二次創作小説(紙ほか)

Act1:鎧龍サマートーナメント ( No.208 )
日時: 2015/10/25 23:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 7hpoDWCB)

「俺のターン! 《メガ・マグマ・ドラゴン》を召喚! 効果で、パワー5000以下をみんな破壊だ!」
「馬鹿め! 《ヘルミッション》が破壊されたから、《マグマ・ドラゴン》も破壊する!」
「くっ、やるじゃねえか……! 最近、ますます強くなったか?」
「そっちこそな……!」

 睨み合う2人の少年。
 対戦をしているのは大事件が起こった後も相も変わらずの、暁ヒナタと黒鳥レンだった。
 一進一退の攻防を繰り広げる2人に、周りの全員は固唾を呑んで見守っている。

「僕のターン。《キラード・アイ》から進化、僕の切札の《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》を召喚!!」



悪魔龍王 キラー・ザ・キル P 闇文明 (6)
進化クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン 12000
進化−自分の闇のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体破壊する。
T・ブレイカー



 周りから歓声が上がる。完全に、レンのペースになっていた。
 彼の切札である《キラー・ザ・キル》は殺戮の悪魔龍。一瞬でヒナタの場にあった《トップギア》を破壊した。

「そのまま、T・ブレイクだ!」
「わりーな、今日の給食の余りの唐揚げは俺のもんだ! S・トリガーで《シュトルム》召喚!」
「まだそんなことを言っているのか。唐揚げは僕のものだ。現に貴様は僕の《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》を破壊できていないからな。ターンエンド。」

 今回。
 食い意地の張った男子達は、休みが出たために生じた男子の昼の生命線(誇張)である給食の余りの唐揚げを巡って、デュエルをしていたのだった。
 他にも勿論生徒はいたが、2人が速攻でデュエルで片付けてしまったため、現在に至る。
 んなことで一々デュエマしてんじゃねーよと言いたいであろうが、この2人だから仕方が無い。
 
「へっ、見やがれ。俺の切札を見せてやるぜ!」
「何?」

 ヒナタのマナゾーンのカードが6枚、タップされた。
 そこから、燃え上がる炎、そして最強の龍が現れる系譜となる。



「《シュトルム》から進化、《エヴォル・ドギラゴン》! そのまま《キラー・ザ・キル》を殴り返せ!」
「なっ!?」



エヴォル・ドギラゴン P 火文明 (6)
進化クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン 14000
進化−自分の火のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップする。
T・ブレイカー



「《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》を攻撃して破壊! そして、バトルに勝ったからアンタップだ!」

 瞬殺。パワーの差は歴然であり、レンの悪魔龍の王は一瞬で墓地へ叩き落された。
 さらに、ヒナタはシールドへ攻撃しなかったため、レンは手札を供給することもできなくなってしまう。
 対し、ヒナタの場には巨大な進化クリーチャーの《ドギラゴン》が佇んでいる。

「ターン終了だぜ!」
「くっ、おのれ……! 貴様というやつは……!」
 
 次のターン、レンが召喚したのは、《ギラン》と墓地進化によって現れた《デスマーチ》だった。両方共ブロッカーだ。《ドギラゴン》の敵ではない。しかし、問題は後続のアタッカーはこれらに阻まれてしまうということ。
 しかし。それでもヒナタは笑みを浮かべる。逆転のための手札を与えなかったのは、やはり正解だった、と。
 ドラゴンは1撃必殺。そのターンで決めるのがサダメ。
 ヒナタは勝利を叩き付ける。
 目の前の、最高のライバルに。
 そして——

「スピードアタッカーの《熱血龍 GENJI・XXX》を召喚! ブロッカーを全て破壊だ!」
「なっ……!?」
「《GENJI》で残りのシールドを全てブレイク!」 

 シールドを確認するレン。
 しかし、もう逆転の手立ては無いとその瞬間、悟った。

「——《エヴォル・ドギラゴン》でダイレクトアタック!」

 そして、ドラゴンを超えたドラゴンの攻撃が、ダイレクトにレンへ炸裂したのだった——



 ***



「くっ、おのれ……」
「昨日はお前の勝ちだったからな。今回は勝たせて貰ったぜ!」

 給食後。腹をさすって言うヒナタに、やりきれない表情でレンは溜息をついた。

「あー、食った食った!」
「良いさ、唐揚げは肌に油が浮——駄目だ、やはり悔やまれる……」
「なははは、悔しさを押し殺しても、分かるっての。食い物なら尚更だぜ、レン」
「次は! 僕が勝つからな!」
「望むところだ!」

 それにしても、ここ最近で彼はやはり元気にはなった、とヒナタは重々感じていた。
 それによって、日常が戻ってきたことを痛感していたのだ。大きな事件が1つ終わったことで、肩の荷が降りたというか……。

「明日の全校集会は何だ? 学期末集会ではない、よな」

 思いに浸っている間もなく、レンの声がヒナタの意識を我に戻す。かなりぼーっとしていたようだ。
 さて、少し不自然な時期の全校集会が、明日開かれることになっていると彼は言った。
 さらに、教室のみんなもやけにそわそわしているので、レンは気になって仕方が無い様子だった。

「ああ、去年お前は居なかったから知らないのか」
「? ああ、そうだが」
「祭りだな」

 きょとん、とした表情を浮かべるレンに、悪戯っ子のような笑みを浮かべて彼は言った。

「ああ、悪い。分かりにくかったな」
「比喩的ではなく、具体的に説明してほしいのだが」

 悪かった、とヒナタは軽く謝ると、今度は真剣な面付で答えた。




「毎年恒例らしいが、明日、”鎧龍サマートーナメント”の今年のルールが発表されるんだぜ」