二次創作小説(紙ほか)

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.244 )
日時: 2016/02/27 00:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: S0f.hgkS)

頂天聖 レオザワルド P 光文明 (10)
ドラグハート・クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 13500
ブロッカー
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、自分のシールドがひとつもなければ、離れるかわりにとどまる。
自分がゲームに負ける時または相手がゲームに勝つ時、かわりに自分の、ドラグハートではないクリーチャーを1体破壊してもよい。



 幾多もの束ねた翼を背に、獅子の顔を持つ精霊龍が顕現した。
 下半身は巨大な聖堂そのものになっており、6本の腕はこの世のすべてを握らんとばかりに太い。
 そして、極めつけは幹のように太い指が絡んだ2つの投槍(ジャベリン)。正義を文字通り貫かんとばかりの鋭さだ。

「では、ドローして——《コマンデュオ》を召喚! その効果で手札を1枚ドローし、《レッドローズ》を召喚!」
「っ!! 光の連鎖コンボ……!!」
「そうです! まだまだ続きますよ! 今度は《レッドローズ》の効果で手札から《デネブモンゴ》をバトルゾーンに、そしてその効果で《アンドロム》もバトルゾーンに! 効果で《T・フューリー》をフリーズ! そして——」

 ホタルの声に合わせて、《レオザワルド》の腕が振り上げられた。
 そして、一気に爆竜の身体を八つ裂きにする。

「《XX》を破壊です!」
「ま、まずい、まずい……!」
「さーて、これでターン終了ですよ!」

 完全に焦っていた。
 しかし。最早、これしか無かった。

「ま、まだだ! 《バベルギヌス》召喚! その効果により、《T・フューリー》を破壊して再びバトルゾーンに! そして、超連鎖・閃で《サイバー・G・ホーガン》をバトルゾーンに! その効果で《バベルギヌス》を破壊!」

 なけなしの手札で再び場を再構築していく安藤。
 激流連鎖で再びクリーチャーが2体、《嘘と盗みのエンターティナー》と《熱血龍 GENJI XXX》がバトルゾーンに現れた。
 そしてホタルの場の《アンドロム》と《デネブモンゴ》を吹き飛ばす。
 が——

「それでどうするんですか?」
「うっ……!」
「《レオザワルド》が居るとき、自分の敗北をドラグハートではないクリーチャーの命と引き換えに回避できる。それは貴方も知っているみたいですからね」
「お、おのれ……!」

 此処で攻撃しても良い。
 しかし。アタッカーはどの道《GENJI》しかいないのだ。
 この際、次のターンに賭けてしまった方が速いが、問題はその前に殴り殺される危険性が非常に高いということだ。
 クリーチャーではない。
 安藤自身が。

「《XXX》でダイレクトアタック!」
「《レッドローズ》を生贄に敗北を回避します!」

 場数を減らすことは出来た。
 しかし。これは何の解決にもなっていないのだ。

「私のターン! 5マナで呪文・《聖歌の聖堂 ゾディアック》を使い、《G・ホーガン》、《T・フューリー》、《エンターティナー》の3体をフリーズ! そして——《レオザワルド》で《XXX》を攻撃して破壊です!」
「なっ——!!」
「そしてそして、《コマンデュオ》でシールドをW・ブレイク!!」

 手札は入った。
 しかし。このデュエルで既に切札を出し尽くしていた彼にとっては雀の涙も同然であった。
 当然である。あれだけフィニッシャークラスのクリーチャーを出したのだから。

「わ、私のターン……《サイバー・G・ホーガン》を召喚……」

 しかし、それでも4枚目の《ホーガン》を引き当てたらしい。
 だが、肝心のSA達は残りがマナゾーンに送られているのを見て、最早半ば諦めているように見えた。
 そして現れたのは——《ジョニーウォーカー》と《飛散する斧 プロメテウス》だった。

「だ、ダメだ……ターン終了……」
「それでは、此処で決めさせてもらいます! 私のターン、ドロー!」

 カードを引くホタル。
 そして——《コマンデュオ》の頂きに自らの切札をたたきつける。




「白き翼の聖なる王よ、今此処に現れ純白の奇跡を起こしなさい! 進化、《聖霊龍王 ミラクルスター》!」




 現れたのはホタルの最大の切札であった。
 神々しい翼を連ね、美しき瞳は邪悪を遠ざける。
 彼女が決闘空間以外のデュエルで最も信頼を置くクリーチャーの1体だ。
 次の瞬間、《G・ホーガン》と《XXX》の身体が金色の輪に縛られて動かなくなる。
 《ミラクルスター》の効果により、2体ともフリーズされたのだ。 

「これでいける! 《ミラクルスター》でT・ブレイク!」
「ぐっ……!」

 一気に3枚のシールドが、その蹄で蹴破られた。
 その破片に、S・トリガーは——あった。
 
「し、S・トリガー《凶殺皇 デス・ハンズ》! 効果で《レオザワルド》——はっ!! だ、ダメだ——」
「残念でしたね。《レオザワルド》が無敵たる理由の1つ、それは自分プレイヤーのシールドが0枚の時、バトルゾーンを離れる代わりに留まるということですから!!」

 無敵の凶殺皇の右手は、いとも簡単に跳ねのけられた。
 その絶対的正義、そして絶対的な守りの前に。
 最早懺悔の時間など無い。
 2本のジャベリンが安藤を目がけて飛ぶ——




「《頂天聖レオザワルド》でダイレクトアタック!」



 ***



『決着ぅぅぅーっっっ!! 勝者、淡島ホタル選手っっっ!!』



 アナウンスが響き渡り、へにゃり、とホタルは力が抜けてしまう。
 途中から完全にノリノリだったが、一歩間違えれば敗北は免れない戦いだった。
 強敵・安藤に苦戦しながらも打ち破ることに成功したのだ。

「まさか、この私が負けるとは……誇りに思って良いですよ」

 安藤は諦めたような笑みを自嘲気味に浮かべた。
 負けた。
 しかし、不思議と悔しくは無かった。

「え、えーと、いや、でも……その……」
「バカにしていて申し訳ない。デュエルは本気でしたが、やはりあなたのことを侮っていた。小さな体に大きな魂。素晴らしいじゃないですか」

 彼は後ろを向くと、そのまま去っていった。
 その姿も、誇らしげに見えたのだった。

「インタビューするまでも無かった、ですか。なーんて」



「おーい、ホタルーっ!! やったじゃねーか!!」




 声が聞こえる。
 あの少年の声だ。心の中で自分を励ましてくれた彼だ。
 大きく手を振り、彼女もまた、仲間達の元に戻っていったのだった。