二次創作小説(紙ほか)

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.245 )
日時: 2016/03/21 00:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

 ***



「で、良い感じに纏まったところまでは良かったんだ」



 機嫌が若干悪いのを隠せないようだった。
 ホタルが前哨戦で勝ったところまでは良かった。
 問題はその後の試合である。
 次鋒・レンは知新ロマノフにシールドを消し飛ばされるという結末に。
 中堅・コトハはギリギリのせめぎ合いの末、僅差でサバイバーに押し負けるという結果に。
 そして、副将のノゾムはと言うと——

「《Q.E.D+》でダイレクトアタック!」

 ——ばっちりと安定した勝利を決めてくれたのであった。

「流石に一筋縄ではいかなかったか……。相手のデッキもかなり強かった。恐ろしい程にな……」
「さっきホタルが勝ったのが凄いと思える程だ。此処まで来ると、最早相性勝負ってところだから気を落とすことはねェ」
「不甲斐無い……」
「あ、試合始まりますよ、先輩方!」
「全くもう……ギリギリとはいえ、あたしが負けるなんて……」

 コトハの方も悔しさを隠せない。
 そんな中でデュエルリングに立つ少年の姿を見る。
 サングラスを掛けた暁ヒナタの姿だ。
 ——ヒナタ……! 絶対に負けたら許さないわよ!

「とはいえ、あの天川のヤローが付いていた以上、一筋縄でいかねーのは分かり切っていたぜ。どんなにメタを張ろうが、あいつはその上を行く。後はヒナタがどれほど、ジェイコフ相手にアレの力を使いこなしてくれるか、だが」
「アレ、と言うと」
「ああ……」

 フジはヒナタの方を見る。
 その瞳には迷いはない。
 ——頼んだぞ、俺様が教える事はテメーには殆どねぇ。多分!!




 ***




『チームF対チームDの戦いもいよいよ大詰めになってきました! 互いにエース格である大将同士の戦いです!』



 アナウンスが響き渡る中、ヒナタはデッキをシャッフルしていた。
 そして、カードを並べていく。
 ——やーっと俺の出番か……だけど相手は——

『2回生、暁ヒナタ選手に対するは——』

 背の高いすらりとした白人の少年。
 彼は——



『3回生、ジェイコフ・クライニュー選手だぁぁぁーっ!!』



 ——かつて、鎧龍で熾烈な戦いを繰り広げたライバルだ。

「スパシーバ、ヒナタ。君と本当に戦えるなんて、カンゲキだよ」
「ああ、そうだな……ジェイコフ」
「ふふ、そんなにいきり立たなくったっていいじゃないか」

 柔和で物腰柔らかい印象を与えるが、油断してはいけない。
 彼はかなり我の強い人物であるということを常に忘れてはいけないのだ。
 その癖、彼は強力な大型使い。急いで倒さなければ蹂躙される。
 以前戦った時はゼニスを切札にしており、更に周りはキング・コマンド・ドラゴン達で固められていたのだから。
 ——以前は押し切って勝った……だけど今回も同じ手が通用するとは思えねえし、まして戦略の幅は俺の方が文明が少ない分狭い……だけど、一点特化で打ち勝つ!!




『それでは、デュエルスタートです!』




 ***




「——僕のターン。2マナで《メンデルスゾーン》を使用。その効果により、山札の上から2枚を表向きにして——ドラゴンの《不敗のダイハード・リュウセイ》をマナゾーンに。ターンエンドだ」

 ドラゴンデッキのエンジン、《メンデルスゾーン》を使うジェイコフ。これによって、マナゾーンのカードは3枚になった。当たり外れの激しいこのカードを積むということは、やはりデッキにかなりの枚数のドラゴンを積んでいると見て間違いなかった。
 長期的なアドを取りづらい火としては、さっさとケリを付けてしまいたいところである。
 先攻を取っていたヒナタの場には《ラブ・ドラッチ》が1体いるのみ。しかし、自分の革命軍の進化クリーチャーのコストをファイアーバード1体につき、1下げてくれるのだ。

「俺のターン、《ゴーゴー・ジゴッチ》を召喚!」



ゴーゴー・ジゴッチ P 火文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード炎/革命軍 2000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から5枚を見る。その中からドラゴンを1体選び、相手に見せてから手札に加えてもよい。その後、残りのカードを好きな順序で山札の一番下に置く。




「その効果により、山札の上から5枚を見て——《革命龍アサルト》を手札に! ターンエンドだ!」
「僕のターン」

 ——これでコストマイナス2か……まあ良い。
 ジェイコフのマナゾーンには、火と自然、そして闇の文明が揃っている。
 ここで更にマナゾーンのカードを増やそうとする——

「《エコ・アイニ—》召喚。効果により、山札の上から1枚をマナゾーンに!」
「ゲッ、そいつは確か——!」
「それがドラゴンならば——」

 マナゾーンに置かれたカードは——《偽りの王 ヴィルヘルム》。ドラゴンだ。
 これにより、《エコ・アイニ—》のもう1つの能力が発動することになった。
 山札からもう1枚がマナゾーンに置かれたのだ。これにより、ジェイコフのマナゾーンのカードは6枚。次のターンに7枚になる。

「——ふふっ、これで僕のマナは2枚増える。ターンエンドだね」
「っ……やっべー」

 一気にマナゾーンのカードを増やされ、焦りを隠せないヒナタ。ビートダウンをコンセプトにしたこのデッキであるが、それに追いつかれつつある。
 こちらも速く攻めねば、とヒナタはカードを引いた。

「俺のターン、ドロー! 《ジゴッチ》、進化だ!」

 3枚のマナが支払われた。そして、小さな火の鳥に龍の炎が宛がわれる。
 より高く、より明るい太陽へ——

「燃え上がれ、強襲の炎! 革命の風を巻き起こせ、
《革命龍アサルト》!」

 現れたのは、ヘリコプターのような装甲を身に纏い、星型のガトリングを放つドラゴンだった。
 そして、そのガトリングがヒナタの山札を狙い撃つ。一気に展開される山札、そこから1枚のカードが手札に加えられた。

「その効果により、山札を見て——《革命龍 ドラッケン》を手札に!」
「ほーう……」

 値踏みするような目でカードを見るジェイコフ。
 革命軍は、此処最近で鎧龍が発売しだしたカード。
 まだ生徒の間でも研究が進んでいないのだ。
 ——噂によれば、ピンチになればなるほど強くなるというけれど……蹂躙してしまえば問題ないか。

「まだだ! 撃ち貫け、《アサルト》! W・ブレイク!」
「ッ……」

 先制攻撃を放ったのはヒナタだった。
 ガトリングの集中砲火がジェイコフの2枚のシールドを打ち破る。
 ——リスクを考えずに殴るスタイル……! やはりビートダウンか、面白い!

「僕のターン、ドロー」

 打撃力、速攻性は流石にヒナタが上だ。
 しかし、あくまでもそれまでの話。
 マナゾーンにカードを置く。そして——

「7マナで、《蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ》を召喚!」

 ——蒼薔薇を携えた天使龍を呼び寄せたのだった。



蒼華の精霊龍 ラ・ローゼ・ブルエ SR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7500
ブロッカー
自分のドラゴンが攻撃またはブロックした時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
光以外の呪文によって相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。




 ドラゴンの攻撃時にシールドを増やせる厄介なクリーチャー、《ラ・ローゼ・ブルエ》。同時に、次のターンでジェイコフのマナゾーンのカードは8枚になり、強大な切札の登場を予感させた。
 ——どうする俺……何か嫌な予感がする……!




「デュエマを制するのは、ダイチを制する者……ヒナタ。君に、今度こそそれを教えてやるよ……僕の新しい切札と共にね」