二次創作小説(紙ほか)

Act3:焦燥と制限時間 ( No.8 )
日時: 2014/05/26 23:07
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 ***

 現在、5時40分。タイムリミットは7時までの1時間20分。

 大変なことになった。今、目の前で同学年の少女が誘拐されたのだ。このまま見過ごすことなど、ノゾムには出来ない。
 しかし-----------警察に頼ることは出来ないと悟った。
 何故ならば、龍に乗った少年がいきなり少女を攫って言ったとなれば、これは余りにも非現実的すぎるのである。

「どうする? どうすりゃいいんだ!」

 ---------そうだ、ヒナタ先輩に連絡を---------
 プルルルル、とスマホでヒナタの番号に掛ける。しかし、何時まで経っても出る様子がない。

「くそっ、何で出てくれないんですか!」

 当然だった。何故なら、その時ヒナタは--------------。

 ***

「ニンジャ・ストライク発動、《威牙の幻 ハンゾウ》で攻撃してきた《ガイアール・アクセル》を破壊!」
「くそっ、やられたか!」
「さらにターンの終わりに、《ユウナギ》の効果で《ハンゾウ》をマナゾーンへ!」

 ヒナタが路地裏でクナイとデュエマしていたからである。そう、日陰になりやすいうえにこの辺りは電波が干渉を受けやすい地点のため、ケータイやスマホは圏外となっている。しかも、ホログラム発生プレイマットなるものを使用しているため、余計のめりこんでしまっているようだ。フィールドには実体化したようなクリーチャーが。
 現在、ヒナタのシールドは3枚。一方のクナイのシールドは2枚。場にはヒナタが《ギャノバズガ・ドラゴン》と《コッコ・ルピア》に対し、クナイが《薫風の面 ニャス》に《土隠妖精 ユウナギ》だ。 
 ヒナタのデッキはガラリと変わって装甲竜(アーマード・ドラゴン)中心の火単ドラゴンデッキ。
 一方のクナイは、今までのデッキにレインボーのサポートを入れたようだったが、ヒナタはまだそれを知らない。

「さあ、俺のターンだ。忍ッ! 呪文、《必殺! 絶対絶望!!》」
「はっ。その呪文は火、闇、水の3色レインボー呪文だぜ。どうやって唱えるんだよ!」
「お前の目は節穴か。暁ヒナタ。《ニャス》の効果発動。忍法、文明上書の術!」

 直後、クナイのマナゾーンのカードが5色に光る。

「《薫風の面 ニャス》がいる限り、俺のマナゾーンのカードは5文明すべてのカードとして扱う。つまり、レインボー呪文だろうがなんだろうが、唱えられるという寸法だ」

薫風の面(コートニー・スタイル) ニャス P 自然文明 (3)
クリーチャー:ビーストフォーク號 3000
自分のマナゾーンにあるカードを、すべての文明のカードとして扱う。

 仮面に呪術を吹き込んだ種族、”ビーストフォーク號(ごう)”は主にジュラシック・コマンド・ドラゴンのサポート種族として背景ストーリーでは位置づけられているものの、中には多色(レインボー)のサポートをするものもいるのだ。

「えっ!? マジかよ!」
「それだけではないぞ。《絶対絶望!!》はマナにある指定された文明のカードの数だけ、効果を増すが、今の俺は”唱えるだけで”その規定を満たしたことになる。さあ、吹き飛ばせ!」

必殺!絶対絶望!! R 水/闇/火文明 (7)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分のマナゾーンに水のカードが5枚以上あれば、カードを2枚まで引く。
自分のマナゾーンに闇のカードが5枚以上あれば、相手は自身の手札を2枚選んで捨てる。
自分のマナゾーンに火のカードが5枚以上あれば、相手のパワー6000以下のクリーチャーを2体破壊する。
 
「さあ、カードを2枚引き、お前は手札を2枚捨て、そして《ギャノバズカ》と《コッコ・ルピア》を破壊! そして、《ユウナギ》でシールドをブレイクだ!」

 シールドが割られる。さらに。

「《ニャス》も後に続け! シールドブレイク!」
「ちっくしょぉ!」

 シールドが残り1枚に。まずい。これはあまりよろしくないパターンである。
 ヒナタのターン。カードを引く。そして-----------


「俺のターン! 《爆竜バトラッシュ・ナックル》召喚! 効果で《ニャス》とバトルして破壊! ターンエンドだ!」
「ふっ、ではこれでお仕舞いにしてくれよう。俺のターン。《ニャス》と同じ効果を持つ《薫風妖精コートニー》召喚。さらに《飛散する斧 プロメテウス》召喚。効果で《ハンゾウ》を回収。そして、《ユウナギ》で最後のシールドをブレイクだ!」

 シールドがブレイクされた。
 そして刹那-----------クナイのクリーチャーが全て焼き払われた。

「S・トリガー、《火焔タイガー・グレンオー》でお前のクリーチャーを全部焼き払うぜ!」

火焔タイガーグレンオー R 火文明 (7)
クリーチャー:フレイム・モンスター/サムライ 2000
S・トリガー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー2000以下のクリーチャーをすべて破壊する。

 クナイの場には、パワー2000以下のクリーチャーしかいない。よって、全て破壊されたのである。

「相も変わらず、運だけは良い奴だ……!!」
「運も実力のうちだぜ! 俺のターン!」

 バトルゾーンに激しく炎が渦巻く。

「白き装束に、紅き炎の魂を! 真実と未来を斬って知れ! 《爆竜GENJI・XX》召喚!!」

爆竜 GENJI(ゲンジ)・XX VR 火文明 (6)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/フレイム・コマンド/サムライ 7000
K・ソウル
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー 


 クナイの手札はたったの1枚だった。その中には、100%《ハンゾウ》が入っている。しかし、それだけで猛攻を止められる訳も無く--------------

「くっ、まずい-----------!!」
「どーしたクナイ! ポーカーフェイスが乱れてるぜ! 《バトラッシュ・ナックル》でシールドをW・ブレイク!」
「防ぐぞ! ニンジャ・ストライク7発動! 《威牙の幻 ハンゾウ》で《バトラッシュ・ナックル》のパワーを-6000して破壊!」

威牙の幻ハンゾウ VR 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド/シノビ 5000
ニンジャ・ストライク7(相手のクリーチャーが攻撃またはブロックした時、自分のマナゾーンにカードが7枚以上あり、その攻撃中に「ニンジャ・ストライク」能力を使っていなかった場合、このシノビをコストを支払わずに召喚してもよい。そのターンの終わりに、このシノビを自分の山札の一番下に置く)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーのパワーは-6000される。
このクリーチャーが破壊される時、自分のマナゾーンに闇のカードがあれば、このクリーチャーのかわりに自分のシールドを1枚墓地に置いてもよい。
※殿堂入り

「よっしゃあ! 《GENJI》でW・ブレイク!」
「くっ----------あ」
「《タイガーグレンオー》でダイレクトアタ------------」
「まだだ!」

 クナイが余裕の笑みを見せて、カードを繰り出した。
 ---------しまった、さっきブレイクしたシールドの中に!

「ニンジャ・ストライク6発動! 《不知火グレンマル》で《タイガーグレンオー》を破壊、撃破!」

不知火(しらぬい)グレンマル UC 火文明 (7)
クリーチャー:フレイム・モンスター/シノビ 5000
ニンジャ・ストライク6
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊する。

 瞬間、《タイガーグレンオー》は破壊された。同じフレイム・モンスターに破壊されるのは、何の因果か。

「え、えええ!?」
「俺のターン。《ニャス》を再び召喚」

 これで、再びマナのカードは全て全色になる。
「ちょ、おま、待ち」
「そして、《疾封怒闘 キューブリック》召喚。こいつの効果はお前が一番知っているはずだ。なぁ?」

疾封怒闘(スパイラルアクセル) キューブリック P 水/火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジ 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分のマナゾーンに火のカードが3枚以上あれば、このクリーチャーは「スピードアタッカー」を得る。
W・ブレイカー
このクリーチャーがどこからでも自分の墓地に置かれた時、自分のマナゾーンに水のカードが3枚以上あれば、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
※殿堂入り

「も、勿論……え、とマナゾーンに火のカードが3枚以上あれば-------------」
「スピードアタッカーになる、だ! ダイレクトアタック!」
「しまったあああ!!」

 まさか、以前自分が使っていたカードに止めを刺されるとは思っていなかった。
 結果、ヒナタは敗北を喫したのだった。

 ***

 というように、ヒナタが見たいアニメも忘れてデュエマに熱中しているので、ノゾムは彼を頼ることが出来なかったのだった。
 そんなこともいざ知らず。

「俺1人で行くしか-----------ないのか!?」

 意を決して、ノゾムは祖父の元に行くことにしたのだった。