二次創作小説(紙ほか)

25話「龍世界」 ( No.80 )
日時: 2014/05/19 04:04
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

龍世界 ドラゴ大王  ≡V≡  火文明 (10)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン 13000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを1体と、相手のクリーチャーを1体、バトルゾーンから選んでもよい。その2体をバトルさせる。
ドラゴンではないクリーチャーがバトルゾーンに出る時、バトルゾーンに出るかわりに持ち主の墓地に置かれる。
T・ブレイカー


 ——《ドラゴ大王》だった。
「で、出た……!」
『我が能力発動! 《ジャックポット》と《鬼切丸》を強制バトル!』
「《ジャックポット》と!? ってことは、また……」
 その通り。
 《ジャックポット》が《鬼切丸》とのバトルに勝利し、再び能力が発動する。
 捲られたのは《スーパー炎獄スクラッパー》《ジャジャーン・カイザー》《セルリアン・ダガー・ドラゴン》の三枚。
『《セルリアン・ダガー・ドラゴン》をバトルゾーンに! その能力でドラゴンの数だけカードをドロー! さらに《バルキリー・ラゴン》でWブレイク!』
「っ、S・トリガー発動! 《ピアラ・ハート》を召喚——」
『させぬ!』
 《ピアラ・ハート》を召喚しようとする暁を、《ドラゴ大王》は一喝して制する。
「な……なんでさ!」
『我が君臨する限り、この世界で龍以外の存在は認めぬ!』
「はぁ? なにそれ」
「《ドラゴ大王》の能力だ!」
 コルルがデッキから顔を出し、説明する。
「《ドラゴ大王》が場にいる時、誰もドラゴン以外のクリーチャーを出せなくなる。無理やり出そうとしても、すべて《ドラゴ大王》に焼き尽くされるんだ!」
「ってことは、この《ピアラ・ハート》だけじゃなくて、《鬼切丸》とかも出せないってこと……!?」
 一気に苦しい表情を見せる暁。暁のデッキにもそれなりの数のドラゴンがいるが、しかしそうでないクリーチャーも多く、またそれらのクリーチャーがサポート役となっているため、ドラゴン以外を出せなくする《ドラゴ大王》の能力は非常に痛い。
「今の手札じゃ、どうしようもない……とにかく《超速リベンジ・ドラゴン》召喚! そして呪文《熱血トレーニング》! 私の墓地に火のカードは四枚! だからこのターン攻撃中《リベンジ・ドラゴン》のパワーはプラス4000! 《ジャックポット》を攻撃!」
 なんとか後続を呼ぶ《ジャックポット》は破壊したが、しかし肝心の《ドラゴ大王》は残っている。しかも《ドラゴ大王》の場にはドラゴンが三体。
『無駄な足掻きだが、貴様は完膚なきまでに叩きのめそうぞ。《霊峰竜騎フジサンダー》と《ギャノバズガ・ドラゴン》を召喚! そして我が場にアーマード・ドラゴンは二体! G・ゼロで《バルケリオス・ドラゴン》を召喚!』
「ドラゴンが、また増えた……!」
『まだ終わらん! 我が場にドラゴンは三体以上! よってG・ゼロ発動! 《バルケリオス・Gカイザー》を召喚!』
「また……嘘でしょ……?」
「なんて場だ……!」
 《ドラゴ大王》の場にはドラゴンが七体。暁を倒すには十分な戦力を揃えていながら、その数をさらに倍以上に膨れ上がらせる。
『さあ、これで終わりだ! 我で攻撃!』
「くっ、そんな……!」
 《ドラゴ大王》の炎が、暁のシールドを焼き尽くす。
「また、負ける……負けられないのに……!」
 ラヴァーを倒すためには、こんなところで負けてられない。だが暁は、圧倒的な龍の世界に、押し潰されそうになっている。
「私じゃ、ダメなの——」
 その時、声が聞こえた——

 ——諦めるな。

「!」
 声が聞こえた。静かで重く、しかし熱い声だ。
「だ、誰……? どこにいるの……?」
 ——お前は、ここで諦めような軟弱な奴だったのか?
 ——そんなわけねーよな。お前はいつだって、最後まで足掻き続けてる。
 ——その心意気に拙者たちは惚れ、付き従うのでござる。
「この声……デッキから……?」
 直感的に理解した。これは、クリーチャーの声だ。
「《バトライオウ》《バトラッシュ・ナックル》《GENJI》……私のクリーチャーたちが、語りかけてるの……?」
 その声は、まだ続く。
 ——スピー! まだ手は残されてるっぴ!
「《スピア・ルピア》……」
 ——俺たちを信じろ。お前の仲間たちは、そんなにヤワな連中じゃねえだろ。
「《バトライオウ》……そうだね」
 仲間たちの声を聞き、暁の中から諦念が焼失した。
「この程度のピンチで諦める私じゃない! S・トリガー発動! 《ドリル・トラップ》二連発で、《バルキリー・ラゴン》と《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を破壊!」
『生き永らえたか……だがそれでも、我が龍の軍勢を止めることは出来ぬ!』
「それはどうかな? 私には仲間がいるんだ! 私のターン!」
 分かっている。この瞬間に引くカードがなにか。この未来への絆は、仲間たちが教えてくれたものだ。
 ありったけのマナを注ぎ、場のドラゴンに重ね、現れる——

「進化! 《超竜サンバースト・NEX》!」