二次創作小説(紙ほか)
- 短編3:文化祭(と言えば聞こえは良いが要は唯のスクランブル) ( No.123 )
- 日時: 2015/07/15 08:20
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「……大変だ、星目!!」
「何だ騒がしい。俺は勉強で忙しい----------」
「馬鹿やろー!! てめぇが読んでんのは漫画だろうがあああ!! そうじゃなくて、働けよ!! じゃなかった、向こうのクラスを見ろ!!」
調理スペースで漫画を読み、クズっぷりを発揮していたテツヤ。しかし、同級生のその言葉に何かを感じたのか、すぐさま案内された4−Aの教室に。
「ば、馬鹿な!!」
その人だかりに、テツヤは驚愕した。4−Aの前に、再び客が戻ってきているのだ。
一体、何をしたんだ、と教室を覗く前に何やら軽快な曲が流れてくる。
----------君にドキドキしてる心の奥で、ちょっと不安、だから武装しちゃう、カワイイ自分が大好き、天然のフリで、巻き込んじゃう ごめんね、キミに武器武器Love----------
教室を覗いて見ると、そこには見覚えのない少女がフリルのついた可愛らしい服を着て、片手にマイクを持って歌っていたのだった。
そして、席では客が(主に男だが)ペンライトを持ってエールを飛ばしていたのだった。
「はははは、テツヤよ、分かったか!! これが進化した喫茶店、”アイドル喫茶”だぁぁぁ!!」
ドヤ顔で、苛立ちを隠せない表情のテツヤに、フジは追い討ちをかけた。
「くくく、テーマパークでは、よくショー付きのレストランとかがあるだろう? それを応用したのさ!!」
つまり。そういうことである。教室の外からも聞こえる曲が客寄せの効果も持っており、入ってみたら可愛い少女が歌って踊っていたら尚更。
確かに、ありそうで無かった発想ではある。後で五月蝿いと苦情が来るような気がしないでもないが。
「ば、馬鹿な!! この少女は誰だ!! 一体、どこから持ってきた!! うちの生徒か? いや、馬鹿な! 別のクラスにしたって、あんなにアイドル映えした生徒は見覚えがないぞ!」
「それは企業秘密だ-----------! ちなみに曲は、腹の色真っ黒クローバーXのキミに武器武器ラブを使わせて貰ったぞ」
「お、おのれ……」
***
「いやさ、こんなに上手くいくとは思わなかったよな」
目の前の少女が歌っているのを見ながら、ヒナタは言った。
そうね、とコトハが頷く。
「全く、アイドルなんて俗的なものには興味ないのだがな。というかこれ、もう喫茶店って言えるのか?」
「ま、オレはメイド服から解放されただけで十分っすけどね!」
「えー、残念でしたよー。ノゾミちゃん可愛かったのに」
『私はクレセントの方が……うーん』
『あーもう! 白陽の浮気ものー!』
『ち、違う! そういう意味ではないのだ!』
『ほっほっほ、なかなか良いものじゃのう、あいどるというものも』
『ふむ、ハーシェルよ。貴様もそう思うか』
『うむ。おぬしとは良い酒が飲めそうじゃわい』
『白陽の馬鹿ー!』
『いや、大丈夫だ。クレセントの方が100倍可愛い……多分』
ま、何であれ、とコトハは呟いた。
「ニャンクスがこの曲”覚えてて”良かったわー」
そのまま視線を目の前で歌っている少女-------------もとい、ニャンクスに移したのだった。
「胸部装甲も分厚いからな」
「締め上げるわよヒナタ、どこ見てんの」
「ん……そういえば、フジ先輩はどこ行った?」
***
始まりはフジの提案だった。それは、ニャンクスの武装後の姿を事件の後に直接調べ、知っていたフジだからこそ言えたことであった。
あの後、全員は一旦、使われていない空き教室へフジに案内させられた。
「----------ニャンクスを貸してって先輩、何に使うんですか!?」
「簡単だ。ニャンクス。お前、この状態で星芒武装は出来るか?」
「え、む無理ですにゃ! 現実世界でそんなことは!」
「それじゃあ、”恐竜にもなれるんだから”、”人間には薬で”なれないのか?」
はっ、とこのとき、コトハは気付いた。
「ニャンクスをメイドに使うんですか?」
「え? こいつって人間になれるのか?」
ヒナタが問うと、コトハは頷いた。
「ええ。武装後のカード見せなかったかしら?」
そういって、彼女の武装後のカード、《ニャンクス・ミラージュ》を見せる。
全員は此処でピンと来た。ニャンクスは武装後に、クリーチャーとはいえ人間の少女と見紛うくらい似た姿になる。猫耳に尻尾つきであるが、十分にいけるだろう、と。
武装は出来なくとも、薬で人間の姿になれるのならば、尚更である。
「確かに、これならば人から人気を得ることは容易いが---------」
「ああ。今のままだと、恐らく誰も来ない。そこで、だ」
性格の悪そうな笑みを浮かべ、フジは言った。
「お前には急遽、アイドルになって貰う!!」
え、と全員は耳を疑った。
「い、いやいや、無理でしょ!? どうやって今から振り付けとか歌とか覚えるんですか!?」
「------------いや、無理ではないわ」
え、とコトハを除く全員は困惑の表情を浮かべた。無理だ。幾らなんでも。クリーチャーとはいえ、短時間の間に振り付けや歌を覚えるのは難しいのではないか、と。
事実その通りである。しかし、コトハは全員を納得させる答えを出した。
「ハラグロXって知ってる? 今人気アイドルの」
「あ、ああ……デュエマにも売り出していた、あのアイドルか。一応知ってはいるが」
ハラグロX。正式名称、腹の色真っ黒クローバーXのことだ。
オープンに腹黒さを押し出すことで、逆に受け、一躍大人気となったアイドルグループである。
しかも、デュエマのカードにも彼女達をクリーチャー化したものが存在するのである。
「ええ。この子、テレビで前にハラグロXのライブ見てから、何故か気に入ったみたいで、あたしのスマホで勝手に動画を繰り返し見てたわ」
「ご、ごめんなさい、コトハ様……だって、ついつい憧れちゃって。歌詞の意味はよく分かんなかったけど、とりあえず歌える程度には覚えたんですよ」
「ええ、一生歌詞の意味は分からないままで良いわ」
理由は歌詞も腹黒感満載だからである。
「踊りまで覚えたんですよ、コトハ様♪」
「女の子っぽいんだな、この辺は」
「ふっ、完璧だ。後は、衣装を用意して会場を再び準備するだけか-----------」
こうして、アイドル喫茶作戦が決行されたワケである。
クラスメイトには、「自分の従兄弟だ、大丈夫バレなければ」とフジが説明し、後はその財力でそれっぽい服をゲット。
こうして、客を取り返すべく発動したこの作戦は、大成功を収めたのだった。
***
「フジ先輩ー」
食事を終え、ヒナタ達はさっきまで近くに居たフジを探し、教室の外へ。するとそこには----------
「おのれこのインチキ御曹司があああ!!」
「黙れ、腐れドS野郎が!! てめーなんざ、キャラ薄すぎて読者の誰にも覚えて貰ってねぇだろうよ!!」
「うるせぇぇぇ、俺にはドSと鬼畜コンボ使いという特性があるだろうがああああ!!」
---------口汚く罵り合う上級生約2名の姿があった。
「ぜぇぜぇ……おのれ……」
「はぁはぁ……やるじゃねえか」
こうなったら、と2人は口を揃えて言った。
『デュエマで決着を付けるぞ!!』
-----------いきなりカードゲーム小説っぽくなったな。
-----------無理矢理すぎませんか? ヒナタ先輩。
-----------でも、先輩2人のデュエマを見られるのはなかなか無いな。
-----------不毛すぎるわ、これ
-----------とりあえず、記事に纏めておきますね!
こうして突如、フジとテツヤのデュエマが始まったのだった。