二次創作小説(紙ほか)

Act7:鎧龍頂上決戦 ( No.255 )
日時: 2016/03/03 23:13
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

 燃える勝利の炎と共に、革命の司が降り立った。
 鎖の巻かれた巨大な剣を掲げ、紅蓮の鎧に身を包み、ヒナタの元で巨大な咆哮を上げる。
 それが放つ質量、熱量、全てが《ドラッケンA》とは段違いだ。
 そう。
 《ドギラゴン》は既存のドラゴン全てに革命を起こす。
 これまでのドラゴンを超えるドラゴン。
 それが《ドギラゴン》だ。
 正に、それは伝説を体言していた——

「《エヴォル・ドギラゴン》の正統進化と言ったところか——しかし、《ドギラゴン》というクリーチャーを見るたびに感じる既視感は一体……」
「そこに気付くとは流石黒鳥だな」
「と言いますと」
「《ドギラゴン》は我が鎧龍の象徴となっている勝利の龍、《ボルメテウス》が元になっている」
「!」

 《ボルメテウス》。そう言われれば、確かに納得が言った。
 一番近くでそれと共に戦ってきたレンだからこそ真っ先に気付くことが出来たのだろう。

「かつて、鎧龍では《ガイアール》と《ボルメテウス》、2つの龍の化身がそれぞれアウトレイジとオラクルに別れて戦った。それはもう凄まじい戦いだったぜ。何せ、互いに勝利を司る龍だかんな」

 懐かしむように言うフジ。
 コトハもはっ、とした顔をした。ノゾムとホタルはいまいち掴めていないようだが、彼らは当時者ではないので当然であった。
 フジが言っているのは決して伝説だとか語り事などではない。
 丁度1年前だ。オラクルの教祖、ヨミが襲撃を仕掛けてきたのだ。3カ月続いたヒナタ達とオラクルの1つの決戦だった。
 そして、最終的に敵地に乗り込んだヒナタと、レンを媒体にして動いていたヨミが激突。そして、それぞれが操る《ガイアール》と《ボルメテウス》がそれぞれの種族と化した《勝利皇帝 Guy-R》と《神聖輝 P・サファイア》がデュエルの中で衝突。皮肉にも鎧龍に祭られている2つの龍同士の勝負に。
 しかし、ギリギリの状態で最終的にヒナタがヨミを打ち破ったのだった。

「……第一の龍と第二の龍……」
「ああ、そして《ドギラゴン》は鎧龍を勝利に導く第三の龍となってくれるはずだぜ。後はもう、ヒナタがそれを使いこなせるか、そうじゃねえかの話だ」

 会場に立ち、いつもの不敵な笑みを浮かべるヒナタ。
 勝利の龍が、革命を呼び起こす——

「燃え上がる紅蓮の魂よ、無限の剣となって新たな時代を切り開け——《燃える革命 ドギラゴン》の”革命0”発動!」

 《ドギラゴン》が巨大な咆哮を上げた。
 同時に、鎖に巻かれた大剣が解き放たれていき、拳のマークが浮き出る。
 
「こいつの効果で、俺のシールドが1枚も無いとき、《ドギラゴン》は攻撃する時にアンタップする——つまり、無限攻撃を起こせる」
「なっ!? バカな!? そ、それじゃあ——止められないという事かぁぁぁーっ!?」

 会場からも驚きの声、そして花村も驚愕しているようだった。
 この手のアンタップ能力は、大抵何らかの制限が設けられている。
 例えば、バトルに勝ったときのみや、ターン中に1回のみ、などだ。
 しかし。《ドギラゴン》はそれに革命を起こした。
 無限攻撃能力は前例こそあるものの、一端の進化クリーチャーが此処までの強力な効果を持つことが出来る例は他にない。
 そのまま全てを切り裂かんとばかりに大剣を振り下ろす——

「《ドギラゴン》で《「四つ牙」》を攻撃して破壊——アンタップ」
「っ——!!」
「これだけで終わると思うなよ。さらに《ソニックブーム》にも攻撃だ!」

 
『おおーっっっと!! ヒナタ選手、容赦なく花村選手のクリーチャーを殲滅していく!! 流石勝利の革命龍、これを止められる者はいるのか——!?』


 《ドギラゴン》の大剣が大上段に振り下ろされ、《ソニックブーム》を燃える機体ごと真っ二つにした。
 そのまま、爆散する——

「良かったな。バイクに炎なんざ、サイコーに映えてるじゃねーか」
「炎上しただけだろうが、おのれぇぇぇ!!」
「そのまま、シールドに攻撃だ《ドギラゴン》!!」

 今度は火焔の玉が3つ、放たれる。
 残る花村のシールドを全てそれらが焼き払う——残る花村はもう身を守ることが出来ない。《ドギラゴン》の無限攻撃が剥き出しの身体に叩き込まれる——




「S・トリガー発動、《チャケの応援》——!!」



 ——そう、思われた。
 《ドギラゴン》はもう、攻撃しなかった。
 いや——攻撃できなかったと言うべきか。

「こいつの効果で、テメェのクリーチャーはプレイヤーを攻撃できない! 残念だったな!」
「防がれたかー、ちぇっ残念残念」


チャケの応援(ケチャ) UC 自然文明 (3)
呪文
S・トリガー
このターン、クリーチャーはプレイヤーを攻撃できない。
このターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャーすべてのパワーは+2000される。




「アホかー!! 何呑気に言ってんのよあいつ!!」
「完全にアレは逆転されるぞ!! 相手のデッキにはスピードアタッカーがどれだけいるか分からんのに!!」

 当然ながら、同級生2人の胃がマッハになったのは言うまでもあるまい。
 ヒナタの楽観っぷりには呆れを通り越して一種の失望すら感じていたのだから。

「俺様のターン!! これで終いだ!! 8マナで《音速 ソニックブーム》、2体目召喚!!」

 バイクに乗った《ソニックブーム》が再び地平線からやってくる。
 そして、今度も脇目を振らずにヒナタの方へ突っ込む。
 光線銃の銃口を向けながら——



『ヒナタ選手、絶体絶命——!! 革命0トリガーも絶望的か!? これはまずいぞ!!』



 ——放つ。



「ヒナタ——!!」



 コトハが思わず柵に乗り込んで叫んだ——その時。
 ヒナタの口角が上がった。






「希望と勝利と伝説の証よ、大いなる鎧と盾となり、俺を守れ——《燃える革命 ドギラゴン》の革命2発動」




 銃弾は掻き消された——割り込んできた《ドギラゴン》によって、だ。
 花村の勝利への道は完全に此処で閉ざされることになる。

「な、なにが起こった——!! 俺様の勝ち、じゃないのか!?」
「残念だったな」

 いや、元よりこの龍の前で勝利など有り得なかった。
 何故ならば——



「《ドギラゴン》の革命2——こいつがバトルゾーンに出た時、俺のシールドが2枚以下なら次の俺のターンの始めまで俺はゲームに負けず、お前はゲームに勝たないって効果を持つ」



燃える革命 ドギラゴン LC 火文明 (7)
進化クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン/革命軍 15000
進化−自分の火のクリーチャー1体の上に置く。
T・ブレイカー
革命2—このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドが2つ以下なら、次の自分のターンのはじめまで、自分はゲームに負けず、相手はゲームに勝たない。
革命0—このクリーチャーが攻撃する時、自分のシールドが0枚なら、このクリーチャーをアンタップする。



 がくり、と花村は膝をついた。力無く、ターン終了を告げる。
 そして、ヒナタのターン。
 彼は確かに見据える。
 花村に巣食う異形の姿を——

「デュエルはデュエリスト同士の魂のぶつかり合いだ。それを邪魔する奴は、この俺が絶対に許さねえ——」

 《ドギラゴン》がヒナタの怒りに呼応し、羽ばたいた。
 そして、大剣を解き放ち、振り下ろす——



「——《燃える革命 ドギラゴン》でダイレクトアタック!!」