二次創作小説(紙ほか)
- Act7:大地を潤す者=大地を枯らす者 ( No.113 )
- 日時: 2015/07/23 08:56
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「な、何ぃ!? 何だ、こいつはあああああああああ!?」
リンクス=ガルザードは絶叫した。
まさか、追いつくように武装をしてくるとは思わなかったのだ。
しかし、武装したニャンクスの姿は、かなり意外なものであった。その姿は、ほぼ人間のそれに近く、相違点があるとすれば俗に言う猫耳というものが生えているということくらいか。
白陽やクレセントとは、別のベクトルの獣人である。どちらかというと、”人”に近いほうの。
いや、そこまでならば、まだ良かった。
問題は----------
「----------やっぱりあんた-----------”雌”だったのね……?」
「え? コトハ様、気づいてなかったんですか?」
「いや、薄々は」
----------そう。まさに性別詐欺。一人称が”僕”や”俺様”だったり、口調も男っぽかったので、全く気付かなかったが、ニャンクスの身体を洗ったコトハは薄々感づいていたのである。
彼女は”雌”だと。正真正銘の女の子だ、と。
しかしまあ、武装後のスタイルよ。
自分のそれを上回る胸部装甲を目にして、彼女は萎縮してしまう。
しかも、上半身を纏っているのが、ベルトのようなパーツだから、尚更それが際立って見えるのだった。
後、口調も普通になっている。
いや、そんなことは今はどうでもいいのであるが。
「それじゃあ、行きますよ! 僕の効果で、相手のクリーチャーは1枚しかシールドをブレイクできません!」
「何……だとぉ!?」
ガルザードは、前のターンに《デッド・ブラッキオ》を召喚したことを心底後悔した。
奴をすぐに除去できたかもしれないのに。しかし、時既に遅し。
ともかく、クリーチャーを並べねばならない。
「《永遠のリュウセイ・カイザー》をマナゾーンから召喚!! これで、貴様はタップしてクリーチャーを出さなければならない! さらに、この俺様でシールドをブレイクだ!!」
バリン、とシールドが1枚、叩き割られた。しかし、それが運の尽きであったとしか言いようがない。
「------------《ニャンクス・ミラージュ》のもう1つの効果発動なのですよ!」
「------------あたしの自然のドラゴンは、全てS・トリガーを得るわ。タップしてバトルゾーンに出る? 上等よ。どうせ、次のターン、アンタップするんだから!!」
疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ 自然文明 (12)
スターダスト・クリーチャー:ワービースト・コマンド 11000
R・コア
相手のクリーチャーは、1枚しかシールドをブレイクすることが出来ない。
自分の自然のドラゴンは、全て「S・トリガー」を得る。
W・ブレイカー
武装解除
S・トリガー発動。この瞬間、1体のとてつもなく巨大なクリーチャーがバトルゾーンに現れたのだった。
「今こそ、目を覚ましなさい。七つの律動を刻みし、強大なる龍よ!! 《界王類七動目 ジュランネル》召喚よ!」
界王類七動目 ジュランネル SR 自然文明 (1)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 24000
このクリーチャーは、バトルゾーンにタップして置く。
自分のマナゾーンに自然のカードが6枚以下しかない場合、このクリーチャーをアンタップできない。
ワールド・ブレイカー
《ジュランネル》は、時が来るまでは常に深い眠りについている。しかし。ひとたび彼が目覚めたとき。
地上の戦乱は一瞬にして静まると言われている程の力を有すのだ。
そして、コトハのマナゾーンのカードは11マナ。十分に、その眠りを覚ますマナの量を得ていた。
「あたしのターン! 目覚めなさい、《ジュランネル》!!」
重々しい、瞳を開き。今此処に、最強のドラゴンが目を覚ました。
それは咆哮し、全ての大地を食らいつくさんとばかりに、目の前の標的へ向けた。
恐竜皇帝。その異名が哀しくなるほどの、力の差がそこにあった。
「そして! あたしは11マナで、《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》を召喚するわ!」
「は、はははは!! 恐竜だ……!! これが、これが、俺が望んだ世界なんだあああああああああああ!!」
狂気に満ちた笑いを上げる、リンクス=ガルザード。
最早、哀れみの表情を投げかけることもできない。
だから最後はせめて、楽に終わらせてやろう、と。
「《ジュランネル》でシールドをワールド・ブレイク!!」
自らを拘束するタガが外れた《ジュランネル》は、一瞬で全てのシールドを焼き払った。
しかし。
リンクス=ガルザードがそれだけで諦める訳が無かった。
S・トリガーが3枚、超動する。
「《王龍 ショパン》! 《凶殺皇 デス・ハンズ》! 《終末の時計 ザ・クロック》! 奴らを殺せぇぇぇぇぇ!!」
しかし。
「無駄よ」
コトハは現実を突きつける様に、厳しく言い放った。
「《ワルド・ブラッキオ》の効果発動。あんたのクリーチャーの、”バトルゾーンに出たとき”の効果は全て無効化されるわ」
界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ SR 自然文明 (11)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 27000
ワールド・ブレイカー
相手のクリーチャーがバトルゾーンに出て、そのクリーチャーの能力がトリガーする時、かわりにその能力はトリガーしない。(例えば、相手は「このクリーチャーをバトルゾーンに出した時」で始まる能力を使えない)
ピキッ、とガルザードの表情にヒビが入った。
つまり、それは逆転が最早出来ないということを意味していた。
クリーチャーの効果は全て封じられた。つまり、3枚のS・トリガーは全て意味を成さなかったことになる。
「あ、が、ば、馬鹿なあああああああああああ!! この俺様が!! 恐竜皇帝の俺様が!! 何故、何故、こんな奴らに!! 俺は最強なんだ、誰もが恐れる究極の恐竜なんだ!! 俺は強いんだ!!」
まるで子供のように喚き立てるガルザード。しかし、それは最早、コトハの前では唯の雑音でしかなかった。
ニャンクスが突貫する。最後の一撃を決めるために。
「支配欲のために、何人もの人を傷つけたこと-----------!!」
「知るかあああ、俺様が知ったことが、あるかあああああ!!」
「全部、その身を以って、償いなさい!!」
巨大な自らの”獣”の腕を振り上げ、裂かんとばかりに風を斬る。
それは巨大な真空波となり、全てを裂いていく。
「俺は、俺は、俺は、俺はああああああ!!」
「もうこれで、終わりにするのです!!」
「《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》で-------------」
そして、大樹のような身体をした《恐竜皇帝》を一瞬で真っ二つにした。
最早、断末魔の叫びをあげることすら、彼には許されなかった。
一瞬で身体が朽ち果てていく。
役目を終えた老木のように、ボロボロと崩れ落ちていく。
「-----------ダイレクトアタック」