二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て6」 ( No.511 )
日時: 2016/10/18 09:12
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

超次元ゾーン:空護

《魂喰いの魔狼月下城》×1
《悪夢卍 ミガワリ》×1
《激天下!シャチホコ・カイザー》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《ヴォルグ・サンダー》×1
《勝利のプリンプリン》×1



超次元ゾーン:美琴
なし



 空護と美琴の対戦。
 互いのシールドは五枚。
 空後の場には《ポーク・ビーフ》が一体。
 美琴の場には《死神の影デスプルーフ》《暗黒秘宝ザマル》《死神盗掘男》の三体。
「空護、だいぶ数で差をつけられちゃってるわね」
「《ポーク・ビーフ》で牽制はできているが、早めになんとかしないと厳しいな」
 既にクリーチャーの頭数の差が大きく開き、空護がやや劣勢。ブロッカーがいるとはいえ、一回ブロックしたらすぐに破壊される《ポーク・ビーフ》だ。過信はできない。
「僕のターン……さて、ここはどうしますかねー」
 カードを引き、少し考える素振りを見せ、空護は手札からカードを抜く。
「とりあえず、《龍覇 ドクロスカル》を召喚ですかねー。《悪夢卍 ミガワリ》を装備して、ターン終了ですー」
「《ミガワリ》か。厄介な一手だな」
「闇に破壊耐性は天敵だものね。」
 闇単では処理しづらい《ミガワリ》を装備した《ドクロスカル》。破壊しようとすれば龍解し、龍解すればまた3D龍解に怯えなければならない。
 《ミガワリ》は単純な破壊では処理できない厄介なカードだが、しかし、
「黒月さんのデッキは、単なる黒単じゃないからね。なんとかするんじゃないかな」
「? どういうことですか?」
「見てればわかるよ。ほら」
 と言って一騎が視線を投げると、
「私のターン。4マナで呪文《陰謀と計略の手》!」
「おっと、そう来ますかー……」
「《ドクロスカル》をバウンス、その後、手札を一枚落とすわ」
 シャカシャカと混ぜられた手札から、美琴は無作為に一枚を選ぶ。
 叩き落されたのは、《ドクロスカル》だった
「っ、上手いな。不確定とはいえ、《ミガワリ》を龍解させずに《ドクロスカル》を処理した……!」
 破壊で龍解するなら、破壊しなければいい。
 美琴は一度バウンスして《ドクロスカル》を場から離し、その後、ハンデスで《ドクロスカル》を叩き落す。
「こんなことができるのも、ただの黒単じゃなくて、“準”黒単の黒月さんだからこそだね」
 手札を介して墓地に落とすことで、《ミガワリ》を龍解させずに処理した美琴。
 これでまた、空護は苦しくなる。
「ふぅ、青を入れておいてよかったわね……」
「黒月さん、運強いですねー。《ミガワリ》の龍解を阻止したうえで、《ドクロスカル》を除去しますかー」
 ピンポイントで《ドクロスカル》を叩き落された空護だが、まだ余裕を見せている。
 確かに《ミガワリ》を上手く処理されたが、空護のデッキのドラグナーは、まだ他にもいるのだ。一体ハンデスされても、まだ立て直せる。
「《オタカラ・アッタカラ》を召喚して……ターン終了しかないですかねー」
「呪文《死神ハンド》。《ポーク・ビーフ》を破壊、さらに私の場に死神がいるから、相手の手札も一枚墓地へ!」
「ですけど、《ポーク・ビーフ》が破壊されたので、一枚ドローですよー」
「なら、それも叩き落すまで。《ザマル》で攻撃! 攻撃時に相手の手札を一枚墓地に送るわ!」
 場のクリーチャーを破壊して、手札を叩き、増えた手札すらも叩き落す美琴。
「やらしいハンデスが始まったわね」
「黒単のビートはこれが強いんだよな」
 シールドはブレイクされるが、手札を捨てさせられているので、アドバンテージだけで言えば、結果的に空護のシールドが一枚破られただけ。、
 S・トリガー等の不確定要素も絡むが、シールドを削りつつ手札も落とし、ディスアドバンテージを押し付けて少しずつ削って、アドバンテージの差をじわりじわりと広げていく。これが《ザマル》の強さだ。
 あまり受け身になっていると、いつ突き破られるかわからない。空護としては、どこかで流れを引き寄せたいところだ。
「《龍覇 ニンジャリバン》を召喚。《ミガワリ》を装備して、ターン終了」
「呪文《死神スクリーム》! 山札の上から六枚を墓地に置くわ。その後、墓地から闇のクリーチャーと闇の進化クリーチャーをそれぞれ一体ずつ回収する。《死神ギガアニマ》と《死神明王バロム・モナーク》を回収」
 大量の墓地肥やしからの墓地回収。美琴の手札に、フィニッシャーが握られる。
 だがそのフィニッシャーに活躍の場があるかどうか、今の状況からはまだわからない。
「この分だと、《バロム・モナーク》を出すまでもなく終わっちゃうかもね。《デスプルーフ》で攻撃! シールドをブレイクよ」
「トリガーは……ないですねー」
「なら《ザマル》で攻撃! その手札は墓地に行ってもらうわ」
「こっちもトリガーなしですー」
 また手札を削ってシールドを失うという結果だけが訪れる。これで空護のシールドは残り二枚だ。
「僕のターン……さて、ようやく動けそうですねー」
 スッ、と。
 空護の目つきが変わった。
 ここまで受け身になってきた空護だが、ここで彼は反撃に出る。
「《ザマル》の弱点は、アドバンテージで差をつけるだけで、ブレイクするシールドが不確定要素となるところ。さっきブレイクされたシールドが、いいカードでしたよー。《オタカラ・アッタカラ》と《ニンジャリバン》はファンキー・“ナイト”メア、即ち種族にナイトを持ちます。なので、このナイト二体を進化元にします」
 不確定であろうとも、それは引き寄せられた幸運であり、チャンスだ。
 その好機は、生かすも殺すも自分次第。そして、少なくとも空護は、この好機を生かす方向へと持って行く。
 いつ引いてもいいように、予め場に並べておいた種が、大きな実を結んで、巨大な暗黒皇帝となる。

「進化V——《暗黒帝グレイテスト・シーザー》!」

 ファンキー・ナイトメア軸の変則《グレイテスト・シーザー》。種族カテゴリの隙を突いたデッキ。
 小さなぬいぐるみが巨大な悪夢となり、暗黒の皇帝を生み出した。
「遂にお出ましか、空護の切り札」
「アドバンテージの勝負と言うなら、《シーザー》が叩き出すアドバンテージは、《ザマル》で少しずつ広げるアドバンテージの比じゃないからな……」
「ちまちましたアドバンテージなんて、このクリーチャーの前ではまとめて吹き飛びますよー。《グレイテスト・シーザー》で《ザマル》を攻撃。その時、墓地から《超次元ボルシャック・ホール》を唱え、《死神盗掘男》を破壊、超次元ゾーンから《勝利のガイアール・カイザー》をバトルゾーンに出しますねー」
 間延びした口調とは裏腹に、巨大な一撃が襲い掛かる。
 まずは盤面処理。墓地から唱えられた呪文で《死神盗掘男》が、殴り返しで《ザマル》が破壊される。
「バトルで《ザマル》を破壊、《勝利のガイアール・カイザー》も《デスプルーフ》を攻撃して破壊しますよ」
「っ、全滅……!」
「ターン終了ですー」
 最後にきっちりと《デスプルーフ》も殴り倒して、美琴の場を殲滅する空護。
 返しのターン、美琴はすぐに《シーザー》を除去したいところだったが、
「呪文《ボーンおどり・チャージャー》! 山札の上から二枚を墓地に置いて、チャージャーをマナへ。さらに《死神ギガアニマ》を召喚! ターン終了よ……」
「残念、除去カードがなかったんですねー」
 《シーザー》を退かすことができないまま、ターンを返してしまった。
「序盤に除去カードを使ったのは、美琴の失策だったかもね」
「まあ、《シーザー》には《ニンジャリバン》が装備していた《ミガワリ》を引き継いでいるから、どっちみち破壊では除去できないがな」
 闇以外のカードがあると言っても、準黒単だ。除去カードの大半は破壊、水の除去カードはほんの一握りに過ぎない。
 二枚目の《陰謀と計略の手》もなく、《グレイテスト・シーザー》は生き残ったままだ。
「《ポーク・ビーフ》と《オタカラ・アッタカラ》を召喚ですよー……と、では、手っ取り早く終わらせてしまいましょうかねー」
 そう言って、空護は《シーザー》を横向きに倒す。
「《グレイテスト・シーザー》で攻撃! その時、墓地から《憎悪と怒りの獄門》を詠唱!」



憎悪と怒りの獄門エターナル・ゲート SR 闇/火文明 (6)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
相手のシールドが自分より多ければ、この呪文を唱えることができる。
自分のシールドと同じ数のシールドを、相手は自身のシールドゾーンから選ぶ。相手は残りのシールドを手札に加える。(その「S・トリガー」を使ってもよい)



「なにあのカード?」
「あんまり見たことないっすね」
「古いカードだしね。使うデッキも限られるし」
「というかハチ公、お前はあいつと何度か対戦したことあるんだから、覚えとけよ。使ってる時もあっただろ」
「そうでした?」
 などと外野がすっとぼけているが、当然、美琴はこの呪文を知っている。
「そのカードはまずいわね……!」
「《憎悪と怒りの獄門》の効果で、僕のシールドの枚数になるように、相手のシールドを手札に加えさせます。要するに、疑似的なシールドブレイクですねー……序盤のビートダウンのツケ、きっちり払ってもらいますよ」
 刹那、美琴のシールドが三枚まとめて吹き飛んだ。
「僕のシールドは二枚。よって、黒月さんのシールドを三枚、手札に飛ばします」
 序盤から殴りつけていただけに、この反撃は美琴にとっては手痛い。瞬間的に打点が三打点増えたようなものだ。
 そして、直後には《シーザー》のTブレイクが炸裂する。
「……S・トリガー! 《インフェルノ・サイン》!」
「あ、やったよ、トリガーだ!」
「これでみことさんは、このターンをたえられますね」
「いやいや、あなたたたち、ちゃんと墓地を見なさいって」
 沙弓に言われて、暁と柚は美琴の墓地を覗く。
 彼女の墓地に眠っているクリーチャーは《死神の影デスプルーフ》《暗黒秘宝ザマル》《死神盗掘男》《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》の四種類のみ。
 どれを出したところで、空護の攻撃を防ぐことはできない。
「いいトリガーですけど、今このタイミングで出ても、無意味ですよー」
 《シーザー》にブレイクされた最後のシールドからは、《インフェルノ・サイン》がトリガーするが、絶妙にタイミングが悪い。美琴の墓地にはブロッカーも、除去能力を持つクリーチャーもいない。
 ゆえに、最後の《勝利のガイアール・カイザー》の攻撃を防ぐ手段を、墓地から用意することはできなかった。
「……《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》を復活させるわ。《ギガアニマ》の能力で、《死神盗掘男》を回収よ」
「では、これでとどめです」
 空護は場の《勝利のガイアール・カイザー》に手をかけた。そして、ゆっくりと横に倒す。

「《勝利のガイアール・カイザー》で、ダイレクトアタック——」