二次創作小説(紙ほか)

Act3:ヒナとナナ ( No.279 )
日時: 2016/03/25 15:20
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

 ***



 7月25日。
 夏祭り、そしてカードショップでのデュエル大会の日。
 ——此処まで、皆と特訓してきた——学校の大会の前に、此処で腕試ししてやる! 
 家の玄関の戸を思いっきり開ける。
 勝利の報告を皆に届けるため——



 ***


「……えー」

 ヒナタはげんなりした。
 カードショップ『WIN×WIN』のデュエルロードのジュニアクラス。
 その優勝者を決める決勝戦が今始まろうとしているにも関わらず、彼のテンションはだだ下がりであった。
 相手は——この間ヒナタをひっ捕らえたいじめっ子であった。取り巻き2人を後ろに引き連れて、彼は大声で下品に笑った。
 
「ぎゃはははは、此処で会ったが百万年目ぇーっ!! お前の所為で色々酷い目に遭ったが、デュエマでこのタイセイ様がぶちのめしてやるぜぇーっ!!」
「マジかよ、どんだけなんだよ、しかも勝ち上がってるし」

 一方のヒナタの反応は最早冷め切っているものであったが。

「しゃらくせえ! さっさと始めろ!」

 多くの他の子共達に囲まれながら、頂点を決める戦いが今始まる。
 ——丁度いい……! 思い知らせてやる! 俺とナナの力で!
 彼女に貰った力を無下にすることは出来ない。
 絶対に引き下がることができない意地。
 勝負度胸は、皆との特訓で鍛えられたモノの1つだ。



『デュエマ、スタート!!』



 ***



 ヒナタとタイセイのデュエル。
 先攻2ターン目。ヒナタは2枚目のマナを置き、速くも動き出していたのだった。
 水と闇のマナをタップする。

「《シンカイタイフーン》召喚! その効果で、カードを1枚引いて手札の《パルサー》を墓地に置く! ターンエンドだよ!」
「じゃあ、俺様のターン! 《幻緑の双月》を召喚し、その効果で手札から《めった切り・スクラッパー》をマナゾーンに置くぜ! ターンエンドだ!」

 互いに準備を進めていく。
 しかし、3ターン目。更にヒナタは墓地を増やしていった。

「《フェイト・カーペンター》召喚! その効果で、手札を2枚引いて《禍々しき取引 パルサー》と《アクア・サーファー》を墓地に! ターンエンドだ!」




フェイト・カーペンター C 水文明 (3)
クリーチャー:マーフォーク 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを2枚まで引く。その後、自分の手札を2枚捨てる。




 小型を並べながらも墓地の増え方は普通のデッキのそれではない。

「何だぁ? そんなに墓地を増やしてよぉ! 俺のターン、《青銅の鎧》召喚!」

 しかし、対するタイセイはマナを増やしていく。
 これにより、次のターンにマナチャージをすれば6枚となるのだ。
 自然文明らしいマナの増やし方と言える。
 だが、一方のヒナタも自分のペースをあくまでも崩さない。
 ——あいつのデッキに——俺の戦法を組み合わせる!

「俺のターン、《フェイト・カーペンター》進化! 《金属器の精獣 カーリ・ガネージャー》!」



金属器の精獣(ジン) カーリ・ガネージャー P(R) 水/火文明 (4)
進化クリーチャー:マジカル・モンスター 6000
マナゾーンに置くとき、このカードはタップして置く。
進化−自分の水または火のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、カードを1枚引いてもよい。
W・ブレイカー




 このデッキに於けるヒナタの切札の1枚。それがこのカードであった。
 最大の特徴はビートダウンをしながら手札を増やせるという点にある。軽量クリーチャーを並べていく都合上、どうしても手札が枯渇しがちだ。
 しかし、登場時と攻撃時に手札を補充できるこのクリーチャーによって、その問題は解決する。
 結果、持続的な攻めを行うことが可能になるのだ。

「まずは出た時の効果で1枚ドロー——そして、攻撃だ《カーリ・ガネージャー》! シールドをW・ブレイク!」

 速攻。2枚のシールドを叩き割る。
 しかし、攻撃するということはそれなりのリスクが付き纏うものなのだ。

「俺のターン、6マナで《爆竜GENJI XX》召喚! そして《カーリ・ガネージャー》に攻撃——する時の効果発動! ブロッカーを1体破壊するぜ!」
「ッ……《シンカイタイフーン》が!」
「そして《カーリ・ガネージャー》破壊だ!」

 攻撃時にブロッカーを破壊する《XX》により、強行突破されて切札が破壊されてしまうヒナタ。
 さらに、《ヤッタルワン》と《青銅の鎧》が攻撃し、シールドは残り3枚になってしまう。
 しかし、これは従来のガネージャビートではない。
 
「ははは! もう終わりか!?」
「いや……想定内だ!」
「何ィ!?」

 驚く彼を無視し、ヒナタはそのままカードをタップせずに1体のクリーチャーを手札から出した。
 墓地のカードは既に——6枚揃っている。

「《盗掘人形モールス》をG・ゼロで召喚! 効果で《シンカイタイフーン》を手札に! そして——《モールス》を進化!」

 5枚のマナがタップされる。
 今度は水と闇を基盤にし、《モールス》の頂へさらなるクリーチャーを叩きつけた。

「行け、《魔水晶 スタートダッシュ・リバイバー》! その効果で《フェイト・カーペンター》を墓地から復活させる! 手札を2枚引いて、《キクチ師範代》と《ホネンビー》を墓地に!」



魔水晶スタートダッシュ・リバイバー P(R) 水/闇文明 (5)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル/ゴースト 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化−自分の水または闇のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の墓地から選び、バトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー



 現れたのは黒く濁った電脳の持ち主、《スタートダッシュ・リバイバー》。その水晶が妖しく光ることで死者も蘇らせるらしい。

「そのまま《GENJI》とバトル! 相打ちにして破壊だ!」
「弱虫の癖に、生意気な……!」
「確かに俺は弱虫かもしれない! だけど——弱くったって、戦えるんだ!」
「ほざくな、雑魚が! テメェの場は《カーペンター》を残して全滅、そのままくたばって貰うぜ!」

 タイセイのターン。
 そのまま、5枚のマナをタップし——《幻緑の双月》に重ねる。
 こちらも進化を使って攻めたてようというのだろうか。




「これが俺のデッキの本領だ! 《超電磁コスモ・セブΛ》!」