二次創作小説(紙ほか)
- Act1:月と太陽 ( No.5 )
- 日時: 2016/10/22 12:01
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
***
「おらおらあっ! 《アクア・ビークル》でシールドをブレイク!」
少年——ノゾムは序盤から小型のリキッド・ピープルを出していき、シールドを次々に叩き割っていく。ヒナタのシールドは残り3枚。場には《斬斬人形コダマンマ》。
一方のノゾムの場にはさっき挙げた《アクア・ビークル》に加え、《アクア・ティーチャー》に《アクア艦長 イソロック》を出している。
シールドは4枚だ。
「シールドチェック……くそっ、ダメか。おいお前! 何で俺に勝負を挑んだ?」
「簡単だぜ! 巷じゃ、あんたがすげーカード使うって噂だからな。だから、うちの家宝である変わったカードを直接見てもらいたかったんだ」
「直接? つまりデュエマでか」
「そうだ」
「てか変わったカードって?」
「そりゃあ、アウトレイジのバーンッて実体化するカードのことだ! さあ、とっとと見せな! オレのとっておきも見せてやるからさ!」
随分と図々しい後輩である。
ノゾムの言葉で、ああ、と思い出したかのようにヒナタは呟いた。
「わり、それなら無くしたっつーか、元の世界に帰ったっていうか」
「はぁ!? ふざけんな、オレはそのためにこの学校に入ったんだぞ!?」
「んなこと言われても……」
「なぁーにぃぃぃ!! もう許さねーぞぉ!!」
「ねえ、俺何かやったっけ!? やったっけ!?」
ともかく、こいつは一刻も早く撃破しなければ、と滑らせるようにカードを操るヒナタ。
ともかく、今のシールドブレイクで手札に来たクリーチャーを出す。
「よし、来い! 俺のターン。スピードアタッカー、《鬼切丸》と《ピアラ・ハート》召喚!」
鬼切丸 C 火文明 (3)
クリーチャー:ヒューマノイド/アンノイズ 1000+
自分のマナゾーンのカードがすべて火または無色であれば、このクリーチャーのパワーは+3000され、「スピードアタッカー」を得る。
ピアラ・ハート C 火文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード 1000
S・トリガー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー1000以下のクリーチャーを1体破壊する。
「《ピアラ・ハート》の効果で《アクア・ティーチャー》を破壊! んでもって、《鬼切丸》で《ビークル》を攻撃して破壊!」
槍が《アクア・ティーチャー》を、剣が《アクア・ビークル》を切り裂く。
だが、それでも尚彼は不敵な笑みを浮かべていた。
「オレのターン、《アクア・ジェスタールーペ》召喚! 連鎖でこいつよりもコストの低いクリーチャーが山札の一番上にあれば出せるんだ! 《ジェスタールーペ》進化! 《クリスタル・ブレイダー》!」
現われたのは、魔術師のような水棲人、《アクア・ジェスタールーペ》だ。さらに、水流と共に《ジェスタールーペ》は消え、《クリスタル・ブレイダー》が現われる。
アクア・ジェスタールーペ UC 水文明 (4)
クリーチャー:リキッド・ピープル 2000
M・ソウル
連鎖(このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目を見る。そのカードが、このクリーチャーよりコストが小さいクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい)
自分のターン中に、このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、それがそのターンに出した2体目のクリーチャーであれば、カードを1枚引いてもよい。
クリスタル・ブレイダー R 水文明 (2)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル 5000
進化−自分のリキッド・ピープル1体の上に置く。
ブロッカー
ブロッカーにして、リキッド・ピープル進化クリーチャーの《クリスタル・ブレイダー》。進化であろうが、自身よりコストが小さければ《ジェスタールーペ》は出せるため、厄介なクリーチャーが出たといえる。
「《ブレイダー》で《鬼切丸》を破壊! さらに、《イソロック》でシールドブレイクだぜー! ターンエンドだ!」
——やばっ、こいつ強いぞ!!
ヒナタがじりじりと焦燥感を覚え始めたのは言うまでもなかった。
しかし。
「S・トリガー発動、《めった切り・スクラッパー》でコストが6以下になるように相手クリーチャーを破壊する! コスト2の《クリスタル・ブレイダー》とコスト3の《イソロック》を破壊!」
S・トリガーが発動し、一気にノゾムの場のクリーチャーが焼き尽くされる。
「俺のターンだ! 《禍々しき取引 パルサー》を召喚!」
禍々しき取引(トランス・サクション) パルサー P 火文明 (3)
クリーチャー:アウトレイジ 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札をすべて捨て、その後、カードを2枚引く。
丁度手札がなくなっていたため、一気に2枚引くヒナタ。更に——
「んでもって、《一撃奪取 トップギア》も召喚だ!」
一気に逆転された。クリーチャー3体が睨みを利かせる。
「ッ——!!」
『お前のデュエルなんざ、所詮、暁ヒナタの”真似事”だろ』
『そんなだったら、辞めちまえよ、デュエマ』
「くっそおおお!!」
ノゾムの脳裏にふと言葉が蘇る。ギリッと歯をくいしばった。
「《コダマンマ》でシールドブレイク。ターンエンドだ」
「くそったれ!! あんたに恨みはねえが、ここでぶっ潰す」
刹那、割られたノゾムのシールドが収束する。
「S・トリガー発動、《アクア・サーファー》で《トップギア》をバウンスだ!」
「チッ、しくじったか」
「俺のターン! 此処でオレがあんたに勝てば、オレがオリジナルだ。あいつらに真似事だと笑われたデュエルが本物になるんだ!!」
「? 何言ってるんだ」
「ほざきなっ!! オレのターン、こいつを召喚するぜ」
カードが7枚、タップされた。否、それだけではない。マナゾーンのカード全てが青白く光っている。
「星の力を身に纏え! 蒼き装甲がすべてを物語る! 現われよ、玉兎の最終兵器!! 《月英雄 碧鎧のルーン・ツールC》召喚!」
直後、ノゾムの真上に咆哮する龍——そして、鉄槌を振り回す兎の獣人が現れた。体つきは人間の女性に近いが、全身が白い体毛で覆われている。さらに、その上から幾多もの青い装甲で固められている。そして、周囲には龍が回っていた。
「ははははははは!! 玉兎の武神の降臨だあああ!!」
——何だあのクリーチャー! まるで、ホログラムの立体映像じゃなくて、本当に——
そう、まるで生きているようだった。
否、そんなことよりも重要なことがあった。浮かんでいる。ノゾムの髪をくくって剥きだしになった額に三日月のマークが浮かび上がっているのだ。
さらに、目も全体的に青白く光っており、はっきり言って不気味である。
「へへっ、こいつぁ少しヤバ気だな……!」
「マナ武装7発動! 効果でカードを2枚手札に加える!」
まずい。必要なパーツを、これで更に揃えられてしまった。
「くそっ、パワー6000のブロッカーか!」
加えて、ノゾムの様子がおかしい。まるで、あの《ルーン・ツールC》がノゾムを糸で引っ張っているかのようだった。
『アイタイ。ドコ? ドコニイルノ?』
「喋った……やっぱりコイツ、クリーチャーか!」
クリーチャーなのは当たり前なのだが、それ以上に”実体化”する本物のクリーチャーだということだ。
『ハ……クヨウ、コワイヨ……タスケテ……』
バチバチ、とクリーチャー、《ルーン・ツールC》の周りから電気のようなものが走る。
「《アクア・サーファー》でアタック! 弾け飛びなッ!!」
《アクア・サーファー》が突撃し、ヒナタのシールドを叩き割った。
「くそっ、俺のターンだ! 《極武者カイザー「斬鬼」》召喚!」
極武者カイザー「斬鬼」 P 火文明 (5)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/ハンター/エイリアン 4000
パワーアタッカー+2000
このクリーチャーが攻撃する時、自分のシールドをひとつ手札に加えてもよい。ただし、その「S・トリガー」は使えない。このようにしてシールドを手札に加えた場合、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー
——だけど、こいつは今は使えない。
クリーチャーには、召喚酔いというものがあり、「スピードアタッカー」という例外を除いてバトルゾーンに出たターンが攻撃できない。その点、手札に加えたシールドを捨てることで現われるS・バッククリーチャーや、S・トリガークリーチャー等は相手のターンに出るため、擬似的なスピードアタッカーとして活用できるのである。
「とにかく、次のターンでそいつをどかしから、一気に攻める!」
「出来れば良いなぁ。だけどよ、ちと遅すぎたんじゃねえのかァ!?」
ノゾムの顔が歪んだ。それも、余裕綽々といった笑みだ。
「オレのターンだ! 《アクア戦闘員 ゾロル》2体と《アクア・ビークル》を召喚! そして、3体を進化元に——進化GV発動!!」
3体のリキッド・ピープルが結集し、1つの結晶となる。結晶からは5体が生え、龍の形を作った。
「龍素抽出完了。勝利の連立龍程式は成立した! これより、証明に掛かる——《零次龍程式トライグラマ》!」