二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て47」 ( No.491 )
日時: 2016/09/20 17:37
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

超神星グランドクロス・アブソリュートキュア 光/火/自然文明 (7)
進化クリーチャー:フェニックス 9000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
マナ進化GV—クリーチャーを3体自分のマナゾーンから選び、このクリーチャーをその上に重ねつつバトルゾーンに出す。
W・ブレイカー
メテオバーン—このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを好きな数選び墓地に置いてもよい。このようにして墓地に置いたカード1枚につき、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに置く。



 マナを三枚吸収し現れたのは、ミシェルの選んだ統率者《超神星グランドクロス・アブソリュートキュア》。
 惑星級のフェニックスとしてはやや小型だが、しかしこのフェニックスには、このフェニックス特有の守りの力がある。
「《アブソリュートキュア》で日向を攻撃。その時、メテオバーン発動! 《アブソリュートキュア》の進化元三体すべてを取り除き、シールドを三枚追加だ!」
 《アブソリュートキュア》が、進化元とした三体のクリーチャーをすべて吐き出す。すると、吐き出したクリーチャーをエネルギーとして、ミシェルのシールドがさらに三枚追加された。
「これでシェリーのシールドは十枚……しかも、あの中身が怖すぎるのよね……」
 ここまでで沙弓は、ミシェルのデッキの内容は概ねわかっていた。恐らく、浬もわかっているだろう。
 そして、彼女もわかっている。シールドを割られながら、恋が呟くように言う。
「……トリビ……」
 トリビ、正式にはトリガービート。
 端的に言えば、シールドトリガーを大量にデッキに詰め込んだビートダウンデッキだ。防御はS・トリガーに任せ、殴られてもすぐに反撃可能なデッキである。
 そのデッキの特徴の一つとして、シールドを増やすことが多い。デッキの性質上、攻撃をされれればされるほど自軍を強化できるので、当然と言えば当然の行為だが。
 ミシェルのデッキは、マナなどを見ても、明らかにS・トリガーが多い。S・トリガーしか能力を持たない準バニラのウィニーさえも採用していて、《パクルパン》などのシールドを増やす——しかも殴りながら——カードが積まれている。そしてとどめに、マナ進化GVによって手軽に出せ、攻撃時に三枚ものシールドを追加する、統率者の《グランドクロス・アブソリュートキュア》。
 以上のことを考えれば、ミシェルのデッキはトリガービートでほぼ確定だ。一人に攻撃を集中させづらいこのルールであれば、他のプレイヤーと結託しない前提になるが、攻防共に優れたデッキと言えるかもしれない。
「……S・トリガー……《サイバー・ブレイン》……三枚ドロー」
「なら、《ピュアランダース》でシールドをブレイクだ」
「今度は私ね……おっと、いいトリガーね。S・トリガー《バースト・ショット》! パワー2000以下のクリーチャーをすべて破壊よ!」
 恋の次は沙弓に矛先が向く。
 しかしS・トリガーで出た《バースト・ショット》により、場のクリーチャーがほとんど一掃される。
「だいぶ場が綺麗になったな……ターン終了」
「んー……じゃあ、とりあえずこれで。統率者領域から《死海竜》を召喚するわ。残った4マナで《スケルトン・バイス》よ。ちょっともったいないけど、シェリーの残った手札を捨ててもらうわ」
 ミシェルの手札をすべて叩き落しつつ、沙弓の統率者、《死海竜》も現れる
 パワー12000と対処しにくいが、Wブレイカーも持たない準バニラなので、それほど脅威ではない。もっとも、統率者の特典として、ブロックされなかった場合の1ドローがあるが。パワーが高いため、ブロックしてもパワー負けしてしまい、ブロックづらいと考えると、統率者としての素質はあるのかもしれない。
「……統率者領域から召喚」
 そして、恋のターン。
 彼女も遂に、統率者を呼び出す。
「《星龍グレイテスト・アース》……タップして、ターン終了……」
 《グレイテスト・アース》が場に出たことで、パワー6000以上のクリーチャーはすべて《グレイテスト・アース》に吸引される。
 スレイヤーによってどんな大型でも討ち取れるため、各人の統率者——特に、ミシェルの《アブソリュートキュア》を道連れにできる点は大きいだろう。
「俺のターン。《アクア傭兵 スタローン》《アクア・シューター》を召喚。ターン終了だ」
「《ダキテー・ドラグーン》を召喚。《アクア・シューター》を破壊だ」
 ブロッカーを並べ、守りにはいる浬に対し、ミシェルはその守りを切り崩していく。
 そして、そのまま攻め込みたいところだったのだろうが、《グレイテスト・アース》が挑発している。
「まあ、メテオバーンの再利用と考えておくか。《アブソリュートキュア》で《グレイテスト・アース》を攻撃」
「スレイヤーで相打ち……《ダキテー・ドラグーン》をバウンス、《スタローン》をタップ……」
「破壊された《アブソリュートキュア》は統率者領域に戻す」
 《グレイテスト・アース》の命と引き換えに、ミシェルの《アブソリュートキュア》が統率者領域に帰っていく。
 《アブソリュートキュア》は召喚のためにマナを三枚必要とする。召喚するたびにマナが三枚削られ、統率者のルールとしてコストも2ずつ増えていく。実質的に、召喚コストが5上がっているようなものだ。
 ミシェルはメテオバーンを再利用できる点を考えて統率者に《アブソリュートキュア》を選択したのだろうが、このクリーチャーの性質上、他の統率者以上に再召喚が難しい。次に出て来るのは、もっと後になるだろう。
 もっとも、ミシェルのシールドは十分すぎるほど多く、次に《アブソリュートキュア》を出すためのマナを溜める時間くらいは、簡単に稼がれそうだが。
「なかなか辛いわね、これ。とりあえず2マナで《グレンニャー》を召喚。一枚ドローして……お? いいカード」
 沙弓はニヤリと笑うと、今しがた引いたカードをそのまま場に出した。
「7マナで《混沌の覇者ディス・ガジラ》を召喚!」
「そいつは……」
「さらに、《死海竜》でれんちゃんのシールドをブレイクよ! 統率者の攻撃がブロックされなかったから、一枚ドローね」
 ミシェルのシールドには触れられない。浬は受けに回っているので、今は安全。となると次に厄介なのは、マナを大量に溜めている恋だ。
 現状、ミシェルがかなり優位に立っているような状況だが、沙弓としては恋が一番怖かった。というのも、まだ彼女のデッキタイプが確定できないのだ。
 五色コントロールのような構築に見えるが、単純に汎用性の高いカードを詰め込んだグッドスタッフ的なデッキにも見える。
 しかし、グッドスタッフにしても、なにかが妙だ。マナゾーンにあるカードも、どこかおかしい。
 マナゾーンに見える《大勇者「ふたつ牙」》《聖霊王アルカディアス》《神羅ドラグ・ムーン》といった進化クリーチャー。特に、進化元が少なそうな《アルカディアス》が気になる。フィニッシャー候補の一つだろうが、エンジェル・コマンドがほとんど見えていないこのデッキで、どうやって出すつもりなのか。
 そう思っていると、恋が動いた。
「……5マナで、《東風の賢者ギュルカス》を召喚……」
「《ギュルカス》?」



東風の賢者ギュルカス UC 火文明 (5)
クリーチャー:フェザーノイド 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中からクロスギアを1枚選び、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。



 見慣れないクリーチャーが出て来た。
 《東風の賢者ギュルカス》。クロスギアの扱いが得意な火文明の中でも、特にクロスギアに関係した能力を多く有するフェザーノイドのクリーチャー。
 能力自体は単純明快にして質実剛健。山札からクロスギアを一枚サーチするというもの。
 恋のデッキはクロスギアも採用しているようだ。五色なのでどのようなクロスギアでも入るだろうが、汎用性の高さを考えると、《ノーブル・エンフォーサー》《イモータル・ブレード》《至宝 オール・イエス》あたりだろう。
 さてなにが来るのだろうと三人が身構える中、恋は三人の予想の斜め上を行くカードを見つけ出す。
「……山札から、《メガ・イノセントソード》を手札に……」
「《メガ・イノセントソード》だと……!?」
「まさか……」
 どんな種族の進化をも可能にするクロスギア、《メガ・イノセントソード》。
 恋はそれを、《ギュルカス》を使ってサーチした。わざわざ、《ギュルカス》というピンポイントかつ腐りやすいカードを使って、サーチしたのだ。
 サーチの目的は基本的に、目当てのカードを手に入れるため。なぜそのカードが目当てになるのかを考えれば、それは、そのカードがデッキに核だからだ。
 つまり恋のデッキは、《メガ・イノセントソード》を手札に加えないと始まらない。《メガ・イノセントソード》が中心となっている。
 そんなデッキがあるとすれば、それは、
「《メガ・イノセントソード》をジェネレート……《ギュルカス》にクロス……3マナで《母なる星域》……《ハルク・クロウラー》をマナに置いて……《ギュルカス》から進化」
 進化論を超越した、無垢なる宝剣。
 その歴史を改変するほどの力が、種族を超えた自由な進化をもたらした。

「進化——《聖霊王アルカディアス》」