……」
「あきらがいつもやってることを、私が……そう考えると少し、気持ちいかも……」
いつもの二人の対戦なら、暁が強制バトルで恋のクリーチャーを破壊するのだが、今回はそれが逆の立場になっている。
「《ゲット》は強制攻撃能力があるから、シールドをブレイク……ターン終了……」
「私のターン……ここは……こうかな。《XENOM》をマナチャージして、1マナで《ねじれる者ボーン・スライム》を召喚。続けて4マナで、《闇をあばく者スケルトン・シーフ》を召喚!」
闇をあばく者スケルトン・シーフ C 闇文明 (4)
クリーチャー:リビング・デッド 2000
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、自分の墓地からリビング・デッドを1体選び、自分の手札に戻してもよい。
リビング・デッド専用サポートクリーチャー、《スケルトン・シーフ》。墓地のリビング・デッドを回収するという、如何にもリビング・デッドにはおあつらえ向きの能力だが、種族を選ばないサルベージクリーチャーなら他にもいる。マイナー種族の専用サポートでも、やることが単純なサルベージでは、固有性もなにもない。他の汎用性の高いカードの下位互換のようになってしまっている感は否めなかった。
「《スケルトン・シーフ》の能力で、登場時、墓地のリビング・デッドを回収するよ。戻すのは《ボーン・アミーゴ》! ターン終了!」
「私のターン、ドロー……ん」
暁も展開してきたが、それほど強いクリーチャーはいない。やはり、リビング・デッドという種族は、それだけで力不足だ。
恋はカードを引く。そして、引いたカードに視線を向けた。
「ここでこれ……やるしかない。《ファルゲン》をチャージ……4マナで《ゲット》を進化」
恋は手札の《ファルゲン》をマナに落としつつ、マナのカードを四枚、タップする。
そして手札のカードを、場の《ゲット》の上に重ねて置いた。
「劣化《ヴァルボーグ》上等——《機神装甲ヴァルディオス》」