二次創作小説(紙ほか)
- Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.243 )
- 日時: 2016/02/27 21:40
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)
安藤がどんどん詰めていく中、ホタルのターンになった。
「私のターン……《音感の精霊龍エメラルーダ》を召喚! その効果で、シールドから1枚を手札に——加えないで、手札から1枚をシールドに!」
「ほう……? 無駄な足掻きを。いい加減、諦めなさい」
——これは《ドラゴンズ・サイン》でも仕込んだのですかねェ? わざわざスパーク系は使わないでしょう。まぁ、出たところで破壊されるがオチ——とすると、相手ターンに破壊されない《高貴の精霊龍 プレミアム・マドンナ》でも出すつもりでしょうか。見え透いた手だ。
もっとも、そんなことは彼には関係ない話であった。
——何せ《GENJI XXX》で他のブロッカーを殲滅してお終い、と行ったところでしょうか。まーあ、大したことは無かったですねえ。
ふふ、と余裕の笑みを浮かべる安藤。既に手札には、ホタルを完全に詰ませる最終兵器が握られていた。
——このまま終わりにして差し上げましょう……!
一方のホタルの方を見れば、その顔はさぞ焦燥に溢れているのだろうと思われた。しかし。
——む? 落ち着いている? 馬鹿な。逆転手段も封じられているのに、此処に来てとうとう覚悟を決めたか?
「ターンエンドです!」
「……私のターン」
ホタルの意図が分からない。何を仕掛けてくるのか、全く分からない。
しかし。それこそが本来の狙いではないか、と安藤は考える。
——いや、此処は敢えて引っかかってやることにしましょう。こうやって時間稼ぎをされたら元も子も無い。そうなる前に、逆転できなくなるくらいボロボロにしてやりましょうかねェ!! ひょっとしたら、本当にハッタリの可能性だってあるのだからにして。
ターンが進めば進む程、分が悪くなるのはこちらだ。
ならばその前に強引に倒すまで。《シュパック》がこちらに居る以上、スパーク系呪文で止められることは無いはずだ。
「《熱血龍 GENJI XXX》召喚! 効果により、場のブロッカーを全て破壊!」
現れた熱血龍の一太刀が《エメラルーダ》と《アンドロム》を切り裂く。
「さあ!! 最終ラウンドだ!! 貴方を守るものは無くなった!! 《サイバー・G・ホーガン》でシールドをW・ブレイク!!」
「っ……!!」
チェーンに繋がれた巨大な砲丸によって叩き割られる2枚のシールド。会場からはその迫力で歓声が上がっている。
そして——
「2体目の《ホーガン》でシールドをW・ブレイク!!」
続けるようにして2撃目が放たれた。
これによって、《シュパック》の効果発動圏内に。
これを見ていたヒナタ達も、焦りを隠せなくなってくる。
「や、やっぱり、プレッシャーで——」
「逆転は難しいな。”あのカード”でも入れていない限りは……だが、余りにもピンポイント過ぎる」
「さー、どーだろーな」
不安を隠せないコトハとレンの言葉を断ったのは、フジだった。
「これしきで潰れててたら、革命なんざ起こせるわきゃねーだろ」
***
——セ、セーフ!! 危なかった……!! 此処まででスパーク系のカードが来たら全部お終い……!! だが、もうこれで心置きなく彼女を倒せる!!
安藤は安堵を隠すことが出来なかった。
それほどまでに上手く事は進んでいた。
「《T・フューリー》でシールドをW・ブレイク!!」
高速の拳が次々に放たれる。
2枚に連なるシールドを殴る殴る殴る殴る殴る——そのまま全て打ち砕いてしまった。
「は、ははは! 勝った! 有り得ないぞ、流石に——此処で私のクリーチャーが全て破壊でもされない限り」
光が収束する。S・トリガーだ。
しかし。考えつく手段では彼女が自分に逆転できるわけはない。そう考えていた。現に、激しい光が放たれているが、こんなものは《シュパック》の前では無力——ただし。それが本当にスパーク系の光であったのならば、の話であるが——
「S・トリガー発動」
すべての理に従い、安藤の場のクリーチャーは全て光に包まれる。
全てを消し飛ばす”熱”を持ったそれに——
「……はっ?」
次の瞬間。
見渡せば、場に居た安藤のクリーチャーは既に全滅していた。
「な、ば、馬鹿な——」
パシャッ
「はーい、良い表情ですね。ベストショット、撮らせていただきましたよ、安藤選手」
「な、な——!!」
「S・トリガー発動……《アポカリプス・デイ》。場にクリーチャーが6体以上いれば、それらを全て破壊します」
つまり。安藤がうっすら予想していた最悪の事態が起こってしまったのだ。彼のデッキにシールドを焼却できるようなカードは無い。よって、この事態はどうあがいても起こったと言える。調子に乗って展開さえしなければ、と言いたいところであるがそういうデッキだったので仕方がないのである。
「まー、これは愉快としか言いようが無かったですねー、本当」
ホタルの口調がどんどん饒舌になっていく。手にはデジカメが握られていた。まさに今、新聞部としての本性を表したかのようだった。
それは、ヒナタ達が見たことのない一面であり、普段の奥ゆかしい彼女とは違って見えた。
「何かホタルキャラ変わってなくねーか?」
とは、一番近くで観戦していたノゾムの台詞である。
しかし、よくよく考えてみればこの調子、どうも出会った当初に似ている気がする。後、文化祭の時とか。一緒に居るうちに気弱で大人しい娘と勝手に思い込んでいたようだが、恐らく勢いに乗ってくると大丈夫な、ノリに乗って行動するタイプなのだろう。
——だからすぐ便乗すんのなあいつ……。
「な、馬鹿な……!! そんな呪文をピンポイントで入れていたのか……!」
「なーに、1枚だけですけどね、これが良い感じに働く時があるんですよー、これに結構助けられた試合もありましたし。いやでも最っ高。さっきの驚いた顔。これは特ダネですわ、いっつも大胆不敵な安藤選手の隠された顔、なーんて」
「っっっ……!!」
「というわけで、反撃行かせて貰いますよ! 試合の後に、是非インタビューを聞かせて貰いましょうか!」
ホタルのマナがタップされた。5枚が横向きに置かれる——
「まずは頼みましたよ! 呪文、《ドラゴンズ・サイン》! 効果によって手札から《赤薔薇の精霊龍 ジェネラローズ》を召喚! その効果により、カードを1枚ドローして手札より《龍覇 エバーローズ》を召喚!」
龍覇 エバーローズ R 光文明 (6)
クリーチャー:ジャスティス・ウイング/ドラグナー 4000
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト2以下のドラグハート1枚、または、コスト4以下の光のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)
赤薔薇の精霊龍と共に現れたのは天翼の戦士。
大空より光の槍がその手に渡る。
それは正義を執行するための獅子の魂が込められた槍——
「超次元ゾーンより、《百獣槍 ジャベレオン》を装備!」
「ぐっ、おのれ……!! このアマ……!!」
「おやー? 素が出てますよ? ボクサーは常に紳士たれ、がボクシング部の部訓じゃありませんでしたっけ」
百獣槍 ジャベレオン P 光文明 (4)
ドラグハート・ウエポン
これを装備したクリーチャーが破壊される時、かわりに自分のシールドをひとつ、手札に加えてもよい。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
龍解:自分のターンの終わりに、自分のシールドが3つ以下であれば、このドラグハートをフォートレス側に裏返してもよい。
「さらにこれだけでは終わりませんよ! ターンの終わりに、私のシールドのカードが3つ以下ならば! 龍解します!」
カッ、と獅子の槍が光り輝いた。
その瞬間、槍が天へ上り、不滅の要塞と化す——
「これが私の2D龍解! 全てを守る神の礎になれ! 《百獣聖堂 レオサイユ》!」
——龍解、完了。
獅子の顔はまるで、こちらを見通すかのような瞳で睨んでいる。
それだけで、焦燥が募ってきた。今度はまるで自分が追い詰められているかのように安藤は錯覚しだしたのだ。
——何故だ……!! 何故だ!! シールドの数は勝っているはずなのに!! 手札には切札も握っているのに!!
「私のターン! 《電河棲龍 T・フューリー》を再び召喚! 超連鎖・閃、発動!!」
激流が再び巻き起こった。再び連鎖を起こすために。
山札から捲られた2枚のカードを見て、その中から1枚を選んだ。
「連鎖によって《爆竜 GENJI XX》召喚!」
——このまま勝ってしまいたいが——!! 龍印で《ジェネラローズ》はこのターン、ブロッカー化している——!! まずい、まずいまずいまずいまずい——!! 龍解は、避けられない——!! だが、此処で殴らないと——!!
この恐怖は、《レオサイユ》の更なる姿の力を知っていたから起こるものであった。
先にクリーチャーを殲滅せねばならない。
「そして《XX》の攻撃時の効果で《ジェネラローズ》を破壊! そしてダイレクトアタック!」
「《エバーローズ》でブロックします!」
——だ、ダメだ——!! 勝ち切れない——!!
決められなかった。都合よく、《G・ホーガン》も《XXX》も来なかった。この時点で分かり切っていたことである。
「それでは私のターン——シールドゾーンのカードが0枚なので——《レオサイユ》の龍解条件クリア」
ふっ、と一瞬笑みを浮かべた彼女はドラグハートを展開する。
完全なる龍の姿へと——
「救いを求めなさい。光を求めなさい。そして只一つの勝利を求めなさい。私の世界、私の正義の前に全て叶えましょう——3D龍解」
天命を授かり、解き放たれし断罪者が舞い降りた——
「——《頂天聖 レオザワルド》!!」