二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て49」 ( No.497 )
日時: 2016/09/24 13:10
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

神羅ドラグ・ムーン SR 火文明 (7)
進化クリーチャー:ルナティック・エンペラー/アーマード・ドラゴン 15000
究極進化—自分の進化クリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、パワー6000以下の相手のクリーチャーを2体まで破壊する。
T・ブレイカー



 進化の先にある進化。究極の進化。
 赤く光る月を背に、《神羅ドラグ・ムーン》が究極進化した。
「出たな、ダーウィンの切り札……!」
「やっぱり、究極進化のクリーチャーは、威圧感も違うわね……!」
(《ギラギラ・ドガッツ》の方が使いやすいというのは、黙っておいた方がいいんだろうな……)
「《ドラグ・ムーン》で《ディス・ガジラ》を攻撃……能力発動、《チックチック》と《ディス・ボクサー》を破壊……」
 恋は攻撃の矛先を沙弓に向ける。流石に、クリーチャーを展開して脅威と見られたのだろう。
 《ドラグ・ムーン》の火力で二体、《ドラグ・ムーン》自身の攻撃で一体。一撃で三体のクリーチャーが消し飛んだ。
「まとめて消されたわね……これは痛い」
「ターン終了……」
「俺のターン。シンパシーでコストを2軽減、8マナで《サイクロペディア》を統率者領域から召喚! 三枚ドロー!」
 浬は再び《サイクロペディア》を呼び出すが、いくら統率者と言えど、究極進化のカードパワーには対抗できない。特に浬は、早くに決着をつけるビートダウンデッキ。ここまで大型が出てしまうと、まともに対応できない。
「《スタローン》を召喚し、ターン終了」
 なので、手札を増やし、守りを固め、受け身の姿勢のままターンを終えた。
「あたしのターン! 9マナで、統率者領域から召喚! マナ進化GV! 《グランドクロス・アブソリュートキュア》!」
 守りに入った浬とは対照的に、ミシェルは攻勢を見せる。
 もっとも、ミシェルのデッキは攻防一体なので、攻撃とは即ち防御を固める行為でもあるのだが。
 なんにせよ、沙弓にシールドを焼却されたミシェルは、ここで反撃に出る。
「《アブソリュートキュア》で攻撃! メテオバーンでシールドを三枚追加! Wブレイク!」
「やっぱり私なのね……とりあえずトリガーね。一枚目は《特攻汽車ジェニー》、シェリーの手札をハンデスよ。二枚目は《デーモン・ハンド》。《ドングリ軍団》を破壊」
「《俊足の政》でシールドをブレイク!」
 これで沙弓のシールドはゼロ。ミシェルにはまだアタッカーが残っているため、ここでS・トリガーを引けば、まだ生き残れるが、
「……《エマージェンシー・タイフーン》ね」
 一応と言って、二枚カードを引いて一枚捨てる。しかし、カードを捨てても、それは《キューブリック》でも《バイケン》でもない。
「はぁ、火のカードだったら、《フレイムランス》で生き残れたんだけどね」
「それは残念だったな。《ムラマサのコンセント》でダイレクトアタックだ!」



Lose沙弓



 これで沙弓は脱落。厄介だと思って最初に削った甲斐があった。
 いや、それが結果的に良かったのかは、まだわからない。
 なにせ、恋の場には《ドラグ・ムーン》が残っているのだ。ミシェルはトリガーでカウンターできるかもしれないが、浬にとっては対処困難な大型クリーチャーで、厄介な存在でしかない。
 プレイヤーが、それも除去カードを多く抱えているであろう沙弓が消えてしまったことは、本当に良かったのか。
「私のターン……《ベガ》を召喚……シールド追加、ハンデス……《メガ・イノセントソード》をクロス」
 恋は豊潤なマナを使い、場を固め、新しい進化元を作り出す。
 また、進化論が書き換えられた。
「《ベガ》を進化……《聖霊王アルカディアス》」
 《アルカディアス》が戻ってきて、またも光以外の呪文を封殺される。
「《ドラグ・ムーン》でメガネに攻撃……《リツイート》《スタローン》を破壊……」
「やっぱりこっちか……!」
 ドローソース兼アタッカーの《リツイート》だけでなく、ブロッカーの《スタローン》も破壊されてしまった。
 ブロッカーが潰されたところで、《ドラグ・ムーン》のTブレイクが容赦なく襲い掛かる。
「S・トリガー! 《アクア・サーファー》だ! 《アルカディアス》を手札に!」
「む……」
「さらにもう一枚! 《スパイラル・ゲート》! 《ドラグ・ムーン》もバウンス!」
「……うざい……」
 なんとか二枚のS・トリガーが、順序良く出てくれたおかげで、再び恋の場を空にできた。
 しかしこれも一時凌ぎだ。次のターンにはまた《ドラグ・ムーン》がやって来る。
 どうにかして、この時間で逆転の一手を指さなければ、押し負ける。
 どうやって切り抜けるか。しばし考え込んで、浬は一つの計画を立てる。
「あまり、こういう不完全なプランは好きじゃないが……仕方ないか。4マナで《龍覇 ガンバランダー》を召喚し、《ウルオヴェリア》を装備! さらに8マナ! 《アクア・スナイパー》を召喚だ! 《アブソリュートキュア》と《ムラマサのコンセント》をバウンス!」
「……ハンデスされると回収できないからな。《アブソリュートキュア》は統率者領域へと戻す」
 シールドがなくなり、守りが手薄になったことで、浬はミシェルにもやられる可能性が出て来た。
 恋にばかりうつつを抜かして、二人で浬を殺しにかかってはたまったものではない。なので浬は、ミシェルの場も掃除する。
「《アクア・サーファー》で《ムラマサのコンセント》を攻撃!」
「殴り返しもか……徹底してるな」
「次はお前だ! 《サイクロペディア》で攻撃! シールドをWブレイク!」
「……トリガー、ない……」
「《ナルトサーファー》でブレイクだ!」
 立て続けの恋のシールドを砕いていく浬。
 そして、この《ナルトサーファー》のブレイクは、《ピーピング・チャージャー》で確認したシールドだ。
「S・トリガー……《スーパー・スパーク》……相手クリーチャーすべてをタップ」
 知っている。予想通りのS・トリガーで、浬のクリーチャーがすべて寝かされる。
 とりあえず、これで第一タスクはクリアした。
(流石に疲労が溜まってるな……ここでトリガーを使われて助かった)
 恋のミスに感謝しながらも、浬は場のウエポンに手をかけ、そのままひっくり返した。
「ターン終了時、《ウルオヴェリア》を《ウルティマリア》に龍解だ」
「あたしのターン……ここは、こいつか。《躍喰の超人》を召喚。マナを追加し、ターン終了だ」
「《ベガ》を召喚……《メガ・イノセントソード》をクロス……《リョクドウ》に進化……2マナ追加。《バロム》を回収して、《ドラグ・ムーン》に究極進化」
 恋はバウンスされたカードを使い回して、再び場に《ドラグ・ムーン》を呼び出す。
 そして、浬へと攻撃しようとするが、
「……スパスパ唱えたの、ミスった……」
 《ドラグ・ムーン》で小型クリーチャーを薙ぎ払いながら突破するつもりだったが、ここでブロッカーが邪魔になる。
 《スタローン》程度の小さいブロッカーなら問題ないが、今の浬の場にいるのは、パワー7500の《ウルティマリア》だ。パワー6000以下でなければ、《ドラグ・ムーン》で焼き払えない。
 浬の攻撃時、効果の薄い《スーパー・スパーク》を撃ったのは、完全にミスだった。これが《ガンバランダー》だったら、余裕で薙ぎ払っていたというのに。
「しょうがないか……《ドラグ・ムーン》でメガネにダイレクトアタック……《ナルト・サーファー》と《スナイパー》を破壊」
「《ウルティマリア》でブロックだ!」
「ターン終了……」
 結果として、浬に1ターンの猶予を与えてしまった恋。
 こうして得た1ターンで、浬は反撃に出る。
「《アクア傭兵 スタローン》、《アクア隠密 アサシングリード》を召喚! 《アサシングリード》の能力で《躍喰の化身》をバウンス! さらに《アサシングリード》を《クリスタル・ランサー》に進化だ!」
「《クリスタル・ランサー》……」



クリスタル・ランサー R 水文明 (6)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル 8000
進化—自分のリキッド・ピープル1体の上に置く。
このクリーチャーはブロックされない。
W・ブレイカー



 《クリスタル・ランサー》。デュエル・マスターズ初期の進化クリーチャーで、スペック自体は淡白ながらも、堅実でアタッカーとしてのポテンシャルは高い。今でこそ採用は厳しいものがあるが、リキッド・ピープルの攻撃性をさらに高めてくれる、優秀なフィニッシャーであった事実は揺るがない。
 その性質が今、この場でも現れる。
「《アクア・サーファー》でシールドをブレイク!」
「ニンジャ・ストライク4……《ハヤブサマル》召喚……ブロック」
「だったら《ガンバランダー》でブレイクだ!」
「もう一枚、ニンジャ・ストライク……《光牙忍ライデン》……《サイクロペディア》をタップ……」
 浬のクリーチャーの動きを止めつつ、最後のシールドを砕かれる恋。
「……S・トリガー」
 その最後のシールドから、S・トリガーが飛び出した。
「……《アクア・リバイバー》を召喚」
 しかし出て来たのは、ブロッカーの《アクア・リバイバー》。
 防御手段がブロックしかないのであれば、問題ない。
「除去ではなかったか……なら、これでとどめだ!」
 浬残った最後のアタッカー——《クリスタル・ランサー》は、アンブロッカブル。
 ブロッカーによる守りであれば、貫ける。

「《クリスタル・ランサー》でダイレクトアタック!」



Lose恋



 恋が敗北し、残ったのは浬とミシェル。
 《スタローン》《ガンバランダー》《サイクロペディア》《クリスタル・ランサー》と、バトルゾーンに多くのクリーチャーを並べた浬は、シールドがゼロ。
 場にクリーチャーはおらず、手札も枯れているが、ミシェルのシールドは四枚。そしてこのシールドには、どれだけのS・トリガーが入っているのかわからない。しかし、トリガービートである以上、ゼロという可能性は期待できない。
 どちらが有利とも不利とも言えない状況。いや、シールドの内容次第なため、ミシェルは運の要素が強く絡む。加えてマナもかなり削れており、ミシェルの方が不利ではある。
 裏を返せば、シールドの内容次第では、どんなカウンターパンチが飛んでくるのかわからないという、ハイリターンな側面もあるのだが。 
「あたしのターン。《跳喰の超人》を召喚。マナを追加してターン終了だ」
「俺のターン。呪文《ブレイン・ストーム》で三枚ドロー……手札を二枚トップに置いて、《アクアーミー》を三体召喚」
 とりあえず、増えた手札から小型クリーチャーを展開する浬。
 問題は、この後だ。
(俺の場のアタッカーは《ガンバランダー》《サイクロペディア》《クリスタル・ランサー》の三体。四天寺さんのシールドは四枚だから、とどめまでは行けるが……)
 四枚のシールドに、トリガーがゼロということはあり得ないと思っていい。踏んだトリガーが防御用のトリガーとは限らないにしろ、どのくらい防御トリガーを積んでいるかが分からない以上、その可能性も考慮しなくてはならない。
(ジャスキルではとどめはさせないと考えた方がいいな。かといって、《アクアーミー》が三体増えて押し切れるかどうかはわからないが……)
 こればかりはトリガー次第としか言えない。
 ミシェルのデッキカラーは光、火、自然。光ならスパーク呪文などですべてのクリーチャーの動きを止めることもある。自然も同じように、攻撃を不能にしてくるトリガーがあり、火には全体火力がある。
 小型を三体増やしても、とどめを刺せる保証はない。
(特にスパーク呪文と、エタトラ、《チャケの応援》みたいな攻撃を止めるトリガーが怖いな……それを踏んだら、ターンを稼がれる)
 問題は、それが今のミシェルのシールドに埋まっているかどうかだが。
 このターンに攻撃して、それらのトリガーを消費させるか。それとも、そういったトリガーはないと信じて、次のターンに物量で殴るか。
 どちらが、勝てる可能性が高いか。浬は思考に思考を重ね、そして、
「……《サイクロペディア》でWブレイク!」
 浬は、攻撃することを選択した。
「殴るか……S・トリガー、一枚目だ。《エクスプレス・ドラグーン》を召喚」
 一枚目のトリガーは、ただの準バニラのアタッカー。まだ問題はない。
「二枚目……いいカードだ。《爆発のベイリーフェン》! バトルゾーンに出た時、あたしの場のティラノ・ドレイクの数だけ2000火力を放つ! あたしの場にティラノ・ドレイクは一体だから、《ガンバランダー》を破壊だな。さらにコスト7以上のクリーチャーがバトルゾーンに出たため、《跳喰の超人》の能力でマナ加速だ」
「っ、これでこのターンには倒しきれないか……!」
 しかし破壊されたのは《ガンバランダー》のみだ。
 まだ《クリスタル・ランサー》は残っているため、シールドをすべて割り切って、スパーク呪文などの可能性を潰せる。
 もうこのターンにとどめは刺せないので、浬は諦めて全力で殴る。
「《クリスタル・ランサー》でWブレイク!」
「S・トリガー! 《スーパー炎獄スクラッパー》! 《スタローン》と《アクアーミー》三体を破壊! さらにS・トリガーだ」
「四枚ともトリガーか……」
 並べた《アクアーミー》も、ブロッカーの《スタローン》も薙ぎ払われてしまい、何気に困る。
「……まさかこいつが出るとはな。まぁ、いいか」
 ミシェルは四枚目のトリガーを出す前に、そのカードを見て、神妙な面持ちで呟いた。
「S・トリガー……進化V」
 そんな風に口走って、ミシェルは場のクリーチャー——《エクスプレス・ドラグーン》と《爆発のベイリーフェン》の二体を重ね、その上にもう一枚のカードを重ねる。
 それは燃える彗星。竜になり切れない竜が夢見た先にある、不死鳥の姿。
 轟々と燃え盛る炎の中で、惑星が羽ばたき、飛翔する。

「——《炎彗星アステロイド・ガウス》!」