二次創作小説(紙ほか)
- Act9:fire fly ( No.180 )
- 日時: 2015/10/04 00:50
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)
***
「——どうしても、この僕とデュエルをするというのか、淡島」
「——ハーシェルの力があれば、貴方になんて簡単に勝てますよ?」
挑発的な物言いのホタル。しかし、今回もレンは嫌な予感をしていた。
あのカードは明らかに邪悪だ。以前見たハーシェルのカードとは真逆に。
未知にして、それは不気味だ。慎重に行かねば。
ひりひりと感じる邪悪が、肌を焼いていく——
——出来れば、身内とは戦いたくなかったが、仕方があるまい!!
そんな痛々しい願いは、彼女に届くはずもなかった。
***
序盤は互いに睨み合いが続いた。
5ターン目。レンの場には《一撃奪取 ブラッドレイン》に《暗黒鎧 キラード・アイ》の2体が並ぶ。
一方のホタルの場には、《墓守の鐘 ベルリン》に《強欲ジェラシー・シャン》の2体のブロッカーが守りを固めていた。更に、《フェアリー・ライフ》でマナまで増やしている。恐らく、光/闇/自然のデッキ構成であることは見て取れた。
しかも、《ベルリン》の効果でハンデスは意味を成さず、《ジェラシー・シャン》はスレイヤーの上に、破壊される代わりに手札から光のクリーチャーを捨てることで、自分だけ生き残る厄介なクリーチャーだ。
墓守の鐘ベルリン UC 光/闇文明 (2)
クリーチャー:イニシエート/ヘドリアン/ハンター 3000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
呪文の効果によって、相手がクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーは選べない。
相手の呪文の効果またはクリーチャーの能力によって、自分の手札が捨てられた時、カードを2枚まで、自分の墓地から手札に戻してもよい。
強欲ジェラシー・シャン UC 光/闇文明 (4)
クリーチャー:イニシエート/ヘドリアン/ハンター 1500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃することができない。
スレイヤー
このクリーチャーが破壊される時、かわりに光のカードを1枚、自分の手札から捨ててもよい。
そして、後攻のホタルのターンとなった。
「私のターン。《口寄せの化身》を召喚しますね」
口寄の化身(シャーマン・トーテム) VR 自然文明 (6)
クリーチャー:ミステリー・トーテム 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の、ミステリー・トーテム以外の種族1種類につき1枚、カードを引いてもよい。
《口寄せの化身》は、バトルゾーンのミステリー・トーテム以外の種族1種類につき、カードを1枚引けるクリーチャー。
そして、今のホタルの場には、へドリアンとイニシエート、そしてハンターを兼ね揃えた《ベルリン》と《ジェラシー・シャン》がいるので、合計3枚引くことができるのである。
——手札を増やされたか……何をしてくる? しかも、《ベルリン》がいるから、ハンデスも意味を成さない……!
「ターン終了です。どうですか? 怖気づいちゃいましたか?」
「僕のターン……! 《暗黒鎧 ゴルドバット》を召喚! マナ武装3で、山札から1枚、カードを墓地に置いて、クリーチャーの《ホネンビー》を手札に、ターン終了だ」
墓地と手札を増やし、着々と準備を進めるレン。しかし、肝心の切札が手札に来ない。
「へーえ。やっぱり殴らないんですね。それじゃあ、そろそろ本領発揮しちゃいますか」
ホタルのマナゾーンのカードが6枚、タップされた。そして——
「呪文、《ヘブンズ・ゲート》! 効果で、手札から光のブロッカーを2体、バトルゾーンに出しますね! 《勝利の女神 ジャンヌ・ダルク》、そして《破滅の女神 ジャンヌ・ダルク》をバトルゾーンに!」
「なっ——!?」
数多いメカ・デル・ソルの中でも、強力な部類に入る《ジャンヌ・ダルク》。それが一気に2種類、レンの行方を阻むようにして現れた。
勝利を賛美し、処刑の炎を遠ざける《勝利の女神》。
破滅を賛美し、世界を憎み破壊する《破滅の女神》。
この2体が揃ってしまったのだ。
「まずは、《勝利の女神 ジャンヌ・ダルク》の効果で《キラード・アイ》と《ブラッドレイン》をタップしますね」
勝利の女神の聖なる光が、闇に潜む悪夢の騎士を2体、白昼の元へ曝け出す。
そのまま、無防備な姿を2体は晒すことになってしまった。
勝利の女神ジャンヌ・ダルク SR 光文明 (7)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/ハンター 7500
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、または、このクリーチャーが攻撃あるいはブロックした時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを2体まで選び、タップしてもよい。
W・ブレイカー
火の呪文または火のクリーチャーの能力によって、相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。
「そして、バトルゾーンに光のハンターが4体いるので、《破滅の女神 ジャンヌ・ダルク》の効果で、手札を4枚捨ててください」
「くっ……! まずい、手札が——!!」
破滅の女神の邪悪な光が手札を焼いた。
全部だ。レンの手札は、4枚全て墓地へ叩き落された。
破滅の女神ジャンヌ・ダルク VR 光/闇文明 (7)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/デーモン・コマンド/ハンター 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の光のハンター1体につき、相手は自身の手札を1枚選んで捨てる。
「そして、《口寄せの化身》で《キラード・アイ》と相討ちにして破壊。さらに、《ベルリン》で《ブラッドレイン》を攻撃して破壊しますね」
「タップキルか——!!」
重要なシステムクリーチャーが2体共倒された。これで、墓地から進化クリーチャーが召喚できなくなってしまう。
さらに、クリーチャーのコスト軽減も出来ない。完全に不利だ。
——認めるか……違うんだ!! 僕は、僕は——!
「僕のターン!」
今引いたカードをしっかりと見た。
——こいつなら、いける!!
「進化、《ゴルドバット》を《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》に! 効果で、《勝利の女神 ジャンヌ・ダルク》を破壊だ!」
遂に来た切札。禍々しい邪眼を持つ悪魔龍の王。
それは一瞬で、勝利の女神の神々しい装甲を貫いて地獄へと叩き落す。
「ターン終了だ」
「へえ、それが先輩の切札ですか」
しかし。
彼女はそれを鼻で笑ってみせる。
「全然、闇を感じられませんね」
「……何?」
思わず聞き返してしまった。
——何の話だ——!?
しかし。答えはすぐに出た。
「私のターン。7マナをタップして——」
邪悪に染まるバトルゾーン。そして、禍々しくも雄雄しい一本角。光と闇のマナを纏い、魔方陣と共に現れた。
それは、今までの彼の者とは似て非なる存在。
それは、まさに負の化身、血の化身、破滅の化身——
「忠実なる我が僕よ、今此処に現れて、全ての歯向かう愚か者を処刑しなさい。
血に塗れた角で全てを貫くは——《惨劇の一角星 ハーシェル・ブランデ》」