二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て13」 ( No.518 )
日時: 2016/10/23 09:34
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「負けた……《アポカリプス・デイ》だけじゃなくて、《ハヤブサマル》までいるなんて……」
「いつものトリガー枠と、ブーストカードの枠を、ちょっとだけ光のトリガーにしたんだけど、うまく嵌ってよかったよ」
「うぅ、悔しい……」
「ま、どっちも相手のことをメタってたみたいだけど、今回は一騎君のメタの方が上手く嵌ったってことで。暁に対人メタは、まだ早かったかもね」
「銀の弾丸にかけては、なかなか一騎には勝てねぇよ」
 対人を想定したピンポイントのメタは、元々一騎の十八番だ。
 実力は同等でも、相手の土俵で取る相撲は、こちらが不利。今回の暁の敗因は、そこだったのかもしれない。
「じゃ、次は二回戦第二試合ね」
「Bブロック二回戦の方がわかりやすくないか?」
「なんでもいいのよ。とにかく次、美琴とカイ、お願いね」
 次の対戦は、美琴と浬だ。
「なんか、珍しい組み合わせだな」
「本当ならこういうマッチングがもっと欲しかったんだけどね」
 最初の振り分けで、思いのほか見知った面子どうしの対戦になったため、ある意味ではこの対戦カードは、珍しいものとなった。
「それじゃあ、よろしくね。霧島君」
「……よろしくお願いします」



黒月 美琴
〜死神の饗宴—Death carnival—〜

vs

霧島 浬
〜結晶魔術の定理〜












超次元ゾーン:美琴
なし



超次元ゾーン:浬
《龍波動空母 エビデゴラス》×1
《真理銃 エビデンス》×1
《勝利のガイアール・カイザー》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《勝利のプリンプリン》×1
《時空の踊り子マティーニ》×1
《時空の英雄アンタッチャブル》×1
《時空の喧嘩屋キル》×1



 美琴と浬の対戦。
 美琴のシールドは五枚。若干スタートに失敗したようだが、場に《暗黒秘宝ザマル》と《死神盗掘男》を並べ、手札とシールドの削りに入っている。
 一方、浬のシールドは四枚。場にはなにもなく、《連唱 ハルカス・ドロー》で手札を整えつつ、《ブレイン・チャージャー》でマナを伸ばすのみ。
「俺のターン……ここは《龍覇 メタルアベンジャー》を召喚し、《真理銃 エビデンス》を装備! カードを一枚ドローし、ターン終了」
 浬はここで呼び出すドラグハートに、《エビデゴラス》ではなく、《エビデンス》を選択する。
 置き続ければ安定して手札を供給してくれる《エビデゴラス》は紛れもなく便利で強力だが、膨大なアドバンテージで勝負を決めてしまうほどの決定力を持つのは、《エビデンス》——もとい《Q.E.D.》だ。
 《メタルアベンジャー》は呪文耐性もあるので、1ターンは生き残れると踏み、浬はあえてこちらを装備させたのだが、
「その一手は得策じゃないわね。《死神の邪険デスライオス》を召喚」
「っ、しまった」
「能力で自身を破壊。そして、相手にも破壊を要求するわ」
「《メタルアベンジャー》を破壊……《エビデンス》は超次元ゾーンに戻る」
 その読みは完全に外れ、《メタルアベンジャー》は《デスライオス》の能力で破壊。《エビデンス》も超次元ゾーンに帰ってしまった。
「さらに《死神盗掘男》の能力でドロー。《ザマル》で攻撃する時、相手の手札を一枚捨てるわ。その後、シールドブレイク」
「……トリガーはない」
「なら、ターン終了よ」
 結局、浬は場のクリーチャーを消され、手札もシールドも失い、逆に美琴にはドローされる始末。
 勝負が決まるほどではないにしろ、結構なディスアドバンテージだ。
「除去はないと思ったが、見誤ったか……とりあえず時間を稼ぐか。《龍素記号Sr スペルサイクリカ》を召喚。墓地の《幾何学艦隊ピタゴラス》を唱えて、《死神盗掘男》をバウンス、マナ武装5で《ザマル》もバウンス! 《ピタゴラス》を手札に戻して、ターン終了だ」
「私のターン。《死神城 XENOM》を要塞化! 要塞化時の効果で相手の手札を一枚ハンデス。続けて《XENOM》の効果でコストの下がった《死神亡者ボーン・アミーゴ》を召喚よ」
「《龍素記号IQ サイクロペディア》を召喚! 三枚ドローし、ターン終了」
 とりあえず浬は、盤面のクリーチャーを退かして時間を稼ぎ、そのうちに自分がクリーチャーと手札を揃えていく。
「《死神盗掘男》を召喚。さらに《デスライオス》を召喚して自壊、相手も一体破壊させるわ」
「《スペルサイクリカ》を破壊するが、代わりに山札の下へ戻る」
「私の死神が破壊されたから、《死神盗掘男》の能力でドロー。さらに《死神の影デスプルーフ》を召喚して、ターン終了」
 大きな動きこそないが、美琴は確実に一手一手、浬になにかしらのディスアドバンテージを負わせ、自分はなにかしらのリソースを得るなど、アドバンテージを広げようとしている。
(堅実にアドバンテージを得ていくタイプか……そうなると、除去が弱い俺のデッキだと、競り合ってアド勝負に持ち込むより、爆アド稼いでパワーゲームに持ち込む方がいいな)
 もっとも、浬のデッキで叩き出せるアドバンテージは、わりと限定的だが。
 最初に《エビデンス》を残せなかったことが悔やまれる。
「まずはリソースの確保からか。呪文《スペルブック・チャージャー》。山札を五枚捲り、その中から《スペルブック・チャージャー》を手札に加える。そしてもう一枚、《スペルブック・チャージャー》。山札の上から五枚を捲り、《スパイラル・ゲート》を手札に加える。そして、2マナで《スパイラル・ゲート》。《ボーン・アミーゴ》をバウンス」
 山札を一気に掘り進みつつ、マナを伸ばし、クリーチャーも除去する浬。
 それから、少し考える。美琴のシールドには、《死神城 XENOM》が要塞化していた。
 死神のコストを下げる城。あれを放置するか否か。考えに考え、やがて答えを出す。
「……《サイクロペディア》でシールドをブレイク。《XENOM》のシールドからブレイクする」
「さっき攻撃しなかったから、放置するものだと思ってたけど、先に城を落とすのね。ブロックは……できないんだっけ」
「えぇ、アンブロッカブルでWブレイクです」
「トリガーは……ないわね、どっちも」
「じゃあ、ターン終了で」
 とりあえず《XENOM》は落城させた。手札は増やされたが、これで展開を阻害することができるはずだ。
「《デスプルーフ》《ザマル》《ボーン・アミーゴ》を召喚」
「っ、小型を並べて来たか」
 《XENOM》がなくとも、増えた手札から小型の死神がわらわら出て来る。しかも、場には《デスプルーフ》が二体だ。
「《デスプルーフ》で《サイクロペディア》を攻撃。もう一体の《デスプルーフ》の能力でスレイヤーになってるから、相打ちね。ただ、こっちは《死神盗掘男》の能力でドローするわ」
 相手だけ破壊して、自分はディスアドバンテージをアドバンテージに変換する。非常に闇らしいプレイングだった。
「俺のターン。《スペルブック・チャージャー》を唱えて、山札を五枚捲り……よし、《スパイラル・ハリケーン》を手札に。そのまま4マナで《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》! マナ武装7で相手クリーチャーをすべてバウンス!」
「一掃された……!」
「さらに《超次元エナジー・ホール》! カードを引き、《勝利のリュウセイ・カイザー》をバトルゾーンへ!」
「早く立て直さないと……《デスプルーフ》《ザマル》《ボーン・アミーゴ》を召喚!」
 盤面を一気にひっくり返され、さらに疑似ランデス付きのアタッカーまで出て来た。
 美琴はバウンスされたクリーチャーを再展開して、巻き返しを図るが、
「……勝ったかもな」
「え?」
 浬の宣言に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう美琴。
「呪文《超次元エナジー・ホール》! カードを引き、《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンに! 《ボーン・アミーゴ》をロック!」
「《プリンプリン》……まさか」
「さらに《超次元ガロウズ・ホール》! 《ザマル》をバウンスし、《勝利のガイアール・カイザー》をバトルゾーンに!」
 立て続けに超次元呪文を撃ち、浬は《勝利のプリンプリン》と《勝利のガイアール・カイザー》の二体を展開。
 既に場に出ていた《勝利のリュウセイ・カイザー》と合わせて、三体のクリーチャーが揃った。
「《勝利のプリンプリン》《勝利のリュウセイ・カイザー》《勝利のガイアール・カイザー》……三体のサイキック・セルが揃ったことで、V覚醒リンク発動!」
 三体のサイキックセルが裏返って覚醒し、連結してリンクする。
 そうして、勝利をもたらす最強のドラゴンが現れた。

「《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》!」

「これはまずいわね……!」
「《勝利のガイアール・カイザー》のアンタップキラーを引き継いでいるため、《オレドラゴン》はアンタップ状態のクリーチャーを攻撃できる……《デスプルーフ》を攻撃!」
 《ボーン・アミーゴ》は《プリンプリン》によって行動を封じられているため、ブロックもできず、《デスプルーフ》は為す術もなく殴り飛ばされる。
「バトルに勝ったことで《オレドラゴン》をアンタップ、そしてシールドを二枚手札へ!」
「……!」
「続けて《ボーン・アミーゴ》を攻撃! アンタップし、シールドを手札へ!」
「S・トリガー《地獄門デス・ゲート》! 《オレドラゴン》を破壊して、墓地から《ボーン・アミーゴ》を復活!」
「リンク解除、《プリンプリン》を超次元ゾーンに戻し、残りの二体を場に残す。この時、《勝利のガイアール・カイザー》はスピードアタッカーだから攻撃可能、そして、《勝利のリュウセイ・カイザー》も前のターンからバトルゾーンに存在していたため、召喚酔いがない」
 破壊しなければ、ブロックされても何度でも殴り続け、破壊すれば、サイキック・セルがそのまま戻ってくる。アタッカーを破壊したのに、むしろ殴り手が増えているとはどういうことなのだろうか。
「《勝利のガイアール・カイザー》でダイレクトアタック!」
「《ボーン・アミーゴ》でブロックよ!」
「《勝利のリュウセイ・カイザー》で攻撃! 前の対戦のように、シノビがあれば耐えられますけど」
「……残念ながら、握ってないわ。私の負け」
 正確には、手札に二枚ほど《威牙忍ヤミノザンジ》を握っていたが、これでは《勝利のガイアール・カイザー》も《勝利のリュウセイ・カイザー》も止められない。
 防御手段は、役に立たなかった。

「《勝利のリュウセイ・カイザー》で、ダイレクトアタック——!」