二次創作小説(紙ほか)
- Act3:警戒 ( No.130 )
- 日時: 2015/07/18 18:28
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
決闘空間内ではないから、クリーチャーが実体化することはない。しかし、それでもノゾムとコトハのデュエルは熾烈を極めていた。
「《術英雄 チュレンテンホウ》召還!」
現在、ノゾムの場には《チュレンテンホウ》と《アクア操縦士 ニュートン》、《アクア・スーパーエメラル》の3体。
対するコトハは-----------《マチュー・スチュアート》に《界王類七動目 ジュランネル》の姿があった。
そして、マナゾーンには既に、7枚のカードがあったのだ。
つまり、それは七つの律動を司る界王龍の覚醒を意味していた。
「私のターン!! 目覚めなさい!! 《ジュランネル》アンタップ!!」
やはり、彼女は恐ろしい実力者だ。《チュレンテンホウ》が除去されるリスクも考えれば除去すれば良かったのだが、生憎手札にそんなものは持ち合わせていない。
「そして、《タスク・ニャンクス》を出すわ! 出てきなさい、《護衛武装 ロシアンブルー》!」
《ロシアンブルー》の効果により、コトハのマナは更に増えてしまう。
これで10マナ。次のターンにノゾムが1マナためても、武装条件は達成されてしまう。
「《ジュランネル》で攻撃! ワールドブレイクよ《ジュランネル》!!」
「《アクア・スーパーエメラル》でブロック!!」
パワー差は歴然。《アクア・スーパーエメラル》は成す術なく破壊される。
しかし。ノゾムにはまだ余裕があった。現在、コトハのマナは10。一方、ノゾムは6。《ニャンクス》の武装条件はマナにカードを置かずにターン終了時に相手よりマナを3多くしていなければならないというもの。
だが、ノゾムにはこれを打破できる手段を持っている。
「オレのターン! ドロー! そして、マナをチャージ!」
これで7マナだ。しかし。それでもまだ、コトハの方が3枚多いが--------
「そして呪文、《スペルブック・チャージャー》! 効果で山札から5枚を見て、その中から呪文を選び、手札に加える!」
「チャージャー……!」
「オレは《スパイラル・ゲート》を手札に加えます!」
スペルブック・チャージャー UC 水文明 (4)
呪文
自分の山札の上から5枚を見る。その中から呪文を1枚、相手に見せてから、自分の手札に加えてもよい。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
チャージャー
チャージャー呪文は墓地ではなく、マナに行くので《チュレンテンホウ》の効果で使いまわすことはできない。
しかし。今回収した《スパイラル・ゲート》ならば話は別だ。
「そして2マナを払い、呪文《スパイラル・ゲート》! 効果で《ジュランネル》を手札に戻します!」
「うっ、やったわね……!」
「さらに、《チュレンテンホウ》のマナ武装7でもう1度この効果を使います! 《マチュー・スチュアート》をバウンス!」
本当ならば《ロシアンブルー》も手札に戻したかったが、生憎同じコアを持つクリーチャーを選べなくする効果により、それは出来なかった。
しかし。武装はこれで防いだはずだ、とノゾムは確信していた。
だが、それは的外れな憶測であった。
「それで武装を防いだつもり?」
「で、でも如月先輩! 《ニャンクス》の武装条件は-----------」
「自分のマナが増やせない? それなら、条件を達成する方法はもう1つあるわ。分かるわよね?」
「----------あ」
「まず、あたしは《ニャンクス》のマナ武装7でこの子のパワーを2倍にして、シールドをブレイクする数を1枚増やすわ」
マナが増やせない。それならば、やるべきことは1つ。
そう。相手のマナを減らすまで。
「9マナ払い、《緑神龍 ザールベルグ》を召喚!」
「え、何ですか、そいつ--------!?」
「こいつのパワーはコストに反して非力。だけど、このデッキならばなんら問題は無いわ! 効果発動!」
次の瞬間、ノゾムのマナゾーンのカードが2枚。問答無用で墓地に置かれた。
しまった、と此処でノゾムは気付いた。自然文明は最近こそ鳴りを潜めてはいるが、”相手のマナを枯らす”のも得意なのだ、と。
それはむしろ火文明のイメージが強いが、《マナ・クライシス》や《ミルドガルムス》などのランデスカードは決して少なくは無い。
「さらに、1マナで《ジュランネル》を再び召喚よ!」
再び現れる《ジュランネル》。このままでは、大失点を食らわされてしまう。
「ターン終了時に、《ロシアンブルー》の武装条件クリア!」
『いきますのにゃ、コトハ様!』
「OK、今日も頼むわよ!」
《ロシアンブルー》を裏返し、コトハはそのまま《タスク・ニャンクス》へ重ねる。
「星の力を受ける非力なる賢者よ!! 今此処に、最強の力を手にし、目覚めなさい!! 武装完了、《疾風迅雷 ニャンクス・ミラージュ》!!」
実体化していないとはいえ、やはり強烈な威圧感をノゾムはびりびりと感じていた。
快活明朗な少女の顔。
羽帽子から飛び出した1対の猫耳。
肌蹴た貴族服から覗く、ベルトに覆われた2つの凶器------------ではなく、両腕を覆う強靭な刃を剥き出しにした獣の腕。前者ではなく、後者に目をつけるとは流石ノゾムといったところか。
「効果により、あんたのクリーチャーはシールドを1枚しかブレイクできない。しかも、あたしの自然のドラゴンは全てS・トリガーとなる。殴れるもんなら、殴ってきなさい。受けてたつわ」
クリーチャー同士の殴り合いで、彼女に勝つことは難しい。
しかし。水文明は元より殴り合いには向いていないのだ。
この兎を除いて。
『ノゾム! あたしがついてるよ!』
「ああ! オレのターン! 《ピタゴラス》で《ジュランネル》と《ニャンクス・ミラージュ》をバウンス!」
「武装解除! 《タスク・ニャンクス》を残すわ! ちっ、後もうちょっとだったのに!」
「……ターンエンドです」
しかし。それでも、マナが足りないというのは致命的であった。
ノゾムは次のターンにかけるしかなくなったのである。
現在、ノゾムのマナは6マナだ。後、もう1マナが届かないのである。
「デュエマは、マナを制したものの勝ちよ------------!」
コトハの言葉が痛く耳に響いていた。