二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て40」 ( No.484 )
- 日時: 2016/09/13 01:14
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: ugLLkdYi)
(【《封魔妖スーパークズトレイン》《サイクロン・パニック》】と、【《ナチュラル・トラップ》《金色の精霊クロスヘイム》】か。ドローソースになる《クズトレイン》は魅力的だが、《サイクロン・パニック》って……)
カード選択。既にデッキの半分ほどのカードを選んだが、ここまででも、幾度となく悩ましい選択があった。
選ばされるカードは完全にランダム。次に選択できるカードが、今の選択時にわかるわけでもないので、デッキを組みながらコンセプトを固めていかなくてはならない、というのが、この対戦における肝だった。
(あたしのデッキはネクラカラーに近いから、火のカード入らないんだが、《クロスヘイム》かぁ。多色クリーチャーも多くないしなぁ、腐りそうだ)
色やマナカーブ、カードの役割など、ある程度は操作できるものの、一度そのカードを見逃してしまうと、同じカードが来ることは絶望的。同じ役割のカードが来るかどうかもわからない。
よしんば来たとしても、ペアになっているもう片方のカードが使えなければ選びにくいし、もう一方の選択可能な束に有用なカードがあれば、そちらを選択したくなる。
なかなかにデッキを組むのに難儀するレギュレーションだ。
(ドローソースを取るか、トリガーを取るかってところだな。うーむ……)
ミシェルは《クズトレイン》と《ナチュラル・トラップ》で悩んでいた。ドローソースも除去札も等しく貴重だ。色の兼ね合いも考慮して、どちらを入れるべきか。
(……ここはドローソースだな。除去カードも悪くないが、このレギュなら《クズトレイン》が生きる機会も多いだろ。リソースの確保を優先する)
そんな風に思考を巡らせながら、二枚ずつのカードを選択していく。
(【《トラップ・チャージャー》《ドリリング・イヤリング》】【《1月》《インビンシブル・パワー》】……考えるまでもないな。前者だ)
色も合わず、ろくな役割が持てないカードは切り捨てる。《インビンシブル・パワー》の打点増強に一瞬目が行ったが、現実的に13マナも溜めることはないだろう。
(【《腐敗勇騎ガレック》《腐敗無頼トリプルマウス》】【《アクア・デフォーマー》《スローリー・チェーン》】……ハンデスカードは魅力的なんだが、《デモニック・バイス》や《髑髏月》を既に取ってるからなぁ。さらにハンデスを増やすか?)
既に選んだカードと役割の被るカード。ハンデスは腐りづらく、《ガレック》や《トリプルマウス》のサイクルは汎用性が高いので優秀なのだが、過剰にハンデスを入れても仕方ないという気はする。
(色は微妙に合わないし重いが、《デフォーマー》はマナ回収、《スローリー・チェーン》は確実に攻撃を止める……特にマナ回収は積んでないから、かなり貴重だ。色は合わないし、重くて使いづらいが、選ぶならこっちか?)
思考の結果、ミシェルは後者を選択。
そして次のカードを選択しようとしたところで、デッキが完成した。
二人ともデッキが完成し、ミシェルと柚による『2pick』の対戦が始まる。
「えっと、《血風神官フンヌー》をマナにおきます。ターン終了です」
先攻、柚の2ターン目。
1ターン目に自然、2ターン目光と火のマナを埋めた柚は、まだ動かない。
柚のデッキが白赤緑メインなのか、それとも上手く色を調整できず、手札が事故を起こしているのかはわからないが、動きが多少鈍いくらいなら仕方ないだろう。
「《サイクロン・パニック》をチャージ。2マナで《ドリリング・イヤリング》を召喚だ」
しかしミシェルは先んじる。ブロッカーを出しただけだが、少しずつ場を固めていく。
「《ザ・ブラック・ボックス》をマナにおいて……《機械人形ガチャック》を召喚です。ターン終了です」
「面倒な奴が出たな……あたしのターン」
《機械人形ガチャック》。条件を満たせば問答無用でクリーチャーを破壊する軽量デスパペット。
そこまで脅威的ではないが、このクリーチャーの存在はそれなりにプレッシャーとなる。早めに対処したいところだ。
「……《聖電機ターコイズ・クラーケン》をチャージ。2マナで《死劇人形ピエール》を召喚だ。ターン終了」
「《デュエマ・ボーイ ダイキ》をマナにおきます。3マナで《突撃ウツボカズラ》を召喚です。攻撃は……しません。ターン終了です」
ブロッカーを並べるミシェルに対し、柚はアタッカーを展開。当然のように低スペックな準バニラが出て来るが、やはりこれも仕方ないだろう。
「あたしのターン。ここは……《フェアリー・ライフ》をチャージ。3マナで《双月怪鳥 パルプ・フィクション》を召喚だ。こいつの能力で、互いのプレイヤーは手札を一枚、マナに埋めなくてはならない。あたしは《ボーダメロン》を埋める」
「わたしは、えっと、《瀧のマジックマ・ショー》を……」
「ターン終了だ」
特殊なハンデスを互いのプレイヤーに課す《パルプ・フィクション》。場合によっては利敵行為になりかねないが、ミシェルとしても殴り手は用意しておきたい。それに、お互いに加速しているなら、単純なアドバンテージに差はない。
この加速が、柚にとってどう出るのか。
「わたしのターン……《青銅の鎧》をマナにおいて、4マナで呪文ですっ、《黄昏地獄拳》!」
黄昏地獄拳 水文明 (4)
呪文
カードを2枚引く。
バトルゾーンにある「ブロッカー」を持つクリーチャーをすべて持ち主の手札に戻す。
「げ……そいつはまずい……」
柚が唱えた一枚の呪文。その呪文に、ミシェルは苦い表情を見せる。
「まずはカードを二枚引いて……次に、ブロッカーをぜんぶ手札にもどしますっ!」
《黄昏地獄拳》は、単純ながらも強力な二つの効果がある。
一つはドロー。二枚のカードを引くだけなら、1コスト下の《エナジー・ライト》で十分だが、このドロー効果はおまけだ。
本命はもう一つの効果、ブロッカーの全バウンス。
バトルゾーンのブロッカーをすべて持ち主の手札に返す、単純で、単調で、それでいて強力かつ豪快な効果だ。使うタイミングを調整すれば、、自分のブロッカーの登場時能力を使い回したり、相手ブロッカーを退かして道を切り開くこともできる。
今回の柚の狙いは、当然後者。
「ブロッカーを除去されたか……少しまずいな」
ここでブロッカーがいなくなるのは、ミシェルにとっては厳しい。
ただアタッカーが殴るだけならまだいい。しかし、今の柚の場には、《ガチャック》がいる。
「《ウツボカズラ》でシールドをブレイクですっ」
「……くっ、トリガーなしだ」
「続けて《ガチャック》でシールドをブレイク! ブロックされなかったので、ターボラッシュ発動ですっ!」
《機械人形ガチャック》の能力は、ターボラッシュという条件によって発動する。
ターボラッシュとは、味方クリーチャーが相手のシールドをブレイクしていれば、指定された能力を得るキーワード能力だ。
《ウツボカズラ》の攻撃で、ターボラッシュ発動の条件は満たされた。そして得た《ガチャック》の能力は、相手プレイヤーを攻撃してブロックされなければ、相手クリーチャーを破壊する、というもの。
「《パルプ・フィクション》を破壊しますっ!」
「場は全滅、シールドも削り取られたか……」
ミシェルのシールドは三枚。クリーチャーもゼロ。
たった一枚の呪文で、かなりの戦力を削がれてしまった。
「とりあえず、守りを固めるか。《オール・イエス》をチャージ。3マナで《希望の守り手ラプソディ》、2マナで《ドリリング・イヤリング》を召喚!」
「わたしのターンです。《無頼勇騎ビャッコ》をマナにおいて、《礼装の堕天チュラロリエス》を召喚……うーん、ターン終了です」
「足止めは効いているな。あたしのターン、《ファンタジー・フィッシュ》をチャージ。2マナで《ピエール》5マナで《クズトレイン》を召喚だ」
《黄昏地獄拳》で《ガチャック》の通り道を作ったのは良かったが、《黄昏地獄拳》の除去はあくまでもバウンス。一時的に退かすことしかできない。
再び現れたブロッカーを除去する手段を持っていないようで、柚は立ち並ぶブロッカーに対し、また足踏みしてしまった。
そんな時だ。
「えっと、じゃあ、3マナで——」
彼女の手から、二人の戦士が登場する。
「——《ロックマンエグゼ&勝太》を召喚します」