二次創作小説(紙ほか)
- Act1:紡ぐ言の葉 ( No.266 )
- 日時: 2016/03/22 15:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)
「——!!」
顔が真っ赤になっていく。
胸がとても熱い。そして爆ぜてしまいそうだ。
ヒナタが完全にフリーズしたのち、「ぷはっ」と自分の唇を彼のそれから離すと何事も無かったかのようにツグミは言った。
「あいしょう……ばっちりかも。思った通り、”無法”のちからの持ち主だったかも——」
「なっ、お前、何で——」
「べつに。ただの癖かも」
「ちょっと、あんた何してんのよ!!」
憤慨したのはコトハである。
彼女自身も顔が真っ赤に染まっており、目の前で見せつけられた羞恥心と怒りで冷静さを失っていた。
が、対照的に彼女は無邪気な子供のように疑問をコトハに突き付けたのだった。
「……かのじょでもないのに、何をそんなにおこってるかも?」
「う、う、う、うるさぁぁぁい!! ふ、ふ、ふ、不純異性交遊なんか、か、か、かりにも学級委員のあたしのめのまえで——絶対に認めないんだからぁぁぁーっ!!」
「そんな破廉恥なビキニ着ながら、なにいってるのか、よくわからないかも」
「破廉恥言うなぁぁぁーっ!! 普通のビキニなんだからぁぁぁーっ!!」
言う事が支離滅裂になっているコトハを無視し、ツグミは再びヒナタの方を向いた。
「さっきはすまなかったかも。あなたの唇が美味しそうだったから——あぴせりんも、あたしも反応してしまったかも」
「あ、あのなぁ……な、なに考えてんだお前は——」
「——べつに。ふかいいみはないかも。ただ、すこしあなたのことがきにいったからかも。さっきも言った通り、ただのくせ——」
「破廉恥なのはあんたの方でしょうが——!! このキス魔——!!」
ヒッ、と思わずヒナタは悲鳴を小さくあげた。
明らかに怒っている。目を吊り上げ、ポニーテールは熱気で揺れているようにさえ見える。
此処まで彼女が怒ったのを見たのは、それこそいつかのミルメルの件以来だ。
「勝手にあたしのクラスメートを、あたしの目の前で——!! 絶対に許さない、生かしておかない!!」
「生かしておかないって、それはちょっと物騒すぎやしませんかね、如月さん!?」
「うっさい黙れグラサン!!」
「グラサン!?」
「ふーん? 要するにどうするつもりかも?」
「何が気にくわないって、あんたのスカした態度——!! 粛清してやるわ!!」
「ま、待て!! 落ち着け、コトハ!!」
そうやって彼女を慌てて羽交い絞めにしようとする。
が、しかし、焦っていたからか手が滑って彼女の胸を掴んでしまう。
もうこれからどうなるかはお察しであった。
「——!! この変態スケベヒナタァァァーッ!!」
ガツン
自身のワンパンによって頭から煙を上げて砂の上に伸びているヒナタを無視し、彼女はキッと敵意の視線を向ける。
一方、淡々とした態度でツグミは続けた。
「こうなったら仕方ないかも。けっとーくーかんで無理矢理でも鎮めるかも」
「沈むのはあんたの方よ、有栖川ツグミ!!」
「すきでもないおとこのことなんか、べつにどーでもいいはずなのに、変かも」
「〜〜〜!!」
返す言葉も無い。
完全に図星を突かれてしまっているのだ。素直ではない彼女の性格が完全に仇になっている。
「ニャンクス!!」
『っひゃい!!』
「寝とぼけてんじゃないわよ!! さっさとあいつを倒す!!」
『で、でも、何が起こったのか、今起きた僕にはさっぱり——』
「ニャンクス!!」
『決闘空間解放ですにゃぁぁぁーっ!!』
哀れ不憫なニャンクス。完全にコトハに怒鳴られるまま、黒い靄を放つ。
そして、決闘空間が開かれた——
***
先攻2ターン目、コトハ。
彼女はマナゾーンにカードを置くと、そのまま2枚タップし、《霞み妖精ジャスミン》を召喚して自爆させてマナを置き、そのままターンを終えたのだった。ストレートな2ターン目ブーストの流れである。
「速攻で攻め落としてやるわ!」
『こ、怖いのですにゃ……』
「うるさい! あたしを怒らせたらどうなるか——このイメンで思い知らせてやるわ!」
完全に怒り狂っている。
しかし。それに動じる様子なく、ツグミのターンが始まった。
「わたしのターン——《ピクシー・ライフ》を唱えるかも。その効果でマナを1枚チャージ。ターンエンドかも」
「あたしのターン! 3マナで《オチャッピィ》を召喚し、その効果で墓地の《ジャスミン》をマナゾーンに、ターンエンドよ!」
互いにマナ加速の応酬が続く。
そんな中。ツグミの方が先に動き出した。
「わたしのターン。3マナで《ニヤリー》しょーかんかも」
ニヤリー UC 自然文明 (3)
クリーチャー:トライストーン 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を見る。その中から好きな枚数の無色カードを相手に見せ、自分の手札に加えてもよい。それ以外のカードを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
現れたのは結晶で出来た生命体・トライストーン。
その効果により、自らの主である無色クリーチャーを呼び寄せることが出来るのだ。
「その効果で山札の上から3枚を見て——《戒・神聖斬 アシドミラ》と《戒・神聖騎 オルタクティス》を手札に加える」
「!?」
思わず凝視した。
彼女が手札に加えようとしているカードは2枚とも、闇文明のカードと光文明のカードだ。
——名前はオラクリオンに似ている——だけど、文明を持っているっていうの!? でも、それだけじゃない!
「何でそいつを《ニヤリー》の効果で手札に加えることが出来るのよ! 無色カードじゃないわ!」
「この子達はマナゾーン、山札、バトルゾーンにあるとき、無色カードとして扱っても良い、という効果を持つかも。ただし、手札にあるときは無色カードではないから指定の文明のマナを払って召喚しないといけないけど。ターンエンド」
ターンの終了を告げるツグミ。ますます不気味になってくる。
——ゴッド・ノヴァOMG同様、文明を得たオラクリオンだっていうの!?
それだけにとどまらず、自らを無色カードとしても扱うことが出来る能力を持つのだ。
「あたしのターン、5マナで《鳴動するギガ・ホーン》を召喚! その効果で山札から《龍覇 イメン=ブーゴ》を手札に加えるわ!」
鳴動するギガ・ホーン R 自然文明 (5)
クリーチャー:ホーン・ビースト 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中からクリーチャーを1体選んで相手に見せ、自分の手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。
キーカードである《イメン=ブーゴ》を手札に引き寄せることに成功するコトハ。
このままいけば、次のターンに《ボアロアックス》諸共《イメン=ブーゴ》をバトルゾーンに出すことが出来るのだ。
そのままターンを終えた。
——後は染色したマナで、英雄を召喚し、一気に勝負を決める! それだけの話!
「——わたしのターン、ドロー」
カードを引くツグミ。
そして——1枚のマナをタップした。
「1マナで《オラクル・タクティクス零式》を唱えるかも」
「!?」
聞いたことのない呪文だ。
これもまた、零央が開発したカードと言うのだろうか。
「効果で——カードを1枚ひくかも。そして——次の召喚する
”オラクリオン零式”のコストは最大3下がるかも」
「えっ!?」
となれば、考えられることは1つ。
コスト最大7のクリーチャーがバトルゾーンに現れるということ。
そして——残るマナがタップされた。
「あらわれよ、虚無ないまぜの偽りの神——”零式”」
実体化する。
天獄の翼を持つ神々の姿が——1つに。
「それは完全にして不完全なタクティクス。降臨せよ、《戒・神聖騎 オルタクティス》」