二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿2日目 「慈悲なき遊戯は豊潤が全て55」 ( No.503 )
- 日時: 2016/10/08 15:53
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
超電磁 パックE(イー) 水文明 (5)
進化クリーチャー:サイバー・コマンド 5000
パック進化—自分のデュエルマスターズのRev未開封拡張パックをひとつ、バトルゾーンに出し、このクリーチャーをその上に置く。
このクリーチャーがシールドをブレイクした時またはバトルゾーンを離れた時、このクリーチャーの下に重ねた拡張パックを開け、その中から1枚を手札に加える。残りは自分のカードコレクションに加える。
浬が召喚したのは、パック進化と呼ばれる特殊な進化方法で進化するクリーチャー、《パックE》。パックを進化元にするというユニークな進化方法で、これもジョークカードの一種である。
「……で、これはどう処理すればいいんだ?」
「とりあえず、パック扱いしてるカードの束から五枚取って、パックの代わりにして」
「そんなんでいいのか……」
しかし《パックE》の実際の裁定も、進化元のパックは五枚のカード扱いされるため、正しいと言えば正しいのかもしれない。
「じゃあ、続けるぞ。6マナで《アクア・サーファー》を召喚! 《ダーク・クラウン》をバウンスだ! ターン終了」
「私のターン。まずは計略……悪くないわね。《勇騎恐皇フォルテ》! 《フォルテ》トークン一体を生成!」
沙弓は《ふぉるて》と紙に書いて場に出す。緊張感のない《フォルテ》だ。
「《ドスコイ・イチバンボシ》をチャージ! この時、《ディス・ガジラ》のスペース・チャージ発動よ! 多色カードをマナに置いたから、手札を捨ててもらうわ」
「《ブレイン・チャージャー》を捨てる」
「次に《爆熱 キラー・ドライブ》を唱えるわ! 爆進ダブで効果を二つ発動よ! 、あずは《アクア・サーファー》を破壊! さらに墓地から《クロスファイア》を回収!」
「!」
「G・ゼロ! 《クロスファイア》を召喚よ! 最後のシールドをブレイク!」
《クロスファイア》を回収されたのは非常に痛い。アドバンテージ云々以前に、スピードアタッカーで攻めきられる。
「……S・トリガー! 《共倒れの刃》!」
「また妙なカードが出たわね」
「あんたには言われたくないがな。《共倒れの刃》の効果で、互いのクリーチャーを一体ずつ破壊する……俺の《パックE》と、部長の《ディス・ガジラ》を破壊だ」
これで後続の攻撃を断つことができたが、それだけではない。
《パックE》が破壊されたことで、能力が発動する。
「《パックE》がバトルゾーンを離れた時、能力発動! こいつの進化元にしたパックからカードを一枚手札に加える!」
これで、本来は自分のデッキにないカードを手札に加えられる。自分にとっても、相手にとっても、計算外のことが起こりうるギャンブル性の高いカードとも言える。
浬は重ねらてた五枚のカードを見て、そこから一枚を抜き取る。
「俺のターン。4マナで《ポイズン・ティー》! 《ガレック》を破壊だ! 続けて6マナ、《デーモン・ハンド》! 《クロスファイア》も破壊! ターン終了」
「私のターン。計略発動よ……って、シャッフルカードか」
またもシャッフルカードが捲られ、計略デッキが混ぜられる。
「シャッフルして、今度こそ計略! 《ヘル・スラッシュ》よ!」
「ぐっ、ここでか……!」
浬のデッキも残り少ない。このタイミングで山札を削られるのは、非常に痛かった。
しかも、自分のデッキを見られるのだ。情報のアドバンテージも奪われることになる。
「ふぅん、こういうデッキなのね。だとすると面倒なのは……この辺かしら。《ゴースト・パイレーツ》《クリスタル・ツヴァイランサー》《キング・アトランティス》の三枚を墓地へ」
除去カードやフィニッシャーを墓地に落とす沙弓。奇襲や場をひっくり返せるようなカードをピンポイントで落としてきた。
「《レールガン》を召喚よ。《フォルテ》でダイレクトアタック!」
「《ウルティマリア》でブロック!」
「《フォルテ》の能力発動よ! 《フォルテ》がブロックされたから、相手ブロッカーをすべて破壊!」
勇騎恐皇フォルテ 闇/火文明 (10)
クリーチャー:ダークロード/ヒューマノイド 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーがブロックされた時、「ブロッカー」を持つ相手のクリーチャーをすべて破壊する。
W・ブレイカー
あらゆる障害を破壊する電脳の破壊者、《フォルテ》。その攻撃を止めようものなら、我が身の消滅を覚悟しなければならない。
《フォルテ》はブロックされると、問答無用でブロッカーをすべて破壊する。バトルで勝った《ウルティマリア》は破壊され、ブロックこそ成功したものの、バトルは発生せずに破壊されてしまう。
「俺のターン……《ガンバランダー》を召喚、《ウルオヴェリア》を装備し、《クリスタル・ジャベリン》に進化だ!」
いくらブロッカーを潰されても、それはドラグハート。ドラグナーさえいれば、いつでも呼び出せる。
浬は《ガンバランダー》で再び《ウルオヴェリア》を装備し、そこから《クリスタル・ジャベリン》に進化。防御を忘れず、攻撃に転ずる。
「《クリルタル・ジャベリン》で攻撃! シールドをWブレイクだ!」
「S・トリガー発動、《埋没のカルマ オリーブオイル》!」
《フォルテ》をどうにかして退かしたいところだが、《クリスタル・ジャベリン》のパワーでは相打ちが限界。それならば、残りデッキが僅かなことも考慮して、シールドを割ってできるだけ勝利に近づいておきたい。
しかし運悪く、トリガーを踏んでしまった。
「カイのデッキは残り少ない、私のデッキを戻すのと、どっちがいいかしらね……」
沙弓は思案する。《オリーブオイル》の能力は強制なので、出したら誰かの墓地をリセットしなければならない。
一応、原型は墓地ソースなので、墓地が減るのは良いことではないが、浬の墓地を戻せば《ヘル・スラッシュ》で削った意義が薄れる。
出さないという選択肢も、あるにはあるが、
「……まあ、マナは十分にあるし、時間をかければカイが勝手に死ぬと思えば、自分に使った方が良さそうね。私の墓地をリセットするわ」
最終的に沙弓は、自分の墓地を戻すことを選択した。
マナは十分あるので、《クロスファイア》等を引いてもすぐに手出しできる。浬が攻めてきたことも考慮してブロッカーは出しておきたいので、自分の墓地をキープするよりも、場にブロッカーを出すことを優先した。
「……ターン終了。《ウルオヴェリア》を《ウルティマリア》に龍解だ」
「それじゃあ、私のターンね。計略発動! 《ねじれる者ボーン・スライム》! 《ボーン・スライム》トークン三体をバトルゾーンに生成!」
「!? 《ボーン・スライム》、しかも三体だと……!?」
《ぼーんすらいむ》、と紙に書いて、沙弓は三体の《ボーン・スライム》トークンをバトルゾーンに呼び出す。
《ボーン・スライム》はパワー1000、攻撃後に破壊される貧弱なクリーチャーだが、攻撃可能なブロッカーだ。
あと一撃でも攻撃を喰らえば負ける浬にとって、アタッカーが三体も増えると、処理しきれなくなる。さらにブロッカーでもあるため、無理やり攻撃を通そうとしても、防御される。
攻防共に優れたクリーチャー。この上なく最高のタイミングで捲られた計略カードと言えるだろう。
「さらに、《虚空の力 レールガン》と《惨劇のアイオライト》を召喚よ。《フォルテ》でダイレクトアタック!」
「《ウルティマリア》でブロックだ!」
「《フォルテ》の能力で、ブロッカーをすべて破壊よ!」
またしてもブロッカーを消し飛ばされる。防御こそ成功するが、流石に厳しい。
「さて、カイはあと何ターン耐えられるかしらね? ターン終了よ」
沙弓の場に、アタッカーは《フォルテ》《レールガン》《アイオライト》に、《ボーン・スライム》が三体の計六体。
あまりに多すぎる。ブロッカーも《フォルテ》に一掃されるので、ブロッカーを展開するという手は使えない。
《フォルテ》を倒そうとしたり、直接沙弓を狙っても、《ボーン・スライム》三体が盾となり、攻撃が届かない。
「……部長」
恐らく、これが浬の最後のターン。
このラストターンで、浬は、
「俺の勝ちだ」
勝利を宣言する。
「5マナで《再誕の聖地》! 俺の墓地のカードをすべてマナゾーンへ!」
「《聖地》……! そんなカード握ってたのね……! でも、今更マナを増やしても意味ないわ。タップインだしね」
「残念だが、俺の目的はマナを増やすことではない。部長、《ヘル・スラッシュ》のツケはキッチリ払ってもらうぞ」
墓地のカードをマナに置きつつ、浬は沙弓を見据える。
「《パックE》の恩恵を使う時が来た……6マナタップ!」
さらに6マナを支払い、次のカードを使う。
それは、本来なら浬のデッキには入っていなかったカード。
《パックE》の力で、手札に加えられたカードだ。
「《蒼狼の始祖アマテラス》!」
蒼狼(せいろう)の始祖アマテラス R 水文明 (6)
クリーチャー:ナイト/サムライ/オリジン 5000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、次のうちいずれかひとつを選んでもよい。
▼自分の山札を見る。その中からコストが4以下の呪文を1枚選び、山札をシャッフルしてからその呪文をコストを支払わずに唱える。
▼自分の山札を見る。その中からコストが4以下のクロスギアを1枚選び、山札をシャッフルしてからそのクロスギアをコストを支払わずにジェネレートする。
※プレミアム殿堂
言わずと知れた超汎用クリーチャー《アマテラス》。山札からコスト4以下の呪文、クロスギアを引っ張り出せるため、その場その場で最も欲しいカードを引き出してくれる。
「まさか《パックE》から引いたカードが《アマテラス》とは……カイの残りデッキで、コスト4以下の呪文かクロスギアっていったら……」
沙弓は浬のデッキを見ているので、なにが入っているかはすべて把握している。そして、残り少ないデッキ枚数でコスト4以下のカードは、かなり限られる。
ここで浬が使えるコスト4以下のカードと言えば、あれしかない。
「《アマテラス》の能力で、山札から《母なる星域》を唱える! 《星域》の効果で、《アマテラス》をマナゾーンへ! その後、マナの進化クリーチャーをバトルゾーンへ!」
浬のマナにある進化クリーチャーが引っ張り出される。
そもそも浬のデッキに進化クリーチャーは多くはない。しかし、沙弓は《ヘル・スラッシュ》で浬の山札を削り、浬は削られたカードを《再誕の聖地》でマナに戻している。
つまり、山札に眠っていた彼の切り札が、呼び起こされるのだ。
「来い! 《クリスタル・ジャベリン》から進化!」
《アマテラス》によって引き起こされ、《星域》によって導かれる、一体の進化クリーチャー。
水流と水晶によって構築された騎兵が、二対の槍を構えて戦場を駆け抜ける。
「——《クリスタル・ツヴァイランサー》!」
クリスタル・ツヴァイランサー SR 水文明 (8)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル 13000
進化—自分のリキッド・ピープル1体の上に置く。
このクリーチャーはブロックされない。
T・ブレイカー
「あー……もう無理ね」
「《ツヴァイランサー》はブロックされない! これでとどめだ!」
沙弓のシールドはゼロ。いくら《ボーン・スライム》で場を固めても、その防御網をすべてすり抜ける。
手札にはシノビもいない。沙弓には、この騎兵を止める手立てはなかった。
「《クリスタル・ツヴァイランサー》でダイレクトアタック——!」
魔王討伐完了。