二次創作小説(紙ほか)
- Act13:武装・地獄の黒龍 ( No.200 )
- 日時: 2015/10/18 19:40
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)
***
レンとアルゴリズムのデュエル。
現在、レンの場には《一撃奪取 ブラッドレイン》が出ており、闇のクリーチャーのコストを下げることが出来る状況だ。
一方のアルゴリズムも《ブラッドレイン》を召喚していた。
此処から、一気にエンジンを掛けたいレンは、返しのターンで《ボーン・おどり・チャージャー》を唱え、墓地へ2枚のカードを送り込む。
——《暗黒鎧 ギラン》に《暗黒鎧 ヘルミッション》か。上々だな。
「ターン終了だ」
「うぎぃーひっひっひぃーっ!! オレサマのターン!!」
ふざけた態度でカードを引いたアルゴリズムは、3枚のカードをタップし、叫ぶ。
「《爆弾団 ボンバク・タイガ》召喚ぁぁぁーん!! 爆ぜろ、爆ぜろぉぉぉーっ!! もっとド派手になぁぁぁーっ!!」
「む」
次の瞬間、大量の爆弾が《ボンバク・タイガ》の手から放たれた。
それが《ブラッドレイン》を巻き込んで大爆発を起こし、消し飛ばす。
硝煙の匂いと煙が辺りに立ち込めて、決して肺が強くはないレンは思わず口を抑えた。
——おのれ、こいつ……! ふざけた真似を!
妨害は食らったものの、手が尽きたわけではない。むしろ、さっきの《ボーンおどり・チャージャー》は保険だ。5マナ、このターンで使えることには変わりない。
「僕のターン! 《暗黒鎧 キラード・アイ》を召喚! こいつの効果で、山札から4枚を墓地に送り込む!」
「けひゃはははー!! それがどうしたって言うんだぁぁぁーっ!?」
狂気の叫びを上げたアルゴリズムは、今度は4枚のマナをタップする。
現れたのは——
「《白骨の守護者 ホネンビー》召喚じゃーん!! 効果で山札から3枚を墓地に送って、《龍覇 ニンジャリバン》を手札に!! ターン終了ォーッ!!」
白骨の守護者ホネンビー UC 闇文明 (4)
クリーチャー:ガーディアン 3000
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃できない。
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から3枚を墓地に置いてもよい。そうしたら、クリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻す。
現れたのは、白骨化した人面の仮面を被った黒きガーディアンだった。
死者の霊魂を操り、墓地から1枚のカードをアルゴリズムに手渡す。
「うぎひひひ、ターン終了ォォォーッ!! ひゃははははーっ!!」
はっきり言って、かなり耳障りだった。
此処まで腹が立ったのも、久々だろう。
こいつに対して憎しみを最初から向けていられればどんなに良かったことか!
思えば。さっきのビジョンは、アヴィオールが自分に助けてくれ、とサインを送っていたのではないか、と彼は思った。
——何故、僕に——?
そんな疑問を残しながら。
「僕のターン! 《一撃奪取 ブラッドレイン》に《暗黒鎧 ヘルミッション》を召喚! ターン終了だ!」
——ともかく今は、準備を固める! そして、奴を確実にしとめる!!
シールドセイバーで、破壊されれば相手を破壊できる《ヘルミッション》がこちらには居る。
守りは完璧だと、彼は思っていた。
「オレサマのタァァァーンッ!! 死ね、黒鳥レェェェン!! お前は暁ヒナタを殺すことに失敗した、ゴミカスだからなぁぁぁーっ!!」
「ふん。何時の時代も悪いことは出来ないようになっているのさ。まだそれが分からないのか」
「へひゃはへへはははぁーっ!! 無駄だ、黒鳥レェェェン!! お前は呪縛からは逃れられない!! お前と適合者なりえる、アヴィオール共々なぁぁぁーっ!! しかぁぁぁし、やっぱりやめだ!! お前が闇から這い上がった今!! もうお前に期待することは1つもなぁぁぁい!! オレサマだけが、アヴィオールを使えれば良いのだぁぁぁーっ!!」
相も変わらず狂った笑い声を上げ続けるアルゴリズムに、レンは既に嫌悪感を通り越して、殺意すら覚えていた。
頭痛がする。眩暈がする。
目の前の下種野郎が笑い声を高々と上げているだけで、気に入らない。
それらがストレスになって、自分の心を痛めつけていく。それがまた気に入らない。
傲慢と言われる程に高い正義感については、自分でも欠点であることは分かっている。
しかし、同時に。
吐き気を催す邪悪というやつも、分かっているのだ。
「貴様のようなイカれポンチに誰が期待されてたまるものか」
「意外と口が悪いな、黒鳥レン!! その減らず口もいつまでたたけるかなぁぁぁーっ!!」
「貴様如きに上品な口を使ってやるつもりなど無い」
「ぎゃはははーっ!! だが、もう遅いぞ、黒鳥レェェェン!! オレサマの切札は、既に手にはいっているのだぁぁぁーっ!!」
「うざい。うるさい。くどい。黙れ、もしくは死ね。消滅しろ、分子レベルでな」
罵詈雑言の叩き合いになったが、彼の切札という言葉に、少し不安を彼は感じた。
——まさか。
来る。
あの感覚が。
もう、これで3度目の邂逅になるであろう、あのクリーチャーが現れる。
「オレサマは、6マナをタップ!! 《ブラッドレイン》の効果でコストを1ダウンしているからなぁぁーっ!!」
次の瞬間、肌を焼くような邪悪な力が、レンを襲った。
違う。これはまだ余波に過ぎない。
有り余るパワーの一部分に過ぎない。
それを分かっていても、頭の中で認められない。
認めたくない。
しかし。そんなことはお構いなしに、狂気の人形は最悪の屍龍を呼び出す——
「《怨炎の骸骨星 アルゴ・アヴィオール》召喚!!」
ぶわっ、と冷たい風が彼の髪を撫でた。
現れたのは全身を鎧で包んだ骨龍。しかし。顔は黒いモヤモヤに塗りつぶされて、判別が出来ない。
不気味、の一言だった。
まるで、自分も邪悪に塗りつぶされてしまいそうだ。
悪意に塗れた、邪悪の力にもう1度染まってしまいそうだった。
「返せぇぇぇーっ!! 本体を!!」
「……ほん、たい……?」
「テメェをぶっ殺して奪ってやる!! 折角、心身ともに奴と融合しつつあったのに!! 口調も、思考も、全部一心同体になりつつあったのに、暁ヒナタが全部邪魔しやがった!! テメェの次は暁ヒナタだ!! 殺す!! 殺す!! 殺すぅぅぅーっ!!」
言っていることは支離滅裂で、全く分からない。
しかし。大方、こいつがアヴィオールと融合するために、相当な根回しをしていたのは分かった。
何をしていたのかは、おぞましくて考えたくも無かったが。
だが、そんなことを考える間もなく。
今度は、邪悪の根源が現れる。
全ての諸悪、そもそもの元凶、全部こいつの所為。
そして、目の前の奴は、そう罵られることを名誉だ、誇りだと感じている——
「超次元ゾーンより、《悪夢喰種 アルゴリズム》召喚!! そして、テメェのクリーチャーのパワーを永続的にマイナス2000だぁぁぁーっ!!」
「なっ、2000だと!?」
現れたのは、アルゴリズムの分身である存在、《悪夢喰種 アルゴリズム》だった。やはり、何度見ても不快で醜く、悪意のこもったクリーチャーだ。
次の瞬間、レンの《ブラッドレイン》と《ヘルミッション》が深い深い深淵に飲み込まれて消えた。
「くっ、《ヘルミッション》の効果で——」
「オレサマを殺したいか!? 殺せねぇぇぇーっよ、ヴぁぁぁーっか!! オレサマがいるから、K・コアを持つクリーチャーは、クリーチャーや呪文の効果で選ばれねぇんだよ!!」
「ならば、せめて《ブラッドレイン》だけでも破壊だ!」
それでも、アルゴリズムの優勢は覆らなかった。
いや、もう遅かった。
《アルゴリズム》が、《アヴィオール》へ飛び乗る。
次の瞬間、無数の触手が《アヴィオール》を包む——
「ターンの終わり、このターンの間に相手のクリーチャーが2体以上死んでいれば——オレサマの武装条件達成じゃぁぁぁーんっっっ!!」
発狂してしまったか、彼は自分の全身をかきむしる。
布の皮に今まで包まれていた血肉が吹き出た。
しかし。同時に、目の前で対峙している彼の姿もまた、おぞましく変貌していく。
直視するのがままならないほどに、生命の理論と倫理を踏みにじり、大罪の化身は顕現した——
「《悪夢骸骨 アヴィオール・ゼノン》、武装完了ぉぉぉーっっっ!!」