二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て9」 ( No.514 )
- 日時: 2016/10/21 10:21
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
超次元ゾーン:浬
《龍波動空母 エビデゴラス》×1
《真理銃 エビデンス》×1
《勝利のガイアール・カイザー》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《勝利のプリンプリン》×1
《時空の踊り子マティーニ》×1
《時空の英雄アンタッチャブル》×1
《時空の喧嘩屋キル》×1
超次元ゾーン:柚
《始原塊 ジュダイナ》×1
《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》×1
《卵殻塊 ジュラピル》×1
《革命槍 ジャンヌ・ミゼル》×1
《神光の龍槍 ウルオヴェリア》×1
《二丁龍銃 マルチプライ》×1
《熱血剣 グリージー・ホーン》×1
《龍棍棒 トゲトプス》×1
浬と柚の対戦。
互いにシールドは五枚。
浬は《氷牙フランツⅠ世》が一体。《ブレイン・チャージャー》で少し加速しているだけ。
柚は《霞み妖精ジャスミン》から順調にスタートし、既に《龍鳥の面 ピーア》《地掘類蛇蝎目 ディグルピオン》、そして《養卵類 エッグザウラー》二体を並べている。
「展開がいつもより早いな……俺のターン。呪文《スペルブック・チャージャー》を唱え、山札を五枚見るぞ……《スパイラル・ハリケーン》を手札に加え、《スペルブック》をマナへ。3マナで《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》だ。マナ武装7を達成しているため、相手クリーチャーをすべて手札へ」
「はわわ……」
「うわ出た、浬の全体除去!」
「青単はこれが強いよね。マナを溜めるのが大変だし、バウンスだけど、たった4マナでアンタッチャブルも全部無視して全体除去ができるだもん」
水文明単色のコントロールデッキが持つ大きな意義の一つ。それが、《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》だ。
それにより、大量のクリーチャーを展開した柚の場を一掃する浬。
浬のデッキは水単色のコントロールデッキ。ドローでデッキを回転させながら相手のテンポを削ぎ、その隙間を縫ってフィニッシャーを投げるデッキだ。
デッキが呪文主体であるため、盤面の支配力、制圧力に関しては、クリーチャー主体の柚には敵わない。一旦すべてのクリーチャーを場から離すが、
「ピーア》を召喚です。《ピーア》の能力でコストを下げて《エッグザウラー》を召喚、マナを増やします。さらにコストを下げて《ディグルピオン》を召喚、《ピーア》の能力と合わせて2マナ増やして、二体目の《エッグザウラー》を召喚です!」
「……分かってはいたが、すぐに盤面を戻されたな」
前のターンにバウンスしたクリーチャーがすべて戻ってきた。しかもマナは増えているので、その場凌ぎとしても不完全だ。
「能力も再利用されたし、殴られるタイミングをずらしただけで、アドはきっちり取られたわね」
「だが、こっちはまだ動けない……3マナで《ブレイン・チャージャー》だ。一枚ドロー」
アドは取られたが、殴られてからが怖いところではあるので、とりあえずテンポは削げた。前のターンと盤面そのものは変わっていないので、時間は稼いだ。
水文明で重要なのは、稼いだ時間の使い方。
その隙に、浬も少しず準備を進める。柚ほど急激なマナ加速はできないが、地道に、少しずつ、堅実にアドバンテージを得ていく。
「残った6マナで《龍覇 M・A・S》を召喚! 《ピーア》をバウンスし、《真理銃 エビデンス》を装備だ」
「《エビデンス》? 除去される可能性が高い《M・A・S》で《エビデンス》を装備するのか?」
「ってことは、たぶん浬君、あれを握ってるね」
「G・ゼロ、《龍素力学の特異点》! 二枚ドローして、手札を一枚、山札の下へ」
一騎の予想通り、浬はG・ゼロ呪文で三枚目の水のカードを使用。これで、条件は満たされた。。
「ターン終了。その時、俺はターン中に水のカードを三回使ったため、《エビデンス》の龍解条件を達成した。よって、《エビデンス》を《龍素王 Q.E.D.》に龍解だ!」
「あぅ、出ちゃいました……でも、まだ負けませんよっ。わたしのターン! まずは《ピーア》を召喚します。そして次に、《牙英雄 オトマ=クット》を召喚ですっ!」
浬に対抗するように、柚もさらにクリーチャーを並べる。
しかも出されたのは、《オトマ=クット》だ。嫌な予感しかしない。
「マナ武装7! わたしのマナゾーンのカードを七枚アンタップです! さらに《ピーア》の能力でマナを増やします」
「柚ちゃんのこれも強いわよねぇ。実質ノーコストで出せる《オトマ=クット》と《ピーア》のシナジー」
「コスト軽減とマナ加速で、実質的に2マナ増やしてるようなものだもんね。手札さえ確保すれば、どんどんクリーチャーが展開される」
展開が次の展開への布石となり、展開に展開を重ねて次々とクリーチャーを展開していく。それが、柚のスタイル。
そのスタイルに則って、柚はさらにクリーチャーを展開していく。
「6マナで《龍覇 サソリス》を召喚ですっ。《始原塊 ジュダイナ》を装備!」
「《サソリス》が出たな……それに、やはり《ジュダイナ》か」
「はい! 《ジュダイナ》の効果でマナゾーンから《連鎖類大翼目 プテラトックス》を召喚! 《ピーア》の能力でマナを増やして、マナゾーンから《連鎖庇護類 ジュラピ》をバトルゾーンに! 残ったマナで《ディグルピオン》を召喚です!」
《サソリス》によって《ジュダイナ》が、《ジュダイナ》によって《プテラトックス》が、《プテラトックス》によって《ジュラピ》が現れ、連鎖するように次々と盤面が柚のカードに埋められていく。
しかもこれで、柚の場にドラゴンが三体以上だ。
「ターン終了するときに、《ジュダイナ》の龍解条件成立です! 《ジュダイナ》を《古代王 ザウルピオ》に龍解!」
浬の《エビデンス》、《Q.E.D.》に対して、柚も《ジュダイナ》を《ザウルピオ》に龍解。これで互いの場に、ビクトリーの称号を冠するドラグハート・クリーチャーがそれぞれ現れた。
ただし、ほとんど展開していない浬に対して柚の場は、圧倒的な数のクリーチャーが立ち並んでいるが。
「……やっぱり、展開力がとんでもない……」
「1ターンでここまでとは……しかも、打点も決して低くはないですしねー」
「とにかく盤面の差が凄いわ。このフィールドアドは、なかなか返せないわね」
浬の場には《フランツ》《M・A・S》《Q.E.D.》だけ。
一方、柚の場には《エッグザウラー》《ディグルピオン》が二体ずつ、《ピーア》《サソリス》《オトマ=クット》《プテラトックス》《ジュラピ》《ザウルピオ》と、単純な数だけで言えば浬の三倍以上のクリーチャーが存在している。
これらのクリーチャーで一斉に殴られると、流石に厳しいものがあるが、
「俺のターン。まずは《Q.E.D.》の能力発動。各ターン一度ずつ、ノーコストで水のクリーチャーの召喚、呪文の詠唱ができる。まずは呪文からだ。《龍素解析》」
浬には、潤沢な手札を消費し、状況への対応を支援する《Q.E.D.》がいる。
《龍素解析》の効果で手札をすべて山札に戻し、カードを四枚引く。そして、
「コスト7以下のクリスタル・コマンド・ドラゴン……《理英雄 デカルトQ》をバトルゾーンへ! マナ武装7で、五枚ドロー! さらにシールドと手札を入れ替えるぞ」
浬もまた、英雄のクリーチャーを繰り出す。
「次に召喚だ。ノーコストで出て来い、《神託の王 ゴスペル》!」
「《ゴスペル》? 見たことないカードですね。かいりくん、新しいカード入れたんですか?」
「確かに投入したのは今回が初だ」
本来なら《ヒラメキ・プログラム》に引っかからず、《エリクシール》で出すことを想定したフィニッシャーだが、《エリクシール》なしでも運用可能か、またどこまでフィニッシャーとして通用するのかの試験的運用も兼ねてそのまま採用している。
「《ゴスペル》の能力発動! 互いの山札の一番上を捲り、その呪文を使う」
「わ、わたしの山札からも、ですか……?」
「そうだ。まずは相手の山札から捲るぞ」
柚は自身の山札の一番上を捲る。捲られたカードは、《帝王類増殖目 トリプレックス》。呪文ではないので、そのままだ。
「次に俺の山札を捲るぞ……よし、呪文《超次元エナジー・ホール》! カードを引き……ここは、これか。《勝利のリュウセイ・カイザー》をバトルゾーンへ」
浬の山札からは、《エナジー・ホール》が捲れる。それにより、《勝利のリュウセイ・カイザー》が現れる。相手のマナをタップインさせる水のドラゴンだが、マナを大量に発生させている柚には、もうほとんど効果がないクリーチャーだ。
「呪文ではないカードが一枚捲れたから一枚ドロー。1マナで《連唱 ハルカス・ドロー》を唱え、一枚ドロー。そして8マナ!」
しかし、浬はタップインのために《勝利のリュウセイ・カイザー》を出したわけではない。
浬にとって《勝利のリュウセイ・カイザー》の重要な部分は、水のドラゴンだという点だ。
「《勝利のリュウセイ・カイザー》を進化——《甲型龍帝式 キリコ3》!」
水文明とドラゴン。その二つの条件を満たせば、《キリコ3》は進化できる。
5マナで相手の動きを鈍らせながら、《キリコ3》の進化元となる《勝利のリュウセイ・カイザー》。浬が超次元ゾーンにサイキック・クリーチャーを採用した理由の一つだ。進化元にならずとも、そのままでも相手の行動妨害と打点にもなるため、使いどころは多い。
「《キリコ3》の能力発動! 手札をすべて山札に戻しシャッフル……その後、呪文が三枚出るまで山札を捲る」
「あ、これ……」
「……メガネの勝利パターン……入った」
「どうだかな。捲れるカード次第だ。一枚目《超次元エナジー・ホール》! カードを引き、《変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード》をバトルゾーンへ!」
言いながら一枚目の呪文が捲れる。最初に放たれるのは《エナジー・ホール》。今度は覚醒した状態のサイキック・クリーチャー、《アンタッチャブル・パワード》が現れる。
「二枚目《スペルブック・チャージャー》。山札の上から五枚を見て、その中の《ハルカス・ドロー》を手札に。チャージャーはマナへ」
次に捲られたのは《スペルブック・チャージャー》。手札やマナを多少増やされても、ここでは大勢に影響はない。手札に加えられたカードも、ただのドロースペルだ。
しかし、三枚目が、柚に大きな一撃を叩き込む。
「三枚目《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》! マナ武装7を達成しているため、相手クリーチャーをすべて手札へ戻す!」
「はうぅ……」
その一撃で、柚のクリーチャーがすべて吹き飛んだ。これで盤面の差もひっくり返る。
「《スパイラル・ハリケーン》を引いたのは大きいけど、たぶんこれ、シールドにも埋まってるよね」
「《デカルトQ》で引いた中に入ってたのを埋めたと見たわ。あいつ、想定内の範囲なら抜け目はないからね」
「……ターン終了」
後ろでごちゃごちゃ言われる中、場を一掃した後、浬は少し考え込んでからターン終了を宣言する。
「わ、わたしのターンっ! バトルゾーンはなくなっちゃいましたが、まだ、戦えます……っ」
一方、場を壊滅状態に追い込まれた柚は焦りを見せているが、まだ闘志を燃やしていた。
「9マナで、《帝王類増殖目 トリプレックス》を召喚です! マナゾーンから《ジュラピル》と《サソリス》を出して、《サソリス》に《ジュダイナ》を装備です!」
「また《ジュダイナ》か……しかもこの展開からすると……」
「次に《オトマ=クット》を召喚! マナ武装7でマナを七枚アンタップしますっ。続けて《プテラトックス》を召喚、マナから《ジュラピ》をバトルゾーンへ! 《ディグルピオン》も召喚します!」
手札に戻されたクリーチャーをすべて展開し直すようなことはしなかったが、それでも、戻したクリーチャーの多くが戻ってきてしまった。そしてこれで、柚の場にドラゴンが三体以上。
再び、龍解条件成立だ。
「ターン終了するときに《ジュダイナ》を龍解ですっ! もう一度お願いします! 《古代王 ザウルピオ》!」
幾度倒されようと、戻されようと、不屈の闘志で舞い戻る《ザウルピオ》。
古代の王は、相当しぶとく、屈強であった。
しかしそれでも、龍素王の計略の前には、屈服するしかない。
「俺のターン。まずは《Q.E.D.》の能力で、ノーコストで《アクア呪文師 スペルビー》を召喚。山札の上から三枚を墓地に置き、《スパイラル・ハリケーン》を回収。そのままノーコストで《スパイラル・ハリケーン》! マナ武装7ですべてバウンスだ!」
「ふぁ……っ」
「さらに《龍覇 メタルアベンジャー》を召喚し、《龍波動空母 エビデゴラス》を設置……まあ、オーバーキルか」
何度立ち上がろうとも、何度でも押し戻す浬。再び場を一掃し、新しくドラグハートも設置して、ここで遂に攻めに出る。
打点は十分にそろっているのだ。ちょっとやそっとのトリガーでは、この軍団は止められない。
「行くぞ。まずは《ゴスペル》で攻撃! 攻撃時に山札をそれぞれ捲るが……どちらもクリーチャーか。二枚ドローして、Tブレイク!」
「し、S・トリガーですっ! 《古龍遺跡エウル=ブッカ》《有毒類緑罠目 トラップトプス》! 《キリコ3》と《デカルトQ》、《フランツ》もマナへ!」
「《Q.E.D.》でWブレイク!」
「S・トリガー《エウル=ブッカ》……《M・A・S》と《スペルビー》をマナへ……」
五枚中、三枚ものトリガーを引き当てる柚だが、それでも足りない。いや、消せない。
最後に残った《アンタッチャブル・パワード》だけは、選べない。
「まあ、《アンタッチャブル・パワード》はどうしようもないね。《Q.E.D.》も呪文アンタッチャブルだったし」
「《チャケの応援》とか引けてれば……ワンチャンあった……」
だが、今回は引けなかった。ただそれだけだ。
これで、この対戦は決着だ。
「《アンタチャブル・パワード》で、ダイレクトアタック!」