二次創作小説(紙ほか)
- 番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て11」 ( No.516 )
- 日時: 2016/10/22 22:03
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
これで一回戦の試合はすべてが終了した。
Aブロックで勝ち進んだのは、暁と一騎。
Bブロックで勝ち進んだのは、美琴と浬。
Cブロックで勝ち進んだのは、沙弓。
以上の五人が次の対戦のステージに進むことができるわけだが、ここでシード権が発動する。
Cブロックを勝ち進んだ者、即ち沙弓は、二回戦シード権を得て、二回戦の対戦が免除される。よって、二回戦はAブロックとBブロックの二試合だけだ。
二回戦第一試合、まずはAブロックから。
対戦カードは、暁と一騎だ。
「一騎さん! 一昨日は負けたけど、今日こそは勝たせてもらうよ!」
「一昨日? なにかあったのか?」
「いや……まあ、色々ね」
あの覗き騒ぎに関しては女子陣に丸投げしたため、どのように処理されているのかわからないが、ミシェルの反応を見る限り、実体は知られぬままらしい。
「あの時は俺もどうにかしてたよなぁ……まあ、一昨日もそうだったけど、今日だって負けるつもりはないよ。沙弓ちゃんにも手伝ってもらって、ずっと調整してきたからね」
「……部長、一騎さんとなにやってたんだ?」
「んー……まあ、色々ね」
あの夜のことは、いまだ誤解が生まれているのだが、当人たちは気づいていないのか気にしていないのか、誤解は誤解のまま、誰も解こうとしない。
「それなら私だって! 一騎さんは絶対に強敵になると思ってたから、秘密兵器も用意してるしね!」
「秘密兵器……?」
最後に意味深なことを言って、暁と一騎の対戦は、開始された。
空城 暁
〜爆熱武装のドラゴンビート〜
vs
剣埼 一騎
〜戦場を駆ける炎龍剣士たち〜
超次元ゾーン:暁
《爆熱剣 バトライ刃》×1
《ガイアール・カイザー》×1
《勝利のガイアール・カイザー》×1
《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《勝利のプリンプリン》×1
《ブーストグレンオー》×1
《ドラゴニック・ピッピー》×1
超次元ゾーン:一騎
《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》×1
《大いなる銀河 巨星城》×1
《銀河大剣 ガイハート》×1
《将龍剣 ガイアール》×1
《最前戦 XX幕府》×1
《天守閣 龍王武陣—闘魂モード—》×1
《熱血爪 メリケン・バルク》×1
《熱血剣 グリージー・ホーン》×1
暁と一騎の対戦。
どちらもまだシールドは五枚ある。
一騎は《爆砕面 ジョニーウォーカー》でマナを伸ばしつつ、《爆熱血 ロイヤル・アイラ》で手札を整えている。
一方、暁はまだ殴り始めておらず、《勝負だ!チャージャー》《メテオ・チャージャー》《ネクスト・チャージャー》でマナを加速するだけだった。
「俺のターン! 5マナで《龍覇 スコッチ・フィデイック》を召喚するよ! 超次元ゾーンから、コスト3以下のドラグハートを出すね」
一騎は5マナ溜まったところで《スコッチ・フィディック》を召喚するが、そこで出すドラグハートに少し悩む。
(どうしようか。暁さんは赤単、超次元にもブロッカーはいないから、《XX幕府》は効果が薄い。追撃をかけるにはアリだけど、暁さんのデッキの特徴も鑑みるなら……)
まだ場も整っていない。ここは追撃をかけるより、暁のデッキに対して強く出られるようなカードを選択する。
「《天守閣 龍王武陣 —闘魂モード—》をバトルゾーンに出すよ! ターン終了だ」
「《龍王武陣》かぁ。ちょっと面倒くさいけど、それならこっちも一気に攻めますよ! 私のターン!」
ここで暁は、連続加速の意味を見出す。
度重なるチャージャーによって暁のマナは8マナ。そこから、彼女もまた、巨大な城を呼び出すのだ。
「《龍覇 グレンモルト「爆」》、召喚!」
「っ、《グレンモルト「爆」》か……!」
「あきらちゃん……っ」
「ふっふっふ、これが出ればもう私の勝ちみたいなもんだよ! 《爆熱天守 バトライ閣》をバトルゾーンに!」
8コストの大型ドラグナーゆえに、呼び出されるドラグハートの強さも、《龍王武陣》の比ではない。
下手すれば、このターンに勝負を決めかねないほど、《バトライ閣》は強力なフォートレスなのだ。
そして、宣言通り暁は殴りかかる。
「《グレンモルト「爆」》で攻撃! その時《バトライ閣》の能力で山札の一番上をめくって、それがドラゴンならバトルゾーンに出すよ!」
「一騎君の生死は、このトップにかかってるわね」
「サイキックも入れてるから、当たる確率はいつもより低い……けど」
暁は外さない、と恋が小さく言う。
そうして捲られた、暁のトップデックは、
「やった! 《熱血龍 バクアドルガン》だよ!」
「よりによってスピードアタッカーか……!」
「バトルゾーンに出して、《グレンモルト「爆」》でWブレイク!」
「まずい……」
「次だよ! 《バクアドルガン》で攻撃! まずは《バクアドルガン》の能力で山札をめくって……《バトライオウ》を手札に! 次に《バトライ閣》の能力だよ! さぁ、出て来てね——!」
連続で発動する《バトライ閣》。スピードアタッカーが出れば、それだけ《バトライ閣》は龍を出陣させ続ける。
《バクアドルガン》に次の龍は続くのか。暁が山札を捲ると、
「《爆竜 バトラッシュ・ナックル》! 登場時の能力で《ロイヤル・アイラ》とバトルだよ!」
「おぉぅ、いいとこ引きますねー」
「《龍王武陣》があっても、バトルじゃ勝てないな……それに」
重なった二枚のトップデックの組み合わせが、最高だった。
《バトライ閣》から捲れたのは《バトラッシュ・ナックル。その前に、《バクアドルガン》で捲られたのが、
「私の火のドラゴンがバトルに勝ったから、手札から《爆竜勝利 バトライオウ》をバトルゾーンに!」
《バトライオウ》が立て続けにバトルゾーンへと現れる。
しかもこれだけでは終わらない。《バトライオウ》がいなくとも、暁はこのターン、ドラゴンを二体以上バトルゾーンに出した。
つまり、
「《バトライ閣》の龍解条件成立!」
折り畳まれた天守閣が最大まで開かれ、一枚のカードとなる。
スッと慣れた手つきで展開すると、暁はその姿を皆に示す。
「3D龍解! 《爆熱DX バトライ武神》!」
三段変形のカードが最大限に開かれ、《バトライ武神》が巨大な姿を現す。
「これは、まずいな……」
「準赤単でこの数のクリーチャーを処理しきるのは、相当厳しいわね。しかも一騎君のマナは6マナしかないし」
「緑入りの一騎がマナ数で後れを取るとはな。爆発力はどっこいどっこいだし、速度で差がついた時点で、勝負は決まってたのかもしれないな」
一騎の残りシールドは三枚。暁の場には《グレンモルト「爆」》《バクアドルガン》《バトラッシュ・ナックル》《バトライオウ》そして《バトライ武神》。比較的大型のクリーチャーが多く、その中でも《バトライ武神》が空ずば抜けて強力だ。
《バトライ武神》を倒したいところだが、《バトライ武神》以外も無視できない。打点だけなら、余裕で射程圏内なのだ。
そして、これらのクリーチャーすべてを処理する手段を、今の一騎は持ち合わせていない。
「でも、できるだけのことはやるよ。《龍覇 グレンモルト》を召喚! 《銀河大剣 ガイハート》を装備!」
6マナに到達した一騎は、《グレンモルト》を召喚し、《ガイハート》を装備。
強力なドラグハートが来たが、ワンテンポ遅かった。龍解するクリーチャーは揃っているが、このターンではダイレクトアタックを決めることもできない。
「だから、盤面をできるだけ掃除する。《グレンモルト》で《グレンモルト「爆」》を攻撃!」
「そのバトルは《バトライオウ》が代わりに引き受けることができるけど、パワーは勝てないから……そのままバトルするよ」
《グレンモルト》は自身の能力でバトル中のパワーが7000になる。そこに《龍王武陣》の効果が加算され、バトル中のパワーは9000。《グレンモルト「爆」》も《バトライオウ》もパワーは8000なので、《バトライオウ》の能力は使わず、そのままバトルで破壊された。
過去の自分に破壊される《グレンモルト「爆」》。なんとも言い難いものがある。
「《スコッチ・フィディック》で《バクアドルガン》を攻撃!」
「そっちは《バトライオウ》が代わりにバトルするよ! こっちのパワーは8000!」
対する《スコッチ・フィディック》のパワーは、《龍王武陣》があっても7000だ。バトルには勝てず、返り討ちにされる。
だが、一騎もそれは分かっている。それでもあえて特攻させたのだ。
《スコッチ・フィディック》の攻撃の意味は、クリーチャーを破壊することではない。
「《フィディック》の攻撃が、ターン中二度目の攻撃だから、《ガイハート》の龍解条件成立だよ」
たとえ自爆しても、攻撃は攻撃だ。そしてミシェル戦でも見せたように、クリーチャー一体と引き換えに、トリガーを踏むことなく、一騎は安全に《ガイハート》の龍解条件を満たした。
そして、《銀河大剣 ガイハート》が龍解し、ひっくり返る。
「龍解! 《熱血星龍 ガイギンガ》!」