二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て45」 ( No.489 )
- 日時: 2016/09/18 00:28
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
遂に始まった『DM EDH』。
ターンの順番は、浬→ミシェル→沙弓→恋となった。
「俺のターンからか。先攻ドローありだったな……《クリスタル・ツヴァイランサー》をチャージ。終了だ」
「あたしのターン。《蝙蝠の面 トーブ》をチャージして、終了だ」
「当然だけど、1ターン目は動きがないわね。私のターン……じゃあ、《レールガン》をマナに置いて、ターン終了よ」
「……《希望の守り手クラップ》をチャージ……終了」
1ターン目は、沙弓の言う通り誰も動きはない。
しかし、次の2ターン目からは、誰かしらは動いて来るだろう。
「俺のターン。《アクア潜入員 トリガロイド》をチャージし、2マナで《アクア戦士 ドリルゲッター2号》を召喚。ターン終了」
早速、浬が《ドリルゲッター2号》を召喚。
ブロックされない軽量リキッド・ピープルだ。
(《サイクロペディア》を統率者に選んでいる時点でわかってはいたが、やはりリキピーのビートダウンみたいだな……それなら、矛先があたしに向いても、むしろカモか)
浬のデッキは、リキッド・ピープルで種族を固めた、ビートダウン。
小型リキッド・ピープルを並べながらビートしていき、シンパシーで《サイクロペディア》の早期召喚を狙うのだろう。《サイクロペディア》は登場時の能力でドローするだけでなく、アンブロッカブルでプレイヤーへの攻撃を通しやすい。統率者は相手プレイヤーを攻撃してブロックされなければ一枚ドローできるため、さらにドローを加速させ、手数を増やすことが可能だ。
下手に放置すれば、大群を形成してタコ殴りにされるが、そうだとしても問題ないと判断し、ミシェルはカードをマナに置く。
「《居合のアラゴナイト》をチャージして、ターン終了だ」
「あらら、シェリーは動かないの。動きが鈍いわね。私は《闘凶ディス・チキンレーサー》をチャージして終了よ」
「お前も動いてねぇじゃねぇか」
「やっぱりこのカード資産だと、三色にするだけで初動が遅れちゃうのよね」
「……《希望の守り手ペッパー》をチャージ……終了」
あっという間にターンが回ってくる。結局、2ターン目にアクションを起こしたのは浬だけだった。
「俺のターン。《アクア・ハルク》をチャージ、3マナで《アクア・シャークス》を召喚。《ドリルゲッター2号》で部長を攻撃だ」
「私なの?」
「あぁ。あんたが一番面倒そうだからな。先に潰す」
「うーん、買いかぶりな気もするけど、一応、光栄ですってことで、そのブレイクは受け取っとくわ。トリガーはなしね」
浬が真っ先に矛先を向けたのは、沙弓だった。
最初にシールドを一枚失ったが、まだシールドは六枚ある。
「あたしも動くか……《アキューラ》をチャージし、3マナで《ピュア・ランダース》を召喚。シールド・プラスで、シールドにカードを一枚重ねる。ターン終了だ」
「早速狙われちゃったけど、どうしようかしら……とりあえず、《ギーガ》をチャージして、《遥か寸前 ヴィブロ・ブレード》を召喚。カードを一枚引いて、ターン終了かしらね」
「……《スパーク・チャージャー》をマナに置いて、終了……」
3ターン目の動きも大人しい。クリーチャーこそ並んできたが、他の三人は三色以上なだけあって、腰が重いようだ。
ならばやはり、今のうちに攻めるべきだ。
「俺のターン……さて、ここからだな」
浬が選択したこのデッキの本領を発揮する。
そのタイミングは、今だ。
「《エナジー・ライト》をチャージ。2マナで《遊撃師団 アクアーミー》を召喚」
「ん? 《アクアーミー》……?」
「このレギュで《遊撃師団》、だと……?」
浬が召喚したクリーチャーに、疑問符を浮かべる沙弓とミシェル。
《遊撃師団》は複数体の同名カードが場に存在することで強化されるクリーチャー群。ハイランダー構築のこのレギュレーションにはそぐわないように思われる。
しかし、その考えは、ルールを理解していないに等しい思考だ。
浬は更なる援軍を、盤上に叩きつける。
「さらに2マナ! 二体目の《遊撃師団 アクアーミー》を召喚!」
現れたのは、“二体目”の《アクアーミー》だった。
そのプレイングに、慌ててミシェルがストップをかける。
「っ、ちょっと待て! このルールはハイランダー戦だったはずだろ? 同名カードを二枚以上入れることをできない。ルール違反だろ」
「いいや、これはルール違反にはならない。部長は言ったよな。ルールよりもカードの効果を優先する、と」
「確かに言ったわね」
「《遊撃師団 アクアーミー》の能力は、四枚より多くデッキに入れることができる、というもの。俺はこのデッキに、四枚を超える《アクアーミー》を投入している。カードテキストがルールより優先されるなら、なんら問題はないはずだ」
同名カードは一枚しかデッキに入れられないという対戦ルールと、四枚より多く投入可能というカードテキスト。同名カードの投入枚数という点においてこの二つはかちあったが、後者が優先されるというのであれば、前者のルールを無視して後者のルールを適用できるということになる。
それならば、《アクアーミー》が何枚入っていようと、ルールには抵触しないことになる。
「変なこと聞くと思ったけど、最初に確認したのはこういうことね……いいわ。続行しましょう」
「いいのか?」
「通常ルールであっても、《遊撃師団》は四枚までしか同名カードを入れられないというルールを、自分たちのテキストで上書きしているわけだし、その理屈が統率者戦でも通用しないなんて道理はないわ」
「……わかった。止めて悪かったな。続けてくれ」
「じゃあ、ターンを続行で。《アクア・シャークス》で部長を攻撃だ!」
「やっぱり攻撃方向はこっちなのね。トリガーはないわ」
「なら、ターン終了だ」
「あたしのターンだな」
カードを引き、一度思考に入るミシェル。
浬の攻撃の方向が明確になったところで、自分のプレイングを考える必要が出たからだ。
(霧島の矛先はこっちへは向かない、か……それならそれで構わないんだがな。二人でぶつかり合ってるところだし、下手に首突っ込んで怪我したくはない。ここは静観だな)
殴られればそれでも良いが、攻撃を受けないなら、今はまだそちらの方がいい。下手に動かず、様子を見ることにした。
「《クラッシャー・ベア子姫》をチャージ。《怪盗パクルパン》を召喚して、ターン終了だ」
「《パクルパン》? んー……とりあえず私のターンね。できることがなくて辛いわ。《アクア・サーファー》をチャージして《ブレイン・チャージャー》を唱えるわね。一枚ドローして、チャージャーをマナへ。《ヴィブロ・ブレード》で《シャークス》を攻撃!」
「相打ちだな。破壊された《シャークス》の能力で、一枚ドローする」
「ターン終了よ」
「《ロードリエス》をマナに置いて、《ネクスト・チャージャー》……手札を入れ替えて、ターン終了……」
「俺のターン。《アクアーミー》をチャージ……ここだな」
浬の場には、《ドリルゲッター2号》に二体の《アクアーミー》。リキッド・ピープルの数は三体。
そして、今のマナ数は5。仕掛けるなら、このタイミングだ。
浬は統率者領域に置いた相棒を手に取り、戦場へと送り出した。
「シンパシーでコストを3軽減し、統率者領域から召喚! 《龍素記号IQ サイクロペディア》!」