二次創作小説(紙ほか)

Act6:破滅の戦略 ( No.143 )
日時: 2015/07/27 15:26
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「《アルゴ・アヴィオール》の効果で《悪夢喰種ドリームイーター アルゴリズム》をバトルゾーンに」

 その効果により、バトルゾーンの空気は更に重くなった。
 とても息苦しいものが胸に流れてくる感覚が、ホタルを襲った。

「《アルゴリズム》の効果発動。私のK・コアを持つクリーチャーは選ばれず、さらに相手のパワーを常に-2000するという、パワーダウンクリーチャーの中でも破格の能力を持つのです」
「じゃ、じゃあ、《カナシミドミノ》の効果も込みで私のクリーチャーのパワーは常に-3000されるってことですかぁ!?」
「まずいのぅ。小型展開も殴り返しも出来んわ、これは。《ライトデュエル》の効果で絶対勝利効果を与えられるのはコスト6以下の小〜中型のみ。皆、パワーダウンで破壊されてしまう……!! しかも、奴を除去することもままならんとは!」

 成す術なし。どの道、破壊されてしまう。
 絶望感が、とてつもない絶望感が彼女を襲った。

「そ、そんな……折角ここまで来たっていうのに……」
「残念でしたねぇ? その程度の光では、私の闇を消すことは出来ません」

 ホタルのターン。
 《バラディオス》は貴重なブロッカー。一発逆転を信じて、残しておく必要がある、と彼女は感じていた。
 クリーチャーが破壊された時点で、《ヘルクライム》の龍解が決まり、場の逆転は殆ど不可能になってしまうだろう。

「あきらめるな、ホタル。逆転の可能性はまだあるのじゃ!」
「で、ですが-----------くっ」

 苦し紛れに《ライトデュエル》を召喚した彼女ではあったが、もう逆転の糸口は見つからない。
 ハーシェルのその言葉も空しく。目の前の絶望から逃げる手段でしかなかった。

「何で……」

 力が。
 力が唐突にほしくなった。
 こんな逆境も引っ繰り返せる程の大きな力が。
 自分の仲間が持っていた武装の力がほしくなった。
 何故、自分には、自分の相棒にはこの力が与えられないのだ。
 今、その力を一番使いたいのは自分だというのに。
 

「何でっ、ハーシェルは星芒武装が出来ないんですかぁぁぁーっ!!」


 ズキリ、とその言葉がハーシェルの胸を刺したのは言うまでも無い。
 自分が無力なばかりに、主をこんな目に-----------



「あー、もううざいんで黙っててくれませんかねぇ、あんたら」



 アヴィオールの言葉が、遮った。



「----------------呪文《デーモン・ハンド》」


 
 次の瞬間、ハーシェルの身体が強大な悪魔の右手に刺し貫かれた。
 がはっ、と血反吐を吐いた彼はそのまま爆発四散する。
 更に次の瞬間、沈黙を貫いていたドラグハート・フォートレスがおぞましい咆哮と共に龍の姿と成っていく。


「相手のクリーチャーが破壊されたため、《ヘルクライム》の龍解条件が達成されました。3D龍解!! 《大殺壊 ヘルセカイ》!!」



大殺壊 ヘルセカイ P 闇文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン 12000
このクリーチャーが攻撃する時、自分のクリーチャーを好きな数、破壊してもよい。こうして破壊したクリーチャー1体につき、相手のクリーチャーを1体破壊する。
T・ブレイカー
龍回避−このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、バトルゾーンに自分の他のクリーチャーが1体もいなければ、かわりにこのドラグハートをフォートレス側に裏返す。



「貴方など、私が武装を使うまでもありません。貴方の力は余りにも弱すぎる。その程度の光だの希望だのには------------負けるわけにはいきませんねぇ?」


 圧倒的な実力の差。
 これが本来の彼の力なのか、とホタルは未だかつて無い恐怖を味わっていた。
 そして、悪魔の一撃が今、彼女を切り裂かんと襲い掛かる。

「《グレイテスト・シーザー》で攻撃!! 墓地から《デーモン・ハンド》で《バラディオス》を破壊!! シールドを3枚、叩き割ってしまいなさい!!」

 T・ブレイク。
 その破片が彼女に降りかかった。
 同時に強い衝撃が襲う。吹っ飛ばされて、地面に転がされた。
 げほっ、と咳き込むと、手のひらには血反吐がこびり付いていた。

「調子乗って理想を掲げた結果がこれだ。理想なんてね、夢なんてね--------------ただの幻想なんですよ!!」

 今度は《ヘルセカイ》の攻撃が襲い掛かった。
 残りのシールドを全て、叩き割る。同時に-----------

「《ヘルセカイ》の効果発動!! 《カナシミドミノ》を破壊し、《ライトデュエル》も破壊ですよっ!!」

 ブロッカー全滅。いや、クリーチャー全滅。さらにシールドも全てブレイクされた。
 完全に焼け野原となったフィールドが無残にも彼女の心を抉った。
 ----------ごめん、みんな、ごめんっ……戦ってくれたみんなも……ハーシェルも……ヒナタ先輩も-------------
 しかし。懺悔する間も無く。最後の一撃が彼女にトドメを刺した。



「《怨炎の骸骨星 アルゴ・アヴィオール》でダイレクトアタック」