二次創作小説(紙ほか)

Act6:二つの解 ( No.110 )
日時: 2015/06/28 22:01
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

 
 コトハとアクロガンドラーのデュエル。此処までは、大きな動きはない。先攻2ターン目、コトハは動き出した。

「《フェアリー・ライフ》でマナを加速するわ! ターンエンドよ!」
「《霞み妖精 ジャスミン》を召喚。山札の上から、《偽りの王 ヴィルヘルム》をマナゾーンへ! ターンエンドだ!」

 ----------見たところ、相手のデッキは自然をベースに火と闇を投入したドラゴン中心の多色デッキ……対して、あたしのデッキは自然単色。攻撃性能、継続性能、共に相手の方が上だけど、単純なブースト力と一撃の破壊力ならあたしの方が上よ!
 多色デッキは事故の可能性は高いとはいえ、対応力は向こうの方が上だ。
 一方のコトハは、1つの事に特化させやすい単色自然デッキ。しかし、その分小回りは利きづらいのである。

「あたしのターン! 《爆獣 マチュー・スチュアート》召喚! ターン終了よ!」




爆獣マチュー・スチュアート C 自然文明 (4)
クリーチャー:ドリームメイト/ナイト 2000
自分が呪文を唱えた時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。




 《マチュー・スチュアート》は、自分が呪文を唱えるたびに、自分のマナを増やすカード。これを起点に、更にマナを増やしていきたいところだ。つまり、《フェアリー・ライフ》などを使えば、さらにマナゾーンのカードを増やすことが出来るのだ。
 とあるコンセプトのために、とっととマナを貯めなければならないコトハにはぴったりのカードと言えよう。
 
「俺様のターン……! もう1度、《フェアリー・ライフ》で《ダイハード・リュウセイ》をマナへ。ターンエンドだ!」

 相も変わらず、マナ加速を続けるアクロガンドラー。しかし、その姿は逆に不気味とも取れる。
 この先、敵が何を用意しているのか、全く読めないのだ。

「あたしのターン、《超次元 フェアリー・ホール》でマナを1枚加速し、超次元ゾーンから《魂の大番長 「四つ牙」》を召喚! さらに、《スチュアート》の効果で、山札からカードを1枚マナゾーンに! ターンエンドよ!」

 これにより、コトハのマナゾーンのカードは、一気に7枚へと膨れ上がった。
 これで、後は手札次第で一気にゲームセットに持ち込むことが出来る。出来るが------------

「俺様のターン、4マナで《ライフプラン・チャージャー》を使用。その効果により、カードを5枚見て《従順の山猫星 タスク・ニャンクス》を手札に!!」

 この瞬間、コトハは瞬時に察した。あれが、敵の切札であると。

『気をつけて下さいにゃ! アクロガンドラーの恐ろしさは、自分のマナさえも食らい尽くしてしまうにも関わらず、さらにそれを無理矢理拡張してしまうことにあるのですにゃ!』
「とにかく! こっちも準備を固めるしかないわ!」

 まず、コトハのターン。現在、場には《スチュアート》と《「四つ牙」》が居る。
 そして、《「四つ牙」》の効果でマナゾーンにカードが1枚置かれた。
 つまり、手札からのマナチャージをしなくとも、コトハのマナは7枚になる。


魂の大番長「四つ牙」(クワトロ・ファング) R 自然文明 (6)
サイキック・クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 6000
自分のターンのはじめに、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
W・ブレイカー


「そして、あたしは《地掘類蛇蝎目 ディグルピオン》を召喚! あたしの場にドラゴンがいないから、マナゾーンに置くわ!」



地掘類蛇蝎目 ディグルピオン VR 自然文明 (3)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンに自分の他のドラゴンがあれば、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。自分のドラゴンが他に1体もなければ、このクリーチャーをマナゾーンに置く。
W・ブレイカー



 《ディグルピオン》をバトルゾーンに出したとき、他にドラゴンが居なければ、このクリーチャー自身がマナゾーンに送られる。これだけなら3コストの《フェアリー・ライフ》や《霞み妖精ジャスミン》相当なので大した性能とは言えない。
 しかし、ドラゴンがいれば3コストパワー6000、マナ加速効果持ちと《青銅の鎧》もびっくりの性能と化す。
 ただ、今回はドラゴンが居なかったので、前者のなんとも言えないカードになってしまったが、このカードの最大の利点は序盤から終盤のダメ押しまで使える万能駒であることか。
 そのままターンを終えたコトハ。しかし。

「俺様が……俺様が……俺様ガ、ニャンクスナンダァァァァァーッ!!」

 次の瞬間、アクロガンドラーの手札から1枚のカードが現れた。《従順の山猫星 タスク・ニャンクス》のカードだ。
 
「現れよ、我が化身!! 《タスク・ニャンクス》召喚!! 超次元ゾーンから、《邪帝類逆襲目 アクロガンドラー》をバトルゾーンへ!!」

 現れたのは、黒い影のような《ニャンクス》だった。顔は、黒い靄で潰されており、判別できない。
 さらに、超次元の穴が開き、そこから恐竜のようなクリーチャー、《アクロガンドラー》が現れた。
 岩のようにごつごつした身体、不気味にぎらめく瞳、そして鋭利な刃が生えた尻尾。
 その全てに攻撃的な何かを感じる。

「何よあれ……! 不気味すぎでしょ……!」
『コトハ様! あれがステラアームド・クリーチャーですにゃ! 奴らに共通するのは、”自分と同じコア”を持つクリーチャーを呪文やクリーチャーの効果で選べなくさせるということ! そして、条件を満たすことで自分を呼び出したクリーチャーへ鎧として武装されることですにゃ!』
「まっずいわね……! レンもあいつにやられたんだわ!」
『これはまだ、敵の本領では無いのですにゃ! ステラアームド・クリーチャーは武装してからが、とても手強くなりますにゃ!』
「ねえ、教えて! 何があったの!?」

 コトハは問うた。


「あんたと、アクロガンドラーの間に何があったのよ!?」


 呻くような声を上げたニャンクスだったが、決意したような声で言った。


「奴を巡り、僕の故郷の王国の大地は----------------荒れ果て、不毛の死の地になってしまったのですにゃ」