二次創作小説(紙ほか)
- 東鷲宮中学校放送部 第二回「霧島 浬」 ( No.93 )
- 日時: 2014/05/24 01:15
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
青葉
「さあ今日も始まりました、お昼の放送のお時間です。今回は放送部一年、青葉が司会進行を務めさせていただきます。そして今日のゲストはこの人! 一年一組出席番号11番、霧島浬さんです!」
浬
「……なんだこれは」
青葉
「あれ? 聞いてませんでした? 毎度恒例、お昼の放送ですよ。霧島さんには、ゲストとして色々お話聞いちゃいますよ」
浬
「そう言うことを聞いているわけじゃ……いや、やっぱりいい。どうせなに言っても無駄なんだろう」
青葉
「分かってますねぇ、霧島さん」
浬
「ここ最近、諦めることを覚えたからな。色々と」
青葉
「そうですか。ではでは、最初はどうしましょうか? ゲストトーク?」
浬
「それを取り仕切るのがお前の役目だろう、司会者」
青葉
「そうでしたね。えーでは、霧島さんと言えば、一年生の間では軽く有名人ですが」
浬
「そうなのか? 初耳だぞ」
青葉
「そうですよ。特に女子ですね。霧島さん、結構モテモテなんですよ?」
浬
「そうか」
青葉
「声だけじゃ素っ気ないですけど、皆さん。今の霧島さん、顔赤くしてますよ。意外と照れ屋なんですね」
浬
「うるさい黙れ帰るぞ」
青葉
「そういうこと言うと、評判下がっちゃいますよ? 寄せられているお便りにも霧島さんへのファンレターがあるんですが……」
浬
「あるのかよ……というか、空城の時も思ったが、こんな葉書きどうやって集めたんだ?」
青葉
「細かいことはお気になさらず。えー、頂いているお便りの一つに『霧島君は背が高く顔の造形もいいが、少々目つきが鋭すぎるのが玉に瑕だ。それから口調ももう少しマイルドだと、他の人も取っつきやすくなるだろう』というものがあります」
浬
「なんだその分析……なんか怖いんだが」
青葉
「確かに、普段は眼鏡で分かりにくいですけど、目つき悪いですねぇ……えい」
浬
「あ、おい! 眼鏡返せ!」
青葉
「うーわー、本当に酷い……軽くチンピラですね、これ」
浬
「誰がチンピラだ! 早く返せ!」
青葉
「それでも顔はいいですね。視界がぼやけて目を細めるから目つきが悪くなるんじゃないんですか?」
浬
「まあ、そうだと思うが……」
青葉
「だったらコンタクトとかにすればいいじゃないですか。最近は中学生でも結構いますよ、コンタクトつけてる人」
浬
「ん、それは……」
青葉
「? どうかしました?」
浬
「いや、コンタクトは、ちょっとな……」
青葉
「なんなんですか? コンタクトに両親でも殺されました?」
浬
「そんなわけあるか」
青葉
「だったらなんですか。はっきりしてくださいよ」
浬
「んー……いや、そのな、コンタクトはダメでな……」
青葉
「目に合わないとかですか?」
浬
「そうじゃなくて……コンタクトって、眼球に直接かぶせるだろ」
青葉
「そりゃそうですよ」
浬
「……怖くてな」
青葉
「あっはははははは! 皆さん聞きました!? あの霧島さんが『……怖くてな』ですよ! あはははははは!」
浬
「笑うな!」
青葉
「ははは……ふぅ。まあその気持ちも分からないでもないですけどね。目って大事ですし」
浬
「おおぅ、冷めるの早いな……」
青葉
「たぶん、大なり小なり、コンタクトを付ける人はみんなそう思ってますよ。で、付けてみたら案外どうってことなかったって思うんです」
浬
「まあ眼球にかぶせて問題多発だったら、コンタクトなんて普及してないだろうしな」
青葉
「そうですよ。で、それはそれとして」
浬
「今度はなんだ」
青葉
「霧島さんは、四月に空城さんからデュエマを申し込まれたそうですね」
浬
「ああ……あの時か。そんなこともあったな」
青葉
「その時、空城さんの挑戦を断ったそうですが、どうして受けなかったんですか?」
浬
「……俺にも色々あるんだよ。それに、いきなり得体の知れない奴とデュエマできるか。変に目立つのも嫌だしな」
青葉
「霧島さん、クラスでは務めて地味に振舞ってますもんね。あ、言い忘れてましたが、霧島さんとはクラスメイトです」
浬
「目立つのは好きじゃないからな。大人しくしてれば大抵は目立たない。お陰であまり話しかけられたりしないから楽だ」
青葉
「ぼっち体質なこと言いますねぇ……でも霧島さん、言うほど地味じゃないですよ。背高いんで目立ちますし、話しかけられないのは威圧感バリバリだからだと思いますよ」
浬
「そうなのか?」
青葉
「そうですよ。中一とは思えない図体で、そんな目つきで口も悪いとか、近寄りがたいに決まってるじゃないですか」
浬
「……そうなのか」
青葉
「霧島さん、へこんじゃいましたよ。意外とナイーブですね。そんな霧島さんのために、話題を変えてあげましょうか。というか、元々これについて話すつもりだったのに道筋がずれてしまいました。軌道修正です」
浬
「どこに修正するんだ」
青葉
「以前、空城さんをゲストにお招きした時に紹介したお便りと同じようなものなんですが、実は霧島さんにも、デュエマ関係のお便りが届いているんですよ」
浬
「教室でカードを広げたことなんてないんだがな」
青葉
「いやいや、腰にデッキ吊ってるだけで分かりますって。それで、デッキの内容を参考にしたいと」
浬
「まあ……俺は別に構わないけどな。俺が今現在、使用しているデッキはこれだ」
枚数:コスト:文明:名前
2:8:水:《龍素記号iQ サイクロペディア》×2
4:6:水:《アクア・サーファー》×4
1:5:水:《零次龍程式 トライグラマ》×1
3:5:水:《超閃機 ヴィルヴィスヴィード》×3
3:4:水:《超閃機 ジャバジャック》×3
3:4:水:《アクア・ジェスタールーペ》×3
4:3:水:《アクア・ソニックウェーブ》×4
4:3:水:《蒼狼アクア・ブレイド》×4
4:2:水:《アクア・エボリューター》×4
4:2:水:《アクア・ビークル》×4
4:2:水:《アクア戦闘員 ゾロル》×4
4:1:水:《アクア・ティーチャー》×4
1:2:水:《スパイラル・ゲート》×1
青葉
「水単色のビートダウンデッキですね」
浬
「ああ。このデッキには、大きく分けて二通りの動かし方がある。一つは《アクア・ティーチャー》を出しておき、能力なしのクリーチャー、通称バニラクリーチャーを並べて手札を切らさずクリーチャーを展開し攻めていく、バニラビート的なスタイル。もう一つは、《アクア・エボリューター》から最速で《ジャバジャック》や《ヴィルヴィスヴィード》を呼び出す、進化速攻的なスタイル。勿論、この二つのスタイルを同時に用いることも可能だ」
青葉
「リキッド・ピープルは展開力が売りですが、パワーが低めですから、展開するだけでは全体火力でやられてしまうことも多いです。けれど、その弱点を進化クリーチャーで補っているんですね」
浬
「そんなところだ。バニラビート一本で攻めても、シンパシーでコストの軽くなった《サイクロペディア》や、パワー12000の《トライグラマ》がいるから、早々やられはしない」
青葉
「ふむふむ。改造のポイントとかはありますか?」
浬
「そうだな……《アクア・エボリューター》を生かして、進化クリーチャーを増やしたり、入れ替えたりしてもいいかもしれないな。《クリスタル・スーパーパラディン》は、サイキック・クリーチャー相手には強いし、ブロッカーをまとめて消し飛ばせる。アタッカーもバウンスできるのが《ヴィルヴィスヴィード》の強みだが、ブロッカーが邪魔だと感じるのなら、《スーパーパラディン》の方がいいかもしれない。後は少し重いが、《クリスタル・ランサー》という選択肢もなくはない。進化クリーチャーとはいえ、どいつもこいつもパワー6000。ある程度高火力には引っかかるからな。とはいえ、やはりスピードで押した方が強いが」
青葉
「成程。他には」
浬
「防御が気になるのならS・トリガーを増やしてもいい。リキッド・ピープルではないが、《終末の時計 ザ・クロック》はビートダウンとは相性のいいS・トリガー獣だ。パワーの低さが気になるのなら《アクア監視員 リツイート》がいる。アタックトリガーで能力発動にタイムラグがあるが、リキッド・ピープルにしてはパワーが高いから、火力や殴り返しには強い。展開力を高めたければ、《アクア・ガード》や《アクア・ハンマープライスのような》1〜2コストの軽いリキッド・ピープルを入れるといい。《アクア・ジェスタールーペ》を増量すればさらにクリーチャーが展開しやすくなるぞ。それから、俺は比較的ドローに重点をおいているが、《アクア隠密 アサシングリード》などのクリーチャーをバウンスするカードを入れて、除去性能を高めてもいい」
青葉
「普段は寡黙なくせに、こういう時になると饒舌になりますね、霧島さん」
浬
「っ……悪いか」
青葉
「いえいえ、逆に嬉しいですよ。喋ってくれないと、盛り上がりませんからね」
浬
「……まあいい。とにかく、このデッキはリキッド・ピープルがメインという点さえ押さえれば、好みによって様々な改造ができる。ビートダウンと相性のいいリキッド・ピープルなんていくらでもいるからな」
青葉
「ですね。リキッド・ピープルはやっぱビートダウンですよね」
浬
「……まあ、最近は呪文を使ったコントロールを試しているだがな」
青葉
「あれ? なにか言いました?」
浬
「なにも」
青葉
「なんか気になりますねぇ……気になりますが、残念。もう時間です」
浬
「やっと終わりか。もう帰っていいんだな」
青葉
「なんかドライな風を装っていますけど、デッキについて語ってる時は凄く熱かったですよ?」
浬
「黙れ。もう来ないぞ」
青葉
「なにも言ってないのにまた来ることを想定しているなんて、霧島さん優しいですねぇ」
浬
「なっ……くっ」
青葉
「というわけで、今回の放送はここまでです。今回のゲストは霧島浬さんでした。ではでは、またの放送をお楽しみに」