二次創作小説(紙ほか)

Act7:大地を潤す者=大地を枯らす者 ( No.112 )
日時: 2015/06/29 17:52
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「僕は死んで王様に詫びなければ、いけないと思っていたのですにゃ……でも、この世界に転生したとき、何故か王国の末路が脳内に入り込んできたのですにゃ。僕が死んだから、王様も死んでしまった……! 僕は取り返しのつかないことをしてしまった……!」

 凄絶な過去だった。良かれと思ってやったことが、全て裏目に出るほど、虚しいことはあるまい。
 
「だけど、王様はあんたが側にいることを望んでいたんでしょ!? 少し考えれば分かったはずよ!」

 しかし、コトハのその言葉は無理を言っているに等しかった。自責の大きさなど、当事者にしか分かるわけも無く。
 ニャンクスは、「どっちにしても王様に申し訳ないし、アクロガンドラーにも申し訳ないのですにゃ」と答えた。
 
「僕が、もっとちゃんとあいつと向き合っていれば、こんなことにはならなかったはずですにゃ!!」

ニャンクスの瞳には、後悔の色に染まった涙が浮かんでいた。
 だからこそ、今度は自らの手でアクロガンドラーを倒すと決めたのだ。非力な自分は1人だけでは勝てない。
 だからこそ、適合者の力をより欲したのだ。

「----------コトハ様!! 力を貸して下さいにゃ! 僕に、奴を倒す力を----------!!」

 コトハはしばらく、何も言わなかった。
 しかし。
 怒ったような顔で、彼を睨み言い放った。


「”力を貸してくれ”? 助けを頼んでおいて、傲慢がすぎるわよ、あんたは!!」


 ひっ、と怒気の篭った彼女の声に、ニャンクスは怯えを隠せなかった。
 傲慢!? 自分は何か威張ったり、失礼を働いたのか、とニャンクスは慌てたが、そうではないようだった。

「あんた。さっきの話も聞いてて思ったけど、”何でもかんでも1人で背負いすぎ”! 力を借りるって、結局それ、あたしから力を借りるだけ借りて、自分1人で解決しようとしてるだけじゃない!」
「あ----------う---------」
「だから誓いなさい!! 今此処で!!」

 はっきりと、彼女は、今の主は言った。



「あたしと”力を合わせる”のよ!! あんた1人だけじゃない。あたしも一緒に戦うの!! これ、命令だからっ!!」


 
 力を借りる。力を合わせる。後者の方が、何となく肩の荷が降りた気がした。
 思えば、自分はいつも1人で何かを背負い込んでしまっていた。
 非力だから、前線を誰かに任せようとせず、自分も無理に闘おうとしていた。
 だから、星芒武装の研究の末にこうなったのだろう。
 アクロガンドラーの野心は、一体自分のどこから来たのだろう、とニャンクスは考えていた。
 しかし、今答えが出た。
 ------------僕が、無意識に僕1人だけで、戦おうとしていたから-----------!! 
 
「分かりましたにゃ、コトハ様! 僕は、コトハ様と一緒に戦いますにゃ!」

 そうニャンクスが叫んだ瞬間だった。コトハの超次元ゾーンに、1枚のカードが置かれる。
 ------------これって-----------!!


「どうした!! 貴様のターンだぞ!!」


 アクロガンドラーが叫ぶと同時に、我に返る。そうだ。相手は《アクロガンドラー》を出して、ターンを終えたのだ。
 しかし、超次元ゾーンに突然置かれたこのカードを見て、ニャンクスは飛び跳ねて驚く。

「これはっ! ステラアームド・クリーチャー!? それも僕が見たことないものですにゃ!」
「うっそ!?」
「もしかしたら、コトハ様の気持ちに呼応して誕生したのですにゃ! これで、勝ち目が出てきましたにゃ!」
「わ、分かったわ! よし、私のターンよ! 《「四つ牙」》の効果で1マナを加速するわ!」

 マナチャージを行い、コトハはまず、目の前の敵に対抗するための手段を考えた。
 そして、それが”無い”ことを確認すると、1枚の呪文を唱える。

「《トレジャー・マップ》! これで、山札の上から5枚を見て、自然のカードをサーチするわ!」

 山札から捲られたカード。
 1枚目、《古龍遺跡 エウル=ブッカ》。
 2枚目、《龍覇 サソリス》。
 3枚目、《天真妖精 オチャッピィ》。
 4枚目、《ベル・ザ・エレメンタル》。
 5枚目--《従順の山猫星 タスク・ニャンクス》。 


 ---------来たわ!!

「まず、呪文を唱えたから《スチュアート》の効果でマナを加速するわよ! さらに、《ニャンクス》を手札に加えて、そのまま召喚よ!」
「了解ですにゃ!」

 マナゾーンのカードが7枚、タップされると同時に自然のマナが生み出された。
 そこから、非力で小さくも、勇敢な賢者が姿を現した。

「効果で、超次元ゾーンからコスト5以下のステラアームド・クリーチャーをバトルゾーンに出しても良い! 出てきなさい、《護衛武装 ロシアンブルー》!!」

 にゃっ! という鳴き声と共に、小さなサーベルタイガーのようなクリーチャーがバトルゾーンに現れる。
 これが、ステラアームド・クリーチャー、《護衛武装アーム・アームズ ロシアンブルー》だった。
 その力により、コトハのマナゾーンに山札から2枚、カードが置かれる。

「ターンエンドよ!」
「しゃらくせえ!! それが何だってんだ!! 俺様のターン!! 《ニャンクス》のマナ武装7は発動できねえが------------致し方ねえ。手札から、《界王類邪龍目 ザ=デッド・ブラッキオ》を召喚だ!!」

 アクロガンドラーは、更なる邪龍を召喚する。その効果で、《「四つ牙」》が超次元ゾーンへ置かれた。そして、今度は自らで攻撃を仕掛ける。
 
「俺様で攻撃!! しかし、その攻撃を中断する代わりにマナゾーンから、5枚を墓地に置けば----------俺様は武装される!!」

 マナゾーンから、5枚が墓地へ置かれた。同時に、禍々しい空気と共に、《ニャンクス》を取り込んだ凶悪な恐竜がその姿を現す。
 大樹のようなその身体から、幾つもの亀裂が入り、目が、口が、腕が現れた。


「これが俺様の真の姿!! 星芒武装完了、《恐竜皇帝 リンクス=ガルザード》!!」


恐竜皇帝ジュラシック・カイザー リンクス=ガルザード 自然文明 (12)
スターダスト・クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 11000
R・コア
自分のマナゾーンのカードは全ての文明を得て、マナの数字は2か3になる。
自分のマナゾーンからクリーチャーを召喚しても良い。
相手のクリーチャーが攻撃するとき、相手のマナゾーンからカードを1枚選び、持ち主の墓地に置く。
W・ブレイカー
武装解除


 その巨大な邪帝の風格に、コトハは気圧されてしまった。
 -----------これが、スターダスト・クリーチャー!? 何て強大なの!?

「ターンエンド!! 俺様のマナゾーンのカードは全色になっており、さらにマナの数字を2か3に書き換えられる! マナは減るどころか逆に増えているのだ!!」
「無茶苦茶よ!! 何て効果-----------!!」
「大丈夫ですにゃ! 僕に任せて欲しいのですにゃ!」

 そうだ。思えば、自分にはニャンクスが居たではないか。
 このクリーチャーと力を合わせると決めたのだ。それを真っ先に忘れてどうするという話だ。

「このターン、僕のマナ武装を発動して、”何もせず”に終えてくださいにゃ!」
「わ、分かったわ! あんたを信じる! まず、《ニャンクス》のマナ武装7で、こいつのパワーを2倍にし、さらにシールドをブレイクする数を1枚増やす!」

 そして、ターンの始めのドローを行い-------------


「ターンエンドよ」


 彼女はターンを終えた。しかし、そのときであった。


「此処で、《ロシアンブルー》の武装条件達成ですにゃ! このターン、自分がマナゾーンにカードを置いておらず、尚且つ相手よりもマナゾーンのカードの枚数が”3枚以上”上回っているとき!」
「《ロシアンブルー》を裏返して、《ニャンクス》の上に重ねる! つまり、星芒武装発動ってことよ!!」


護衛武装アーム・アームズ ロシアンブルー 自然文明 (5)
ステラアームド・クリーチャー:ビースト・フォーク 5000
R・コア
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、山札の上から2枚をマナゾーンに置く。
相手はR・コアを持つクリーチャーを選ぶことができない。
星芒武装--自分のターンの終わりに、このターン、自分がマナゾーンにカードを1枚も置いておらず、さらに自分のマナゾーンのカードが相手のマナゾーンのカードより3枚以上多い場合、このクリーチャーを裏返して、「ニャンクス」と名前にあるクリーチャーの上に重ねる。


 次の瞬間、《ロシアンブルー》が光の粒子となって、《ニャンクス》へと降り注ぐ。

「星の力を受ける非力なる賢者よ!! 今此処に、最強の力を手にし、目覚めなさい!!」

 その身体は光に包み込まれ、体つきはより人間に近く、腕はより屈強かつ鋭利な爪を得て。
 それは、現れた。
 大いなる大地の息吹と共に。
 それは、現れた。
 荒々しくも優しい、野性の血潮と共に。
 それは、現れた。
 星の力を受け継いだ、旋風の戦乙女として。

 蝶のように舞い、蜂のように刺す------------


「----------武装完了、《疾風迅雷ワールウィンド ニャンクス・ミラージュ》!!」