二次創作小説(紙ほか)
- Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.241 )
- 日時: 2016/03/04 01:25
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)
***
「私のターン! 《爆砕面ジョニーウォーカー》召喚!」
爆砕面 ジョニーウォーカー P 火/自然文明 (2)
クリーチャー:ヒューマノイド爆 2000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、このクリーチャーを破壊してもよい。そうしたら、次のうちいずれかひとつを選ぶ。
・自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
・相手のパワー2000以下のクリーチャーを1体破壊する。
「破壊して、山札の上から1枚をマナゾーンに。ターンエンド」
ホタル対安藤のデュエル。
カラーを見るに、相手のデッキには少なくとも火と自然が入っていると思われた。
《ジョニーウォーカー》は登場時に破壊することで、1マナブーストか相手の軽量破壊のどちらかを選ぶことのできる優秀ないぶし銀だ。
——ステロイドカラーを基盤にした、ビートダウン? でも、話によれば大型を好んで使うみたいですし、やっぱりビッグマナみたいですね……。 ともかく、怖いのは《ミステリー・キューブ》などでいきなり大型が出てくることですから——!
「私のターン! 《制御の翼 オリオティス》召喚! ターンエンドです!」
「ほーう。これは邪魔なモノを……」
ふふ、と不敵な笑みを浮かべた安藤はホタルの場を固める天翼の使者を見た。
《オリオティス》は、相手が自身のマナゾーンのカードよりコストの大きいクリーチャーを出したとき、それを山札の一番下に強制送還するという踏み倒し規制能力を持つ。
サイキック・クリーチャーや、キューブを扱うデッキなどではうっとおしいことこの上ないクリーチャーで、しかも自身もブロッカーなので徹底的に相手を邪魔することに長けた光の地盤だ。軽コストながら、侮れない。
しかし。
相手のマナゾーンに、今度は闇の《デス・ハンズ》が置かれた——
「私のターン。《ウソと盗みのエンターティナー》を召喚」
「!!」
「光も踏み倒すのが得意ですからねェ……《ヘブンズ・ゲート》だとか《ドラゴンズ・サイン》だとか」
ウソと盗みのエンターテイナー P 闇/火文明 (4)
クリーチャー:ヒューマノイド/ダークロード 4000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
バトルゾーンに自分の他のクリーチャーがあれば、このクリーチャーは攻撃されない。
相手がコストを支払わずにクリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのクリーチャーを破壊する。
表れたのは、怪盗の姿をした紳士のクリーチャー、そして鬼の手が付いた棒を掲げた餓鬼の姿をしたクリーチャーだった。
「まぁ、1つ《オリオティス》と違うところを挙げるとすれば、コスト軽減にこいつの効果は使えないと言うことですがねェ」
「ッ……!」
「ターンエンド」
思わず、睨んだ。
光は除去手段に乏しい。
厄介なシステムクリーチャーをどかしてしまうのが難しいのだ。
——しかも、《オリオティス》の効果はビマナ相手には早期の踏み倒しの牽制程度にしかならない……! マナを貯められたら腐ってしまう!
カードを引く。
此処は——これに賭けるしか無かった。
「呪文、《オリオティス・ジャッジ》! 効果で、互いのマナゾーンの枚数以上のコストを持つクリーチャーを全て山札の下に送還します!」
「……おうっ?」
オリオティス・ジャッジ R 光文明 (3)
呪文
S・トリガー
各プレイヤーは、自身のマナゾーンにあるカードの枚数以上のコストを持つクリーチャーをすべて、好きな順序で自身の山札の一番下に置く。
不正は許さない。
ただし。不正でなければ裁かないとも言っていない。
一瞬で《エンターティナー》が山札の一番下に送られた。
光りの数少ない除去呪文である《オリオティス・ジャッジ》の容赦の無さよ。
どの道、本家と同じで相手のマナゾーンのカードが増えると腐ってしまうのは確かだが。
「ふむ、やはり握っているようですねえ、天門か龍印を……ならば、私のターン。そろそろエンジンを掛けていきましょう」
次の瞬間——バッ、と安藤が制服を脱ぎ捨てる。
反射的に目を背けてしまうホタルだったが、そこにはどこから出したのかは知らないが、グローブにヘッドギア、トランクスという完全にボクサーの服装に葉や着替えした安藤だった。ここまで常識を逸していると、最早突っ込むのを諦めたくなるところである。
そしてどこからか「あーんどう!! あーんどう!!」という声援まで。色々おかしいだろ、というヒナタ達の突っ込みを他所に、デュエルは進められていく。
——いやいやいや!! おかしい!! やっぱりおかしいでしょう!?
いや、一番突っ込んだのは対戦相手の彼女であっただろうが。
「ふははは、こちらにもボクシング部の誇りが掛かっているのですよ!! 覚悟!! 《無双竜鬼ミツルギブースト》召喚!」
現れたのは、機械に覆われた身体を持つ龍——しかし、その両手にはグローブ、頭にはヘッドギアが。何故だ。
そうして、相対する《オリオティス》もヘッドギア、グローブ、トランクス一丁とどこのどいつがどうプログラミングしたのかは知らないが、ノリノリであった。
「あー、これのプログラム組んだのうちの社員だからなー、遊び心満載だなー」
「やっぱり武闘財閥(あんたら)かよッ!! どうするんですかコレは!! ホタルの奴、完全にビビってるじゃないですか!!」
「何言ってる、これにどんだけ金掛けたと——」
「金の無駄遣いなんすよ!! 毎度毎度!!」
いけしゃあしゃあと言い放つフジはさておき、グローブを掲げた《ミツルギブースト》が《オリオティス》にジャブを放つ。腰の回転を使わず、素早く、何度も。そして、真っ直ぐにストレートを《オリオティス》に突き、一発で木っ端みじんにしたのだった。
おおおお、と歓声が上がる。
すかさずレンが突っ込んだ。
「おい、死人が出たらダメだろうが、ボクシングで!!」
「何を言っている黒鳥。これはボクシングである以前にデュエマだ。それにクリーチャーで、死”人”じゃないから。何も問題は無いね」
「問題ありすぎでしょうが!! なんだよこれは!! あらゆる方面から怒られそうなコレは!! 最早デュエマでもボクシングでも何でもねーよ! どっかでプロレスネタやってたから、ぜってーこれがやりたかっただけでしょうが!! ホタルとか置いてけぼり食らってるよ!」
そして見れば、《ミツルギブースト》は真っ白に燃え尽きていた。
「いや、力尽きるの早ッ!? まだジャブ数発とストレート1発しか打ってないでしょ、あしたのジョーも驚きだよ!!」
「そりゃ、自分をマナゾーンに置くのをトリガーに相手のパワー6000以下破壊だからな」
「再現率高すぎだろ、このプログラム!! これのためにどんだけの労力を要したんだよ!! つか、皆このノリに付いていけてねぇだろ!!」
「観客はノリノリだから問題ねぇんだよ」
「問題大ありだよ!!」
しかし。これはカードゲームとして見ても、あまり良い状況では無かった。
ホタルは相手を足止めできる(かもしれなかった)システムクリーチャー兼ブロッカーを破壊されてしまい、場は真っ新。
一方の安藤もそれは同じだが、マナがかなり溜まっており、現在6枚。次のターンに7枚になる。
「私のターン……! 《エンジェル・フェザー》を唱えます! 効果で、山札から3枚を捲って、《ドラゴンズ・サイン》と《指令の精霊龍 コマンデュオ》を手札に! ……ターン終了」
「ほう。整えてきましたか。ではそろそろ——」
安藤のマナに、カードが1枚置かれた。
そして——
「そろそろ見せて差し上げましょう……これが侵略の力ですよ」
「……しん、りゃく? ——ッ!!」
「6マナをタップ——」
以前、見たことがある。そして聞いたことがある。
見たのは少しだけだったが、確かにその力の実態は聞いた。
環境が壊れる程の加速をもたらすカード——
「出でよ、幻影の侵略者!! 《幻影 ミスキュー》!!」
轟ッ!! と、一陣の風が吹いた。
それと共に、幾つもの面を持ったクリーチャー、ミステリー・トーテムがその姿を現す。
侵略者だ。
既に、侵略はあの時から始まっていたのだ。
——星目先輩も使っていたカード——!!
「そしてその効果により、こいつをマナゾーンに置けば——山札をシャッフルし、表向きにしたカードがクリーチャーならばバトルゾーンに出せる!!」
ギラリ、と食い尽くすような眼で安藤はホタルを睨んだ。
カードを捲る。
そして——それを場に叩きつけた。
「そして今、お見せしよう!! 我が切札を!!」
現れる。
巨大な影が。
激流と共に。
今まで、不確かだったものが——今、此処に顕現した。
「ボクシング部で培われた踏み倒し戦術、今此処に極まれん!! 出でよ、《サイバー・G・ホーガン》ッッッ!!」