二次創作小説(紙ほか)

Act1:紡ぐ言の葉 ( No.268 )
日時: 2016/03/21 23:29
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

戒・神聖斬 アシドミラ 闇文明 (8)
クリーチャー:オラクリオン零式 9000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを2体破壊する。その後、コスト7以下の無色クリーチャーを破壊したクリーチャーの数だけバトルゾーンに出しても良い。
山札、バトルゾーン、マナゾーンにあるこのクリーチャーを無色クリーチャーとして扱っても良い。
相手のターン中に、相手がバトルゾーンにある自分のクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。(ただし、このクリーチャーを攻撃してもよい)
W・ブレイカー



 彼の神は魔法陣を展開した力士像のようなクリーチャーだった。
 しかも、胴の部分には魔獣の口が大きな牙を剥いて開いており、凶暴さを以前の《アシッド》に比べても増している。
更に、長い杖をその六本の腕に携えていた。

「《アシドミラ》のこーか発動——自分のクリーチャーを2体はかいするかも……《アンタッチャブル》を2体とも破壊」

 次の瞬間、《アシドミラ》の杖から電撃が放たれて、《アンタッチャブル》2体を打ち砕く。
 光の粒子となって爆ぜる《アンタッチャブル》だが、今度はそれらが再び収束する。
 新たなる狂気の神を生み出す糧となるため——




「そして、破壊したクリーチャーの数だけ山札からコスト7以下の無色クリーチャーをバトルゾーンに出すかも」



 次の瞬間、魔法陣から神が現れた。
 それは、余りにも目の前にいる邪悪なシャーマンに似ている——同時に聖なる獣・麒麟の姿を成していた。

「それは欲望に駆られし魂の救済。降臨せよ、《戒・神聖麒 シューメイン》」

 大地が震える。
 そして、巨大な斧を携えた麒麟の神がその姿を現した。
 その顔にはオラクル教団の焼き印が入った仮面が付けられており、素顔を見ることはままならない。
 だが、何て禍々しい神なのだろうか。

「今度は——《シューゲイザー》!? だけど——自然のカードになってる!?」
「それだけじゃない。もう1体——今度こそ。この子がわたしの最大の切札かも」

 もう1枚、山札からクリーチャーが現れる。
 しかし、今度は何かが違った。
 全く何も感じられない。
 正真正銘の虚無の力だ。

『コトハ様! あれ、僕達と同じ力を感じますにゃ……!』
「それって、つまり——!」
『ほ、星の英雄——まさか、六人目が存在するなんて!』

 虚空に星座が浮かぶ。
 そのラインは1つの生物を描き出す。
 暴食の象徴・蝿。
 不気味に星が光ると共に英雄が姿を現した。
 まるで、何かに当てられたかのように、ツグミは言葉を紡いでいく。




「混濁の英雄よ、純白の片翼に漆黒の魂を。銀蠅座(ムスカ)の力を受け、今此処に光臨する——《姫英雄 混濁のアピセリン》」




 光が舞い降りた。
 そこには、蝿の翼を持つ赤い瞳の少女が居た。布切れ一枚だけを肌の上に纏っており、純白の髪を長く伸ばしている。
 その瞳はとても虚ろで不完全だ。
 そして手足は鎖に縛られている。
 意思は持っているのか、そもそも意識を持ってさえいるのかが謎だ。

「——あなたたちが羨ましいかも。あなたたちのえいゆうは、あなたたちと意思のそつーができてたかも。このこが何をかんがえてるのか、何がもくてきでわたしのもとにやってきたのか——それさえもわたしにはわからないかも」

 ちゅっ、と《アピセリン》のカードに軽くキスをすると、ツグミは続けた。

「だけど、このこがわたしの信頼するきりふだってことは——それだけはゆるがないじじつかも」
「だから何よ! その力を見せてみなさい!」
「《アピセリン》のとーじょーじこーか発動——自分のクリーチャーの《アシドミラ》をタップして手札からコスト6以下の呪文の《トンギヌスの槍》を唱えるかも」

 次の瞬間、遠方より何かが迫る音が聞こえてくる。
 そして、一瞬のうちに《イメン=ブーゴ》の胸を巨大な槍が刺し貫き、抉り、消し飛ばす。

「——《イメン=ブーゴ》を山札の一番下に送るかも」
「っ!! やられた——!!」
「それだけじゃないかも。《アピセリン》の零式マナ武装7発動かも」

 次の瞬間、《アピセリン》の小ぶりな尻から何かが伸びた。
 とてもとても、長い影が姿を現す。その醜悪な本性と共に。
 
「ひっ!?」

 思わず、それを見てコトハは悲鳴を上げる。
 見るもおぞましいものがそこにあった。虫だ。巨大な幼虫型のクリーチャーがまるで尾のようにして英雄を冠す少女の尻から生えてきているのだ。
 それが地面に顔を突っ込む。
 そして、まるで貪るように音を立てながら何かを吸い始めた——

「マナゾーンに無色のカードが7枚以上あるとき——《アピセリン》の零式マナ武装7がはつどーするかも。そして——《シューメイン》のこーかでわたしのマナゾーンのカードはすべて無色としても扱うことができるかも」

 これにより、彼女は《アピセリン》のマナ武装条件を満たしたことになる。他でもない、《シューメイン》のマナ染色効果によって。
 そして、ツグミの山札が展開され、その中の1枚が手に渡る。

「零式マナ武装7——わたしがはじめて無色のじゅもんを唱えたとき——それと同じなまえの呪文を山札を見て唱えるかも」

 彼女の手には——2枚目の《トンギヌス》の槍が握られていた。
 身構えるコトハ。今度は、《ギガ・ホーン》が蒸発してしまう。

「銀蠅(ムスカ)とは暴食の象徴——よって、《アピセリン》は食い散らす。呪文も、マナも」
「あ、ああ、う——!」

 余りにも醜悪なクリーチャー。
 そして、連打される強力な呪文。
 恐怖がコトハの中に募っていく。

「——ターンエンドかも」
「あ、あたしのターン——」

 カードを引くコトハ。
 最早迷っている暇は無い。一刻も早く《ボアロパゴス》を設置せねばならないのである。《イメン》が倒されたことでマナの染色も効力を失ってしまったのだから。

「《龍覇 サソリス》召喚——! 効果で《ボアロアックス》を装備! そして、その効果でマナゾーンから《マリニャン》をバトルゾーンに——そして《卵殻塊 ジュラピル》を装備してターンエンドよ」

 ——まずい……!! 何とか……!! 耐え切らないと——!!
 焦燥感が募っていく。

「——わたしのターン。これで終わりかも」

 淡々と告げるツグミ。
 コトハの返答を待つまでもなく、彼女は1枚のカードをバトルゾーンに出した。

「2マナで《霞み妖精ジャスミン》召喚——そして、手札からコストを支払ってクリーチャーを召喚したので《シューメイン》の効果発動。コスト5以下の無色クリーチャーを1体、出せるかも」



戒・神聖麒 シューメイン 自然文明 (7)
クリーチャー:オラクリオン零式 7000
自分のマナゾーンのカードは無色としても扱う。
自分のクリーチャーをコストを支払って召喚した時、マナゾーンからコスト5以下のクリーチャーを1体、バトルゾーンに出しても良い。
山札、バトルゾーンにあるこのクリーチャーを無色クリーチャーとして扱っても良い。
W・ブレイカー



 次の瞬間、《シューメイン》の斧が邪悪に光る。
 そして、地面より更なる命が作り出された。
 
「今召喚コストにするためにタップした《墓地の守護者 メガギョロン》をマナゾーンから召喚かも。効果で《トンギヌス》の槍を手札に」
「っ——何を——何をするつもりよ!」

 もう、彼女は答えなかった。
 いや、答える必要が無かったというべきか。
 余りにも暴力的なゼロの力でコトハに牙を剥く。

「3マナで呪文——《母なる星域》」
「えっ——!?」
「効果で《ジャスミン》をマナゾーンに置いて——《メガギョロン》を進化するかも」

 


母なる星域 R 自然文明 (3)
呪文
バトルゾーンにある自分の、進化ではないクリーチャーを1体、マナゾーンに置く。そうした場合、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つ進化クリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。




 世界が出来上がっていく。
 零の零による零のための世界が。
 彼の神は創造した。戒められた力を解放し、神の支配する世界を——




「——《神世戒(しんせかい) ニュークリア・デイ》」




 最早声も聞こえなかった。
 それは、余りにも強大な神であった。
 訳も分からないうちに、一瞬で龍の武器ごと《サソリス》が消し飛ばされる。
 そして何が起こったのか把握できないまま、身を守るシールドが叩き割られていった。
 たじろぐ間もなく、彼女は見上げた。
 赤い虚ろな目でこちらを見据える純白の英雄の姿を——




「——《姫英雄 混濁のアピセリン》でダイレクトアタック——」