二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て48」 ( No.492 )
日時: 2016/09/22 01:16
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

メガ・イノセントソード C 自然文明 (2)
クロスギア
これをクロスしたクリーチャーのパワーは+3000される。
これをクロスしたクリーチャーの上に、好きな種族の進化クリーチャーを置いてもよい。



 《ギュルカス》が進化し、《聖霊王アルカディアス》となる。
 本来ならば、フェザーノイドの《ギュルカス》が、エンジェル・コマンドの《アルカディアス》に進化することなどあり得ない。しかし、《ギュルカス》にクロスされた無垢なる宝剣が、既存の進化論を書き換える。
 《メガ・イノセントソード》。種族進化の縛りを解放し、どんなクリーチャーであろうとも、どのような種族への進化をも可能にするクロスギア。
 そのカードを用いて、《ギュルカス》を《アルカディアス》に進化させた。
 それにより、わかったことがある。
「れんちゃんのデッキ、ほぼ確定かしらね……」
「あぁ、ダーウィンだな」
 ダーウィン。それは、デュエマにおけるデッキタイプの一つだ。
 あらゆる進化クリーチャーを使い分けるデッキであり、その名の由来は、進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンからきている。
 複数の種族進化のクリーチャーを一つのデッキに投入しようとすれば、進化元となる種族のクリーチャーが溢れかえる。しかし、《メガ・イノセントソード》などのように、進化元の種族制限を無視するカードを用いることで、その縛りを突破し、強力な進化クリーチャーを状況によって使い分けるのだ。
 それが、恋のデッキ。多数の種族進化クリーチャーがいることは、それで説明がつく。
「《アルカディアス》で《死海竜》を攻撃……破壊」
「《死海竜》は統率者領域に戻すわ……」
 進化クリーチャーはそれだけでスペックが高い。恋はマナも手札も十分に溜め、ダーウィンデッキの核である《メガ・イノセントソード》をジェネレートしている。
 ここからは、なにが来てもおかしくない。
「俺のターン……《アクアーミー》二体と《アクア戦士 ブルーマイティ》を召喚し、ターン終了……!」
 どうにか《アルカディアス》を除去したいが、生憎、水文明の除去の弱さは浬自身が一番よく知っている。呪文も封じられてしまえば、退かす手段はほとんどない。
 結局、小型クリーチャーを並べただけで、ターンを終える。
「あたしのターン……」
 ミシェルはカードを引きつつ、沙弓を——沙弓の場に目線を向ける。
 その後、自分のたった一枚の手札を見つめ、マナに手をかけた。
「5マナで《俊足の政》を召喚。山札を五枚見て……《フレイムバーン・ドラゴン》を手札に加える。ターン終了」
 こちらも大人しい動きだが、シールドが十枚のミシェルは、光以外の呪文が使えなくとも、豊富なトリガークリーチャーでカウンターできる。
 総合的な堅さで言えば、浬や沙弓なんかよりも、よほど堅牢だ。
「れんちゃんも怖いけど、シェリーの方もなんとかしないとね……私のターン」
 そう言いながらカードを引く沙弓。
 口ではそう言うが、沙弓は既に、ミシェルの牙城を崩すための策を練っている。
 あとは、実行に移すだけだ。
「うん、いい感じね。まずは《惨劇のアイオライト》をチャージ……する時、《ディス・ガジラ》のスペース・チャージ発動よ。シェリー、手札を一枚捨てなさい」
「ちぃ……!」
「まだ終わらないわ。3マナで《ディス・メルニア》を召喚。5マナで《ドスコイ・イチバンボシ》を召喚! 《ディス・ガジラ》にこのターン、アンブロッカブル、パワーアタッカー+5000、そしてシールドブレイク数一枚追加の効果を与えるわ」
 ミシェルの唯一の手札を叩き落しながら、さらにクリーチャーを並べる沙弓。
 そして遂に、ミシェルへと牙を向ける。
「さぁ、攻撃よ! 《ディス・ガジラ》でシェリーを攻撃! シールドをブレイクする時——能力発動!」



混沌の覇者ディス・ガジラ R 水/闇/火文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド/エイリアン 5000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スペース・チャージ:多色
SC—相手は自身の手札を1枚選んで捨てる。
パワーアタッカー+3000
このクリーチャーがシールドをブレイクする時、相手の手札が1枚もなければ、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに墓地に置く。
W・ブレイカー



「シェリーの手札はゼロだから、ブレイクするシールドは、手札に行く代わりに墓地へ!」
 これが、沙弓の打ち出したミシェルへの対策。
 《ディス・ガジラ》は、条件付きながらも、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》のようなシールド焼却能力を持つ。そしてその条件とは、相手の手札がゼロの時。
 ミシェルのデッキは白赤緑リースのトリガービート。手札補充を苦手とする組み合わせで、かつ《ディス・ガジラ》自身もスペース・チャージでハンデスが行える。手札を切らさせるのは簡単だ。
 手札がなくなったミシェルは、トリガーごとシールドを燃やし尽くされる。しかも、
「《ドスコイ・イチバンボシ》の効果でブレイク数が増えてるから、三枚ブレイク! すべて墓地へ送るわ!」
「クソッ……!」
 十枚あったシールドが、元の七枚へと戻ったが、シールド・プラスで増えたシールドもまとめて、《ディス・ガジラ》に焼却される。
 S・トリガーに防御を一任しているがゆえの、わかりやすい弱点だ。シールド焼却に弱い。S・トリガーを無力化されると、カウンターできなくなる。
 しかも、今のミシェルは手札もないのだ。ハンドキープしてもハンデスされる。手も足も出ない状態だ。
「ターン終了よ」
「私のターン……《腐敗聖者ベガ》を召喚。シールドを追加、メガネの手札を一枚ハンデス……《メガ・イノセントソード》を《ベガ》にクロス……《ベガ》を進化、《護法僧リョクドウ》。マナを二枚追加……マナゾーンの《無垢の宝剣》を手札に……」
「次は《無垢の宝剣》で来たか……!」
「《アルカディアス》でメガネを攻撃……」
「《スタローン》でブロック! 《スタローン》は破壊される代わりに手札へ!」
「《リョクドウ》でWブレイク……」
 どうやら恋は、ミシェルのことは沙弓に任せて、浬を倒しに来たようだ。
 《アルカディアス》の攻撃は《スタローン》で防ぐが、《リョクドウ》の追撃は防ぎきれず、シールドを二枚割られる。
 この調子で攻められると、あっという間に押し切られそうだ。
「とにかく、少しでも時間を稼がないとな……《アクア・ナルトサーファー》を召喚! 《アルカディアス》と《リョクドウ》をバウンスだ!」
「ん……鬱陶しい……」
「《アルカディアス》が消えたな。今のうちに、3マナで《ピーピング・チャージャー》! シールドを一枚見るぞ」
 手札で持て余していた呪文を使う浬。大きな意味はない。余ったマナでマナ加速と、ささやかな情報アドバンテージを得るだけである。
(《スーパー・スパーク》か……こいつは《ギュルカス》で山札を見ている。そのうえで、部長を無視して俺に殴りかかったってことは、他にもトリガーはありそうだな……)
 沙弓は《ディス・ガジラ》でミシェルのシールドを焼きに行ったが、恋に矛先が向く可能性もあった。それでものうのうと浬に殴ってくるということは、他の防御手段もあるのかもしれない。
「だが、進化クリーチャーがいない今のうちに攻めるしかない……《リツイート》で攻撃! 一枚ドロー!」
「……S・トリガー……《地獄スクラッパー》」
 少しでも隙のあるうちに削ろうと殴りかかったが、早速別の防御手段であるS・トリガーを踏んでしまった。
「《アクアーミー》二体、《ブルーマイティ》を破壊……」
「光以外の呪文もあったか……ターン終了」
 浬のターンが終了し、ミシェルのターン。
 手札がなく、《ディス・ガジラ》の格好の的にされているミシェルは、トップでなんとか現状を打開しなければならないのだが、
「! ……これに賭けるいかないか」
 ここでミシェルが引いた一手は、
「一か八かだ! 呪文《強制突撃》」



強制突撃 C 火文明 (3)
呪文
S・トリガー
自分の次のターンのはじめまで、相手のクリーチャーは「このクリーチャーは可能であれば攻撃する」を得る。



「《ディス・ガジラ》以外にも攻撃させて、カウンターを狙うつもりね……!」
 ミシェルのシールドは残り七枚。
「《鎧亜戦隊ディス・ボクサー》を召喚よ呪文。そして呪文《ネクスト・チャージャー》。手札は入れ替えず、チャージャーでマナへ。そしてこの時、火のカードがマナに置かれたから、《ディス・ボクサー》のスペース・チャージで、《ディス・ガジラ》のブレイク数を一枚増やすわ! 続けて《猛菌剣兵チックチック》を召喚!」
 このターンも、《ディス・ガジラ》のブレイク数を増やして強化する沙弓。
 攻撃を強制されるのであれば、いっそ思い切って、それ相応の力で殴りつけるしかない。トリガーを踏むのは覚悟の上だ。
「《ディス・ガジラ》でシールドをTブレイク! ブレイクしたシールドは墓地へ!」
「ぐぅ……!」
 まずは《ディス・ガジラ》がシールドを焼く。《ディス・ボクサー》の強化を受け、三枚のシールドが焼却された。
 残り四枚だ。
「《チックチック》でシールドをブレイク!」
「一枚目は……S・トリガー《深緑の魔方陣》! ここはなんでもいいが……《ムラマサのコンセント》をシールドへ」
「次は《ディス・メルニア》でシールドをブレイクよ!」
「これは……トリガーなしだ」
「《グレンニャー》でブレイク!」
「S・トリガー《ムラマサのコンセント》だ……一応《ディス・メルニア》を破壊する」
「じゃあ最後! 《ドスコイ・イチバンボシ》でシールドをブレイク!」
「……《大集結!ドングリ軍団》を召喚。こっちも一応、《リツイート》でも選んでおくか」
 沙弓の総攻撃の結果、ミシェルのシールドは残り一枚まで減らされたが、攻撃は耐えきった。
「私のターン……《無垢の宝剣》を召喚……《リョクドウ》に進化……2マナ追加、《クラップ》を回収……3マナで《クラップ》を召喚……」
 しかし、沙弓の攻撃を耐えても、脅威となる存在は他にもいるのだ。
 ここで恋は、己の戦術を、さらに昇華させる。
「3マナで、呪文……《母なる紋章》」



母なる紋章 R 自然文明 (3)
呪文
文明をひとつ選ぶ。バトルゾーンにある自分の、選んだ文明のクリーチャーを1体、マナゾーンに置いてもよい。そうした場合、その文明と、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つクリーチャー1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
※プレミアム殿堂



 禁じられた自然の呪文《母なる紋章》。
 《母なる大地》ほどの汎用性はないが、《母なる大地》と違い、進化クリーチャーでも引きずり出せるのが、この呪文の強み。
 あらゆる進化を使いこなす恋のダーウィンデッキには、うってつけの一枚だ。どんな進化クリーチャーでも呼べるのだから。
 そう、
「火文明を選択……《クラップ》をマナに送って、《リョクドウ》を——究極進化」
 進化の先にある進化——究極進化でさえも。
 進化に進化を重ねた恋の進化クリーチャーが、進化の先にある究極の進化論を導き出す。
 そして、赤い月が光り輝く。

「——《神羅ドラグ・ムーン》」