二次創作小説(紙ほか)

Act1:月と太陽 ( No.6 )
日時: 2014/05/29 20:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「------------龍素抽出完了。勝利の連立龍程式は成立した! これより、証明に掛かる----------《零次龍程式トライグラマ》!」

 高らかなノゾムの宣言と共に、進化クリスタル・コマンド・ドラゴン、《トライグラマ》が美しい体と甲高い声を上げて現われた。

「な!? 一体、ドコにそいつを出すマナが……!」
「ご愁傷様でした! こいつは、自分の場に能力を持たないクリーチャーが3体以上居るとタダでバトルゾーンに出せるグラビティ・ゼロを持ってるんだぜ!」
「ま、まずい----------!!」

 結晶龍が咆哮を上げて迫る。そして-----------一気に光線銃がヒナタの残り少ないシールドを全て打ち貫いた。

「くそっ、たれ!! だけどな------------運は俺の方が強かったみたいだな!」

 直後、シールドが光の結晶となって集積した。

「S・トリガー発動! 《爆流剣術 紅蓮の太刀》ッ!!」

爆流剣術 紅蓮の太刀 P 火文明 (5)
呪文
S・トリガー
相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体、破壊する。
マナ武装5:自分のマナゾーンに火のカードが5枚以上あれば、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。

「マナ武装5発動! 効果でパワー6000の《ルーン・ツールC》を破壊!」
「なっ!?」

 直後、《ルーン・ツール》は悲鳴を上げて青い粒子となって消滅した。同時に、ノゾムの額に浮かび上がっていた三日月の紋章も消える。

「オ、オレは今まで------------」
「さあ、行くぜ! 俺のターンだ!」

 ここから、ヒナタのフィーバータイムが始まる。

「怒り爆発、大噴火!! 大地の力を武装し、先導せよ! 《怒英雄 ガイムソウ》召喚だ!」

撃英雄 ガイムソウ P 火文明(7)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン
マナ武装7:火 このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに火文明のカードが7枚以上あれば、《怒英雄 ガイムソウ》以外の自分の進化ではないクリーチャーを1体自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そのクリーチャーは「スピードアタッカー」を得、ターンの終わりにバトルゾーンから手札に戻す。
W・ブレイカー

 現われたのは、武装を施した龍。だが、これだけでは終わらない。

「さらにっ! マナ武装7発動! 手札から、コイツを出すぜ!」

 焔がバトルゾーンに現われた。燃え盛る炎は、まさに怒りを表すかのようだ。

「《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》召喚! さらに、スピードアタッカーだ! シールドをW・ブレイク!」

 蒼き鎧に身を包んだ鎧龍が戦場を飛ぶ。そして、怒りの炎でノゾムのシールドを2枚、焼き尽くした。

「ッ!」
「《ボルメテウス》がブレイクしたシールドは直接墓地に送られる! つまり、トリガーも無効化だ!」
「ア、《アクア・サーファー》が!!」
「いっけえええ!! 《コダマンマ》と《ピアラ・ハート》で残りのシールドを全てブレイク!」

 続けて躍り出るクリーチャー。そして、最後に勝負を決めたのは----------------


「《極武者カイザー「斬鬼」》でダイレクトアタック!!」

 
 戦国の鎧に身を包んだ装甲竜だった。


 ***

「カードを見て貰いたい、なんて全部口実だったんだ」
「え?」

 ノゾムは、やや脱力した様子で、それでも楽になったのか息を漏らす。

「オレは、友達なんか居なかった。こんなんだから、どんどん人も離れていく。だけど、デュエマのときだけは違ったんだ」

 ぐっ、とデッキを握り締める。

「そして、必死こいて作った墓地ソースデッキで、やっと町の大会で優勝したんだ」

「だけど----------」と語るノゾムの顔は暗く曇った。


「それも全部、暁ヒナタの真似事だって言われて------------またオレには居場所が無くなった。あんたのことなんか、名前も知らなかったのに。オレのプレイスタイルは月みてえに、太陽の真似をして作った光に過ぎなかったんだ」

 彼は嘲笑していた。そして、続けた。

「オレはあんたがどんな奴か調べた。んでもって、あんたがオレより1歳しか違わないくせに、すげえ学校の中ですげえ人達をどんどん倒して言ってることも。オレは、あんたを憎む反面、憧れていた」

 そして再び、起き上がり、ヒナタと向き合った。

「そして数ヶ月前、家宝として飾られていたカードを調べたら、それがデュエマのカードだったってことに気付いた」
「それが《ルーン・ツールC》だった訳か」
「ああ、それでオレは今日、此処であんたを倒すことにしたんだ! もう、誰にもオレのスタイルがあんたの真似事だって言わせないようにな!」

「違う!!」

 ヒナタは一喝した。

「何で気付かねえんだよ。何で人の目ばっか気にしてんだよ! お前のデュエマは、人に笑われたくらいで揺れる安っぽいものだったのか? 違うだろ! お前と今、全力で戦った俺だからこそ言える! お前、すげえよ! はっきり言って、こんなに燃えるデュエマも久々だったぜ!」
「おいヒナタ、それ地味に僕を貶していないか」

 レンのドライな突っ込みを完膚なきまでにスルーし、ヒナタは続ける。

「誇りを持てよ! お前はこの、暁ヒナタと正々堂々ぶつかって、ここまで追い詰めたんだぜ! 月は確かに、太陽の光がねえと光らねえよ。だけど、それで良いじゃねえか!」

 ノゾムの呼吸が止まった。

「俺の真似事だ? 上等じゃねえか、掛かってきやがれ! どんなデッキだろうが、どんな戦法だろうが、デュエリスト同士で100%一致することは在り得ねえ!」

 ヒナタは、ふぅと息をつくと言った。

「ぐだぐだ言ったけどよ、俺が言いたいのは唯一つだ。”胸張って生きやがれ”! それだけだ!」
「---------ッ!」

 次の瞬間。ノゾムは膝を付き、土下座した。

「御見それしました、暁ヒナタ先輩ィィィ!!」
「ええええええ!?」
「一生付いていきますゥゥゥ!!」
「付いてこなくて良いんだけど!?」
「まずは、飲み物なんかパシってきますね、コーヒーが良いですか、うぉ〜い紅茶が良いですか!?」
「何で二択なんだ馬鹿野郎! コーラかファンタのどっちかにしろ!」
「炭酸は身体に悪いのでダメっす!」
「真面目か!!」

 その光景を見て--------------レンは呟いた。

「馬鹿がまた1人増えたってことで、良いな」

 月と太陽。この2人が真に相棒として共に戦うようになるのは、もう直ぐ先である---------------。