二次創作小説(紙ほか)

短編5:恋情パラレル ( No.175 )
日時: 2015/09/30 23:38
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「今の僕はコスト4! 《ボアロアックス》の効果適用範囲内ですにゃ!」

 魔力不足で武装が使えなくなったとはいえ、戦えない訳ではない。
 さらにそれだけではなく。コトハのマナゾーンのカードが光った。
 
「そして、《ニャンクス》のマナ武装5で、あたしのクリーチャーは呪文によって選ばれないわ!」
「小細工ばっかり使って……!」
「そして、ターンの終わりにあたしのクリーチャー全員の合計コストが20以上なら! 《ボアロアックス》は龍解するわ!」

 コスト6の《サソリス》、コスト4の《ニャンクス》、コスト5の《次元流の豪力》、コスト6の《リュウセイ》、コスト2の《幻緑の双月》でコストの合計は23と、20を超えていた。
 《サソリス》の手から、《ボアロアックス》が離れた。そして、それが巨大な遺跡へと変貌する。

「《邪帝遺跡 ボアロパゴス》、2D龍解完了! ターン終了よ!」
「それがどうしたって言うの? あんたの手札はもう無い! しかも、その程度のクリーチャーは簡単に止められる! まずはあたしの効果で1枚マナチャージ! そしてもう1回チャージ!
「クロスギア、《ノーブル・エンフォーサー》をジェネレート!」



ノーブル・エンフォーサー R 水文明 (4)
クロスギア
これをクロスしたクリーチャーは、パワー2000以下のクリーチャーに攻撃またはブロックされない。
このカードがどのクリーチャーにもクロスされていない時、パワー2000以下のクリーチャーは攻撃もブロックもできない。



 弱者を止める鎧、《ノーブル・エンフォーサー》。これにより、パワー2000以下のクリーチャーは完全に止められてしまった。
 そして、と彼女は続けた。

「コスト3で、ブロッカーの《暗黒鎧 ギラン》召喚! ターンエンドだよ!」
「あたしのターン。そのまま、終了よ」

 -----------まずい、殴りたいけど打点が足りない! 返り討ちにされる!

「それじゃあ、行くよ!」

 現在、使えるマナは9枚。そして。
 完全に守りの要となりえるクリーチャーが現れた。

「《真実の名 リアーナ・グローリー》召喚! これで守りは完璧だよ! 《キキ&カイカイ》でシールドをW・ブレイク!」

 勝てる。このまま、ブロッカーで固めていけば。手札的にも、もう彼女は強力なクリーチャーを出せないはずだ。仮に出したとして、それはスピードアタッカーであるはずはないので、じわじわと削り、倒せる。ミルの手札には、もう1組の《キキ&カイカイ》がいる。次のターンで10枚を超えるマナで、一気に出せるのだ。
 しかし。

「S・バック発動!」

 彼女の意思が勝利を引き寄せたのか。

「《有毒類罠顎目 ドクゲーター》を捨てて、《天真妖精 オチャッピィ》を出すわ! 効果で、墓地の《フェアリー・ホール》をマナに!」
「で、でも!! そんなんじゃ、何も解決していないじゃない!」
「甘いのですにゃ!」
「《ボアロパゴス》の効果発動! 手札から自然のクリーチャーを出したから、そのまま自然のコスト5以下のクリーチャーをマナゾーンからバトルゾーンに出すわ! マナから《ジラホン軍曹》をバトルゾーンに!」



邪帝遺跡 ボアロパゴス P 自然文明 (7)
ドラグハート・フォートレス
クリーチャーを自分の手札から召喚した時、自然のコスト5以下のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
龍解:自分のターンのはじめに、バトルゾーンにある自分のクリーチャーのコストの合計が30以上であれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。



「そ、そんな……! ターンエンドよ……!」

 まさか、クリーチャーが2体も現れるとは思わなかった。完全なる誤算である。しかし、何よりも勝負を焦ったのもあるのだが。
 さらに、コトハの中では既に解答は出ていた。

「あたしのターンの始めに、場のクリーチャーの合計コストが30以上なら、《ボアロパゴス》を3D龍解させるわ!」

 野望に満ち溢れる大地が、今はコトハに同調し、大いなる龍を呼び起こす。
 邪帝の力を持つ、雄々しく、猛々しく、そして全てを生み出す龍が。



「轟け、古代の大いなる系譜よ! 今こそ、その欲望と野心と力を、このあたしに見せ付けなさい! 
《我臥牙 ヴェロキボアロス》、3D龍解完了!!」



我臥牙(ガガガ) ヴェロキボアロス P 自然文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 15000
自分の手札からクリーチャーを召喚した時またはこのクリーチャーが攻撃する時、自然のクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
T・ブレイカー



 現れたのは、巨大な斧を携え、何本もの立派な角を生やし、まさに力の象徴とも言える邪帝龍だった。
 
「ドラゴンの時代はドラゴンが支配する! あいにく、旧世界の神様に用は無いわ!」
「無駄よ! あたしのバトルゾーンにはブロッカーが2体いるわ!」
「そうね。だけど、こいつならどうかしら? まずは《ヴェロキボアロス》で攻撃!!」

 ぶん、と巨大な斧を一振りすると同時に大地が抉れた。そこから、更に新たな命が生み出される。

「進化、《幻緑の双月》を《ベル・ザ・エレメンタル》に!」
「で、でも《ギラン》で《ヴェロキボアロス》をブロック! 《リアーナ》の効果で、サイキックがいるからバトルに勝つわ!」
「無駄ですにゃ! 《ジラホン軍曹》のマナ武装3で、自然クリーチャーはそれよりパワーの低いクリーチャーにブロックされないのですにゃ!」



ジラホン軍曹 C 自然文明 (4)
クリーチャー:ゲリラ・コマンド 4000
ガードマン
マナ武装3-自分のマナゾーンに自然のカードが3枚以上あれば、自分の自然のクリーチャーはそれよりパワーが小さいクリーチャーにブロックされない。



 《リアーナ・グローリー》も《ホネンビー》も全く意味を成さない。もう、誰も攻撃を止められない。
 一気にシールドが3枚、叩き割られた。もう、ミルの顔に余裕はなかった。

「し、S・トリガー発動!! 《デーモン・ハンド》で《リュウセイ》を破壊---------!!」
「無駄ですにゃ! 僕のマナ武装5で、僕のクリーチャーは呪文で選ばれないのですにゃ!」
「く、ぐぐぐ……!!」
「今度は《リュウセイ》で攻撃よ」
「《リアーナ》でブロック!! 通さないわ……!!」
「でも。もう、あんたの場のブロッカーは、《ギラン》しかいないわよね?」
「あ……!」

 一瞬で、《ベル・ザ・エレメンタル》が残りのシールドを吹き飛ばした。
 放心状態のミルには、最早成す術もなかった。



「乙女を怒らせたら怖いのよ!!」
「コトハ様を傷つけた罪、万死に値するにゃ!!」
「《ニャンクス》でダイレクトアタック!!」



 -----------何なのこいつら-----------!!
 薄れる意識の中で。
 人間の感情の未知の領域を、ミルは思い知った------------