二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て54」 ( No.502 )
日時: 2016/10/04 23:36
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

インビンシブル・アビス VR 闇文明 (13)
呪文
相手は、バトルゾーンにある自分自身のクリーチャーすべてを持ち主の墓地に置く。



 計略デッキから放たれたのは、《インビンシブル》の名を冠する超大型呪文。闇文明の拠点から放たれる暗黒の波動が、すべての生者を死滅させる《インビンシブル・アビス》。
 その効果は、単純にして強烈。
「相手クリーチャーをすべて破壊!」
 相手の場を一掃すること。ただそれだけだ。
 もっとも、13マナも支払うほど価値のある効果ではない。計略デッキから放たれるからこそ、この場合は強いと言えるだろう。
「場が全滅したか……!」
「しかし、《トライグラマ》は破壊される代わりに手札へ!」
 《トライグラマ》だけは手札に戻るが、なんにせよ勇者側は盤面をリセットされ、一気にアドバンテージが失われる。
「そろそろヤバいし、流石に決めに行くわ。3マナで《ディス・メルニア》召喚、5マナで《双砲 ロードスター》を召喚!」
「……! 打点が……」
「《ロードスター》の能力で、マナの《ゼッツー》を墓地に置くわ。それじゃあ、覚悟しなさい、シェリー!」
 ここで沙弓は、スピードアタッカーの《ロードスター》を召喚する。
 ミシェルのシールドは残り二枚。そして、場にブロッカーは存在しない。
 つまり、
「一気にとどめまで行くわ! 《ロードスター》でシールドをWブレイク!」
「くっ……S・トリガー《めった切り・スクラッパー》だ! 《メルニア》と《グレンニャー》を破壊! だが……」
「《アクア・サーファー》でダイレクトアタックよ!」

Lose ミシェル

 残るシールドを割り切って、S・トリガーも乗り切り、沙弓は勇者側のプレイヤーを一人脱落させる。
「これで一人討ち取ったわ。ターン終了」
 残る勇者側のプレイヤーは二人。追い込んだつもりが、巻き返され始める。
「《アクア・ティーチャー》を召喚! 《イソロック》を召喚し、一枚ドロー!」
「《ディス・メルニア》を召喚! シンパシーでコストを1軽減、《龍素記号IQ サイクロペディア》を召喚! 三枚ドローだ!」
 空護と浬は、それぞれ失った盤面を取り戻すためにクリーチャーを再展開するが、
「計略発動! 裏魔王奥義!」
「裏ってなんだ……」
「じゃあ魔王奥義その2! 《デビル・リンク・タブー》!」



デビル・リンク・タブー R 闇文明 (10)
呪文
シンパシー:グランド・デビルとディープ・マリーン
相手は、次の自分自身のターンにクリーチャーを召喚できず、呪文を唱えることもできない。



 言い直して唱えられたのは、またしても闇の大型呪文《デビル・リンク・タブー》。
 プレイヤー一人を指定して、クリーチャーの召喚と呪文の詠唱、二つの行動を制限する呪文だ。
「じゃあ、カイの動きを1ターン拘束させてもらうわ!」
「俺か……!」
 これで浬は次のターン、マナチャージと攻撃しかできない。《ディス・メルニア》と《サイクロペディア》、アンブロッカブルのアタッカーが出ているので、攻撃できるだけマシだが。
「カイが動けないうちに、焔君の相手をしてあげるわ。4マナで《ドンドン吸い込むナウ》! 山札を五枚見て……《チキンレーサー》を手札に! 火のカードを手札に加えたから、《サイクロペディア》をバウンス!」
「っ、《サイクロペディア》が……!」
「まだ終わらないわ。《闘凶ディス・チキンレーサー》を召喚! 《ロードスター》でWブレイク!」
「それは大人しく受けますかねー。トリガーなしです」
 空護は《アクア・ティーチャー》でブロックせず、《ロードスター》の攻撃を通す。
「なら、《アクア・サーファー》でもシールドをブレイク!」
「……トリガーなしです」
「ターン終了よ」
 空護のシールドが残り二枚になったところで、勇者側のターン。
「《デビル・リンク・タブー》のせいで、俺はなにもできないか……」
「とりあえず、僕ができる限りのことはしますよー。《ザ・ミスター》をチャージ。《番長大号令》を唱えて……《駱駝の御輿》を手札に。4マナで《無記のイザナイ ウェンディゴ・アパッチ》を召喚。山札から《ノウメン》をバトルゾーンに」
 浬ができることは攻撃することくらいだが、《ディス・メルニア》は防衛線として残しておきたい。《サイクロペディア》も除去されてしまったので、このターンは身動きができない。
 とりあえず場にクリーチャーを並べると、空護は攻撃に移る。
「《イソロック》で攻撃!」
「ニンジャ・ストライク6、《不知火グレンマル》よ! 《アクア・ティーチャー》を破壊! 攻撃は《ディス・メルニア》でブロック! スレイヤーで両者破壊ね」
 しかしその攻撃は《ディス・メルニア》に防がれ、《グレンマル》でブロッカーも消される始末だ。
 大した動きもできないまま、勇者側のターンが終了する。
「私のターン。計略発動、《オリジナル・ブレイン》! 山札の上から四枚を見て……その中の二枚を手札に。残りは山札の下に置くわ」
 今度は手札補充。反撃のために消費した沙弓の手札が回復する。
「《グレンニャー》を召喚。一枚ドローして、《腐敗勇騎ガレック》召喚! ブロッカーの《ディス・メルニア》を破壊して、一枚ハンデスよ!」
「ぐっ、破壊されたか……殴っておけばよかったな」
 しかし、そんなことを言っても後の祭りだ。
「《ロードスター》でWブレイク!」
「……トリガーはありません」
「なら、《アクア・サーファー》でダイレクトアタック!」

Lose 空護

 空護も殴り切られて、勇者側のプレイヤーが二人、脱落した。
「さぁ、これで残るはあなただけよ、カイ」
「くっ……!」
 勇者側で生き残ったのは浬のみ。手札もマナも多く、シールドも五枚あるとはいえ、計略を使うことのできる沙弓相手に、どこまで戦えるか。
「一応、殴りましょうか。《チキンレーサー》でシールドをブレイク! ターン終了よ」
「俺のターン。《サイクロペディア》をチャージ。4マナで《龍覇 ガンバランダー》を召喚! 《神光の龍槍 ウルオヴェリア》を装備!」
「ドラグハートが来たわね……」
「それだけじゃない。《ガンバランダー》を《クリスタル・ジャベリン》に進化だ! 《クリスタル・ジャベリン》で《ロードスター》を攻撃!」
 召喚したドラグナーをすぐさま進化させ、《ロードスター》を殴り返す。
 これでミシェルと空護のシールドを削り切ったアタッカーを潰した。さらに、
「ターン終了時、《ウルオヴェリア》を装備した《クリスタル・ジャベリン》がタップされているので、龍解条件成立! 龍解! 《神光の精霊龍 ウルティマリア》!」
 装備したウエポンを、ターン中に龍解させる。
 ブロッカーも増えて防御の態勢も取りつつ、ターンを終える。
「ブロッカーねぇ……でも、その防御はどこまで続くかしら? 私のターン」
 沙弓のターン。まず最初に、計略デッキを捲る。
「シャッフルカードね。デッキをシャッフルして、計略デッキを捲るわ」
 捲られたのはシャッフルカード。一度、使用した計略カードが混ぜられて、再び使用可能になった。
 《インビンシブル・アビス》や《デビル・リンク・タブー》が再使用されると考えると、かなり恐ろしい。
 そしてこのターンに捲られたのは、
「《ダーク・クラウン》よ、二体召喚!」
「ブロッカーか……!」
「まだよ。7マナで《混沌の覇者ディス・ガジラ》を、G・ゼロで《百万超邪 クロスファイア》を召喚!」
 Wブレイカーが二体。沙弓も、残り一人になったところで畳み掛けて来る。
「《チキンレーサー》のタップトリガー発動。私の《チキンレーサー》を破壊して、相手にもクリーチャーを一体破壊させるわ。なにを破壊する?」
「……《クリスタル・ジャベリン》だ。破壊される代わりに、手札に戻る」



クリスタル・ジャベリン SR 水文明 (7)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル 7000
進化—自分のリキッド・ピープル1体の上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに自分の手札に戻す。



「じゃあ次よ。《クロスファイア》で攻撃!」
「その攻撃は……通す!」
 ブロックすることも考えたが、浬はあえてその攻撃をブロックしない。
 うまくトリガーで返すことが出来れば、反撃の隙を作ることができそうだが、
「……トリガーはない」
「格好つかないわねぇ」
 割られた二枚のシールドに、S・トリガーはなかった。
 だが、
「代わりにこいつを使う。S・バック!」
「!」
「《トリプルマウス》を捨て、《ファンタズム・クラッチ》! 《クロスファイア》を破壊だ!」
 S・トリガーはなかったが、S・バックは使える。
 《ファンタズム・クラッチ》の効果でタップされたクリーチャーを一体破壊する。対象は、当然《クロスファイア》だ。
「……まあいいわ。《グレンニャー》で攻撃よ」
「《ウルティマリア》でブロック!」
「《ガレック》!」
「S・トリガー《デーモン・ハンド》だ! 《アクア・サーファー》を破壊!」
「うーん、いまいち攻めきれなかったわね……ターン終了よ」
 シールドを三枚削ったものの、沙弓もクリーチャーを三体失い、浬の場にはまだブロッカーが残っている。一気に決着をつけたい沙弓としては、不満が残る攻撃だった。
「俺のターン……こいつか」
 そして、浬のターン。
 浬は引いてきたカードに一瞬、顔をしかめたが、すぐにマナを支払って召喚する。
 すべてを天運に投げ打ったような気分で、あまり快く思えなかったが、計略デッキがある沙弓に対抗するには、多少の博打は必要だ。
 もっとも、この一手が“多少”の博打なのかと言われると、甚だ疑問だが。

「5マナで——《超電磁 パックE》を召喚」