二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て36」 ( No.480 )
日時: 2016/09/10 21:40
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)

 《預言者マリエル》に続き、《イノス》を進化元として召喚された《聖霊王アルカディアス》。
 これで誰も、パワー3000以上のクリーチャーは攻撃できず、光以外の呪文も唱えられない。
 あらゆるプレイングに制限をかけられてしまった。
「呪文も封じられて、どうやって《マリエル》を退かせばいいのよ……私のターン」



美琴ターン
マナ:14
手札:3
盾:4
場:《バックベアード》



 攻撃もできないうえに、《マリエル》を除去するための呪文も制限され、全員がかなり動きにくい場だ。
 八自身もこの状況は息苦しいはずだが、シールドが少ないから、攻撃の制限の恩恵を最も受けているとも考えられる。直接的なドバンテージではないが、精神的には上位に立っていられるのだろう。
「とりあえず、《ドルベロス》を召喚。続けて《鬼面聖者ザンバラ》も召喚。《ザンバラ》の能力で、登場時シールドを一枚追加して、山札の上三枚を墓地へ。ターン終了」
 美琴は特にできることもないようで、後続を遅らせる《ドルベロス》に、割られたシールドを穴埋めするように《ザンバラ》を召喚。墓地に送られた三枚は、《キング・アトランティス》《火之鳥ペリュトン》《クローン・ライトニング》。



空護ターン
マナ:14
手札:3
盾:5
場:《クロスオーバー・ヨミ》



「……《クロスオーバー・ヨミ》がいると、もうこのクリーチャー単身で戦うしかないですからねー……なにもしません、ターン終了です」
 この状況に一番参っているのは、空護かもしれない。
 《クロスオーバー・ヨミ》は無敵状態だが、《マリエル》のせいで攻撃できない。しかし攻撃できるクリーチャーを出せば、無敵状態が解除されてしまうので、下手にクリーチャーが出しづらい。
 幸いなことに《クロスオーバー・ヨミ》はブロッカーなので、ウィニーの攻撃は止められる。様子見も兼ねてだろう、空護はなにもせずにターンを終えた。



浬ターン
マナ:14
手札:2
盾:4
場:《バロスト》《リベンジ・ドラゴン》



 そして、浬も困っていた。
 殴り始めようと思った瞬間にこれだ。勢いを削がれてしまった。
「攻撃しようにも、どうにかして《マリエル》を退かさない限り、攻撃はできない……」
 しかし、呪文で倒そうとすると、《アルカディアス》に邪魔される。光の呪文で《マリエル》を直接除去するのは難しいだろう。タップ系の呪文でタップキルするくらいしか手段がないが、攻撃できないのでその手も使えない。
 となると、今の八の防御網を突破するには、クリーチャーによる除去を撃つしかないのだが、
(そう都合よく、都合のいい除去があるわけでもなし……《バロスト》が死ねば、盤面をまたリセットできるんだが、殴れないし呪文も使えないと、破壊手段もないよな……)
 自壊するカードにしても、光の呪文に自壊は望めない。《緊急再誕》があればいいのだが、入っているかは怪しいところだ。
「……《ゴーゴンシャック》を召喚して、ターン終了」
 結果、浬は《ゴーゴンシャック》を出すだけで、ターンを終えた。
(《バロスト》がいる上に、光の呪文コストまで上げてしまうからあまりクリーチャーは並べたくないが、《マリエル》で殴られ続けるのも嫌だからな。一応、牽制くらいにはなるだろ)
 とりあえず浬はこのロックを抜けるために、《バロスト》の破壊を目論む。



八ターン
マナ:14
手札:3
盾:2
場:《アルカディアス》《マリエル》



「自分のターンっす! 《ガイアクラッシュ・クロウラー》をチャージ! 《天光の精霊ミハイル》を召喚っすよ!」
「な……っ!?」
 八のターン。
 ここで八が繰り出すクリーチャーに、三人は目を剥く。



天光の精霊ミハイル R 光文明 (8)
クリーチャー:エンジェル・コマンド 4000
このクリーチャーがバトルゾーンにある間、他のクリーチャーがバトルゾーンから墓地に置かれるとき、そのクリーチャーは墓地に置かれるかわりにバトルゾーンにとどまる。



(な、なんて動きにくい場だ……!)
 《マリエル》によってパワー3000以上のクリーチャーは攻撃できず、《アルカディアス》で光以外の呪文は唱えられず、《ミハイル》でクリーチャーは破壊されなくなった。
 攻撃も呪文も制限されたこの場が、《ミハイル》によってより盤石なものとなってしまったのだ。
 しかも浬からすれば、《バロスト》を破壊することすらできなくなってしまい、完全に道を塞がれてしまった。
「それから《鎮圧の使徒サリエス》も召喚して、《マリエル》で浬さんを攻撃っす」
「俺かよ……トリガーはない」
 《マリエル》牽制のための《ゴーゴンシャック》のはずだが、《ミハイル》のせいでそれも意味をなさない。殴り返しすらできないこの状況は、非常に面倒だ。
「ターン終了っすね」
「……私のターン」



美琴ターン
マナ:15
手札:2
盾:5
場:《バックベアード》《ドルベロス》《ザンバラ》



「動きにくい……」
 どうやら美琴も今の状況は苦しいようだ。愚痴るようにぼやいた。
 とはいえ、美琴も《ドルベロス》でクリーチャーのコストを上げているので、動きにくさの一端を担っているのだが
「でも、ここでどうにかしないと、膠着するだけだし、使うしかないか……」
 どこか渋るような口振りで、美琴は手札を切る。
「……8マナで、《サイバー・N・ワールド》を召喚」
「!」
「すべてのプレイヤーの手札と、墓地のカードを山札に戻してシャッフル。その後、全員五枚のカードを引くわ」
 美琴が打った一手は、《サイバー・N・ワールド》。墓地と手札を初期状態にリセットするカード。
 一巡しても誰も場が動かなかったということは、手札に八のロックを崩せるカードがないということ。それが今、新しい手札を補充したことで、新しい可能性が生まれた。
 相手にも手札を与えてしまうため、美琴は渋ったのかもしれないが、浬としてはとにかく八のロックを崩すためにも、この一手はありがたい。
「ターン終了よ」



空護ターン
マナ:15
手札:5
盾:5
場:《クロスオーバー・ヨミ》



 美琴のターンが終わり、空護のターンが訪れるが、
「ターン終了ですー」
 空護はこのターンもなにもせず、ターンを終えた。
 大型ブロッカーがいるから、このロック状況でも構わないというのか、それとも単にロックを崩せるカードがないだけなのか。
 どちらなのかはわからない。その動きは怪しさすら感じるが、 
「この手札は悪くない、今はこちらを優先する……俺のターン」



浬ターン
マナ:15
手札:5
盾:3
場:《バロスト》《リベンジ・ドラゴン》《ゴーゴンシャック》



 都合の良いことに、浬が《サイバー・N・ワールド》で手に入れた手札は、この膠着した場を崩壊させ得るものだった。
「まずは7マナで《コーライル》を召喚! 能力で《ミハイル》を山札の一番上に!」
「うぐ、だけど、次のターンにまた召喚すれば……」
「そんな隙を与えるつもりで、このクリーチャーを出したりはしないがな。続けて5マナ! 《ギガベロス》を召喚!」



ギガベロス R 闇文明 (5)
クリーチャー:キマイラ 8000
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、バトルゾーンにある自分の他のクリーチャー2体を自分の墓地に置く。そうしなければ、このクリーチャーを自分の墓地に置く。
W・ブレイカー



「《ギガベロス》の能力で、俺のクリーチャーを二体破壊する。破壊するのは《バロスト》と《リベンジ・ドラゴン》だ!」
 《サイバー・N・ワールド》の恩恵によって得た二つのキーカード。一つは、《ミハイル》を一時的にでも場から退かすクリーチャー、《コーライル》。
 そしてもう一つは、《バロスト》の呪縛を解き放つための、命を喰らう猛獣だ。
「《呪縛の剣豪バロスト》の能力発動! このクリーチャーがバトルゾーンから墓地に置かれた時——」
 《バロスト》の呪縛が解き放たれる。
 暗黒の剣豪の死がもたらすのは、圧倒的な破壊。
 戦場のすべてを闇で覆い尽くす、絶対的な死だ。

「——バトルゾーンに存在するすべてのクリーチャーを破壊する!」