二次創作小説(紙ほか)

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て17」 ( No.522 )
日時: 2016/10/31 22:35
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「——流れるように、決勝戦まで来ちゃったね」
「えぇ、まあ……確かに、思ったほど時間はかかりませんでしたね」
 準決勝。浬と沙弓の対戦は、浬が勝ち抜けた。
 よって最後の対戦、決勝戦まで残ったのは、Aブロックからは一騎、Bブロックから浬の二人だ。
「なんか、呆気なく決勝戦まで行ったわね」
「元々が身内企画だし、こんなもんでしょ。肩肘張って厳かにするのは好きじゃないし」
 長かった一回戦が終わると、かなり駆け足でここまで来たような気がする。それは対戦する側ではなく、負けて観戦する側に回った者たちもだ。
「あそこまでやって負けたのは、流石にちょっと悔しいけど、この対戦カードは面白そうだし、これはこれで良かったかも」
「霧島も見てる限りはそうだったが、一騎も大概は理詰めで手を進めるからな。ある意味では似た者同士の対戦だが」
「ある意味では、まったく逆ベクトルの対戦ですねー」
 浬はコンセプト通りの動きを徹底し、デッキ内のカードも理想的展開のための部品である。
 一騎はアーキタイプに各種メタカードを詰むことで異形の構築となり、定石から外れている。
 型に嵌った浬と、型破りの一騎。プレイングは理詰めでも、その前提となるデッキは、対象的とも言えた。
「かいりくんと、いつきさん……どっちが強いんでしょう?」
 どちらも決勝戦に残るということは、単純に考えればどちらも同程度の実力を持つということ。
 デッキの相性や年季の差などの補正も加味して、どちらが勝つのだろうか。
 そんな対戦結果の予想が先行するのはお決まりだが、
「浬も強いけど、一騎さんほどじゃないと思うけどなー。私、浬とデュエマしたことないから、よくわかんないけど」
「メガネはしょせんメガネ……つきにぃの敵じゃない……」
「流石のカイでも、一騎君相手じゃ厳しいんじゃないかしらね?」
 外野は思いのほか、浬に厳しかった。
(まあ、そんなことは俺が一番分かっているがな)
 相性や年季が単なる補正だとしても、それらすべてを考えたとすれば浬の方が分が悪い。
 だからといって、そんな補正程度が、自分自身の負ける理由になるつもりはなかったが。
「……一騎さん。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね」
 話もそこそこに、二人は準備を始める。
 超次元ゾーンにそれぞれカードを置き、デッキをシャッフル。一度交換してから、再びシャッフル。デッキを定位置にセット。
 山札からシールドを五枚展開し、手札を五枚取り、準備は完了だ。
 対戦前の昂揚感を味わう間もなく、始まる。
「それじゃあ……」
「デュエマ・スタート、だね」
 東鷲宮、烏ヶ森。二校合同のトーナメント。
 その最後の対戦カード。一騎と浬による決勝戦の火蓋が、切って落とされた。



剣埼 一騎
〜戦場を駆ける炎龍剣士たち〜

vs

霧島 浬
〜結晶魔術の定理〜












超次元ゾーン:一騎
《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》×1
《大いなる銀河 巨星城》×1
《銀河大剣 ガイハート》×1
《将龍剣 ガイアール》×1
《最前戦 XX幕府》×1
《天守閣 龍王武陣—闘魂モード—》×1
《熱血爪 メリケン・バルク》×1
《熱血剣 グリージー・ホーン》×1



超次元ゾーン:浬
《龍波動空母 エビデゴラス》×1
《真理銃 エビデンス》×1
《勝利のガイアール・カイザー》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《勝利のプリンプリン》×1
《時空の踊り子マティーニ》×1
《時空の英雄アンタッチャブル》×1
《時空の喧嘩屋キル》×1



「俺の先攻からですね。《ガロウズ・ホール》をチャージして終了です」
「じゃあ、俺のターンだね。《ジョニーウォーカー》をチャージ。ターン終了だよ」
「俺のターン。《メタルアベンジャー》をチャージ、2マナで《連唱 ハルカス・ドロー》! 一枚ドローして、ターン終了」
「手札を整えてるね。じゃあ俺は、マナを伸ばそうかな。《イフリート・ハンド》をチャージして、2マナで《爆砕面 ジョニーウォーカー》を召喚! 即破壊してマナを追加! ターン終了だ」
 一騎と浬の対戦は、浬の先攻で始まった。
 どちらも2ターン目に動き出しており、浬はドローで手札を整え、一騎はマナブーストで加速している。
 双方ともに切り札を呼び、勝利のムーブメントへと繋ぐための準備段階だ。
「俺のターン、ドロー……まだか。リサイクルで3マナ支払い、墓地の《ハルカス・ドロー》を再び唱えます。一枚ドローして終了」
「《アポカリプス・デイ》をチャージして《爆熱血 ロイヤル・アイラ》を召喚だ。手札の《ロイヤル・アイラ》を捨てて二枚ドロー」
「今度は二人して手札補充ね」
「同じ手札補充でも、そこから導かれる結果と意味合いはまったく変わるがな」
 水文明単色で始動の遅い浬と、火文明に緑文明を組み込み速度を高めた一騎。
 両者が同じように手札を増やしたとして、その結果はまるで違う。
「ようやく4マナか……《アクア呪文師 スペルビー》を召喚! トップ三枚を墓地へ落とし、墓地の《エナジー・ホール》を回収! ターン終了!」
「《エナジー・ホール》……また醤油かな。出されると困るけど、それならそれでやりようはある。俺のターン、マナチャージして……5マナ!」
 一騎はマナチャージして、生み出せるマナをすべて生み出す。
 その中には、光のカードである《アポカリプス・デイ》も含まれている。
 攻撃の核を成す火文明に、それを支援する加速の自然文明、そしてそれらでは成しえない防御力を持った光文明。
 白赤緑リースの色が五つのマナを生成し、人々の願いによって頂に立つ龍を召喚する。

「一気に加速するよ——《トップ・オブ・ロマネスク》!」