二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て24」 ( No.468 )
- 日時: 2016/09/05 22:54
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
機神装甲ヴァルディオス SR 火文明 (4)
進化クリーチャー:ヒューマノイド 6000
進化−自分のヒューマノイド1体の上に置く。
バトルゾーンにある自分の他のヒューマノイドすべてのパワーは+1000される。
W・ブレイカー
《ゲット》から進化したのは、《機神装甲》の名を持つ進化ヒューマノイド、《ヴァルディオス》。最初期の進化クリーチャーの一体であり、スペック自体は今のカードと比べると大したことはないが、暁の方も大した力のない種族を使っているので、どっこいどっこいだ。
いや、むしろ攻められているこのタイミングで出て来る進化クリーチャーは、暁にとっては脅威である。
「うわ……ここでそれ!? で、でもまだブロッカーが——」
「そのくらいは考えてる……まだ終わらない。残った1マナで呪文……《獣達の輪舞》」
恋はあまった自然のマナを一枚タップして、呪文を唱える。
「私は《ヴァルディオス》を選択……このターン、選ばれたクリーチャーのパワーは+2000……そして、初めてバトルに勝ったらアンタップする」
「ってことは、ブロックしても無意味ってこと……!?」
「そう……《ヴァルディオス》で攻撃、Wブレイク」
《獣達の輪舞》。軽いとはいえ、単体では取り立てて強いわけでもなく、状況も選ぶので腐りやすいカードだが、このタイミングで唱えられると痛烈だ。
防戦になりつつある暁に、さらに押し込んでいく。
「Wブレイクをブロックできないなんて、きっつ……!」
ブロックしてもアンタップされるなら、ブロックする意味はない。甘んじてWブレイクを喰らう。
「《マッカラン》で追撃……シールドをブレイク」
「なんとかトリガーで倒せないかなぁ……ブロックはしないよ」
トリガーを頼りに攻撃を通すが、無情にもそれはS・トリガーではなかった。
これで暁のシールドは一枚。たった1ターンでかなり追い込まれてしまった。
「……! いいカードを引いたよ」
しかし暁はここで、この状況を打開するカードを引いたようだった。
「《ダーク・リバース》をチャージ! 3マナで《ボーン・アミーゴ》を召喚!」
まずは普通にブロッカーを召喚。これで恋の猛攻をさらに防げる。
だが、それだけではない。暁は、恋の《ヴァルディオス》に牙を突き立てる。
「続けて3マナ! 呪文《マグマ・ゲイザー》!」
残りのマナをすべて払い切り、呪文を詠唱する。
しかし、その呪文に、恋が首を傾げた。
「……なんだっけ」
「これは、私のクリーチャー一体に、Wブレイカーとパワーアタッカー+4000を与える呪文だよ。その能力を付けるのは《スケルトン・シーフ》!」
《スケルトン・シーフ》はこのターン限定でパワーアタッカーとWブレイカーも得た。
だがこの場合、打点は問題ではない。
「《ヴァルディオス》には味方ヒューマノイドへのパンプアップ能力があるけど、自身は対象外……」
「《スケルトン・シーフ》のパワーは2000だから、パワーアタッカー+4000で6000、相打ちに持ち込めるわね」
貧弱なリビング・デッドでは、少しでも大きなクリーチャーが出て来ると途端に対処できなくなるが、これで暁は、対処に困る《ヴァルディオス》を殴り返すことができる。
「さぁ、バトルだよ! 《スケルトン・シーフ》で《ヴァルディオス》に攻撃!」
「受けるしかない……」
「相打ちでどっちも破壊だね! ターン終了!」
《マグマ・ゲイザー》で強化された《スケルトン・シーフ》と、《ヴァルディオス》がぶつかり合い、両者ともに破壊されて墓地へと送られる。
「……ここまでやって相打ちなのか。ディスアド2に対して一体除去、わりに合わないな」
「いや、《ヴァルディオス》は進化クリーチャーだから、進化元と合わせて2:2の交換じゃないかな」
などと、外野ではアドバンテージの計算をしているが、スペックが悲しい《ヴァルディオス》と非力種族のリビング・デッドを比べたところで、あまり意味があるような気はしない。
なんにせよ暁のこの選択は、生き残るためには必要なことだ。非効率的でも間違いではないはず。
「《デュエマ・ボーイ ダイキ》をチャージ……2マナで《無頼勇騎ゴンタ》を召喚……《マッカラン》でシールドを攻撃……」
「《ボーン・スライム》でブロック!」
「ターン終了……」
赤単ではないが、恋のデッキはヒューマノイドのビートダウン。ヒューマノイドはウィニーに恵まれる反面、大型クリーチャーは少ない。それこそ、先ほどの《ヴァルディオス》のような進化クリーチャーなどに、フィニッシャーを頼ることになってしまう。
その《ヴァルディオス》が消えた今、恋のデッキのフィニッシャーも、もうほとんどいないだろう。暁はさらに粘りを見せる。
「恋の手札はもうないか……だったら《XENOM》はマナ行きだね。で、2マナ払って、呪文《ダーク・リース》! 墓地のクリーチャーを一体回収するよ。戻すのは《スケルトン・シーフ》! そして4マナで《スケルトン・シーフ》を召喚! 能力で《ボーン・スライム》を回収して、残った1マナで《ボーン・スライム》を召喚だよ!」
墓地回収を連打して、クリーチャーを並べつつブロッカーも揃える暁。恋の猛攻に徹底的に抗っている。
「暁とは思えない粘り強さを見せるわね」
「いつもはあきらちゃんが攻めて、こいちゃんが守る側ですけど……」
「立場が完全に逆転しているね。これは面白い」
普段は暁が赤単のドラゴビートダウン、恋が白単の天門で、暁が攻め、恋が守るという立場だった。
しかし今は、恋がヒューマノイドの軍団で攻め、暁がリビング・デッドを何度も回収して守るという構図だ。
そんないつもとは逆の光景に、一同は見入っていた。
「……ん」
「ん? どしたの恋?」
「引いた……とりあえず、使っとこう……呪文」
手札がない恋は、トップのカードをただ投げるだけの作業になったが、ここでなにか引いたようだった。
「5マナで呪文……《ミラクルとミステリーの扉》」
「わ、プレ殿だ。これいいの?」
「問題ないわ。レギュレーションは種族統一だけだから」
「ちゃんと説明しとけよ、最初に」
「山札の上から四枚を、捲る……」
捲られた四枚は《クリムゾン・ハンマー》《トルネード・フレーム》《機神装甲ヴァルボーグ》《デュエマ・スター タカ》。
「……選んで」
「選んでって、選択肢ないじゃん……《デュエマ・スター タカ》をバトルゾーンに」
光文明なんて見えていないので、ただの数合わせとして入れたとしか思えない《デュエマ・スター タカ》だが、今回は正にミラクルで現れた。
このミラクルは、暁にとっては少々困るミラクルだが。
「《タカ》はスピードアタッカー……攻撃」
「それは……通すよ。シールドチェック!」
《タカ》のパワーは3500。《ボーン・アミーゴ》でも相打ちに持ち込めない。
ここでもトリガー頼りに攻撃を通す暁。そして、
「やっとトリガー来た! 呪文《グシャット・フィスト》! パワー3000以下の《マッカラン》を破壊するよ!」
「む……でも、ブロッカーは倒す……《ゴンタ》で攻撃」
「《ボーン・スライム》でブロック!」
S・トリガーで《マッカラン》を破壊し、殴り手を減らす。追撃の《ゴンタ》が《ボーン・スライム》を打ち倒すが、まだブロッカーは残っている。
「ターン終了……その時、《タカ》はアンタップする……」
「アタッカー二体……まだ、耐えられるかな」
ギリギリのところで踏みとどまっているとはいえ、暁は恋のアタッカーを処理できず、かなり厳しい状況だ。
いくらブロッカーを並べても、恋のアタッカーを除去できなければ、次々と殴り手が出て来るだけ。どうにか除去カードを引けなければ、暁に勝ち目はない。
「! ブロッカーいるとは思わなかったけど、色合わせに入れておいてよかったよ。マナチャージなしで、3マナ! 《メテオ・チャージャー》! ブロッカーの《タカ》を破壊するよ!」
というところで、暁は《メテオ・チャージャー》を唱える。
《タカ》はヒューマノイドだが、光と火文明の多色クリーチャーで、ブロッカーを持っている。暁お得意のブロッカー破壊の餌食となり、殴り手が一体減った。
「さらに4マナ! 《スケルトン・シーフ》を召喚! 《ボーン・スライム》を回収して、そのまま召喚!」
「私のターン……6マナ、《切断伯爵ムラマサ》を召喚」
切断伯爵ムラマサ UC 火文明 (6)
クリーチャー:ヒューマノイド 3000
このクリーチャーが攻撃する時、パワー2000以下の相手のクリーチャーを1体破壊してもよい。
「日向さん、空城さんの小型ブロッカーを潰して、強引に突破する気ね」
《ムラマサ》は攻撃時に小型クリーチャーを焼くヒューマノイド。重さに対してパワーが低く、火力も低いため、やはりスペックは良くないが、今の暁を詰めていくための一手としては十分だ。
「《ゴンタ》で攻撃……」
「《ボーン・スライム》でブロック!」
「ターン終了……」
「私のターン! 呪文《デビル・メディスン》! 墓地からクリーチャーを二体回収するよ! 回収するのは《ボーン・スライム》と《ブレイン・イーター》! そして2マナで《ブレイン・イーター》を、さらに2マナで《ボーン・スライム》を二体召喚!」
暁もこれで手札が切れた。
あらん限りのクリーチャーを展開し、次の恋の攻撃を、ギリギリ耐えられるだけのクリーチャーが並んでいる。
とにかく防ぎ、凌ぎ、耐えて、生き残って、逆転のチャンスを窺う暁。
しかし恋は、この対戦を終わらせにかかる。
トップから引いたカードを、恋はそのまま場のクリーチャーの上に重ねる。
「……《ゴンタ》を進化」
そして、現れたのはペンを握る唯一のヒューマノイド——
「——《大作家 シンボー》」