二次創作小説(紙ほか)
- Re: デュエル・マスターズ D・ステラ【過去編】 ( No.283 )
- 日時: 2016/03/27 00:52
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)
「ヒナタ」
掠れ声で、ヒナタの肩を掴んでショウゴは言った。
「……デュエマをやめるとか……いうなよ……檜山だって、そんなこと望んでねぇはずだぞ……」
「……」
彼女に教えて貰ったデュエマ。
彼女といつも遊んだデュエマ。
そして——初めて仲間達と共有したのもデュエマだった。
「……憎しみでカードを握った!? 俺だってお前と同じ目に遭ったら、そうするかもしれねえ! 人間だから仕方ねぇだろうが! だから、だから誰ももうそんなことでお前を責めたりしねぇよ! だから……檜山を理由にデュエマをやめないでくれ!!」
「そうですよ……ナナカさんだって……いつも言ってました。ヒナタさんが一番デュエマを楽しんでるって……」
「貴方の言葉は本心じゃないはずよぉ」
本心じゃない。
苦しみから逃れようとしただけだ。
彼女を失った辛さから逃れようとしただけだ。
だから——叫んだ。
「弱い自分が嫌だった!! ナナに……皆に守られてるだけの俺が嫌いだった!! だから——勘違いしたんだ!! 《5000GT》を握ったとき、自分が強くなったと勘違いしたんだ!! 俺は……こんなに弱いのに……誰かの力を借りないと生きられない弱虫なのに……ナナが死んでも悠遊とデュエマをする自分を思い浮かべたら惨めになったんだ!!」
「弱虫だって良い!! これから……これから一緒に強くなればいいんだ!!」
泣きじゃくるヒナタ。
そして、その肩を掴むショウゴの顔も——涙で濡れていた。
***
次の日曜日だった。
余り最初は乗り気ではなかったものの、ヒナタは皆に連れられてカードショップに来ていたのだった。
ノアとしおりが対戦をしている中、ふと隅でストレージのカードを見ているヒナタを見かけて、ショウゴは声を掛けた。
「デッキ組んでんのか?」
「うん」
「だけど、お前……アウトレイジのあのデッキは」
しばらく、自分で1からデッキを組んだことは無かったと思い返すヒナタ。
それに何カ月も間デュエマから離れていたので正直、強いかどうかは分からない。それでも——
「ナナカのあのデッキは——俺が本当に強くなるまで、取っておきたい。今は、自分の力で組んだデッキを使ってみたい」
「そうか。なら、俺と対戦しないか?」
どうやら、新しいデッキのテストに付き合ってくれるようだった。
ヒナタも断る理由は無く、こくり、と頷いたのだった。
***
ヒナタとショウゴのデュエル。
後攻2ターン目で彼は動き出した。
「呪文、《メンデルスゾーン》! その効果で山札から2枚を見て、《王龍ショパン》と《偽りの名 バザガジー・ラゴン》をマナゾーンに!」
これで、彼のマナゾーンのカードは4枚。
速い。ドラゴンという鈍重なカードを扱っているだけあり、どうすればそれを早く出すことが出来るのかを理解している。
「俺のターン、《青銅の鎧》を召喚。効果でマナを1枚増やしてターンエンド」
対するヒナタもマナブースト。
カードをマナゾーンに置いていく。
互いにマナを増やしていくデッキスタイルだ。
しかし——
「じゃあいくぜ、こっちもエンジン掛けてくぞ! 5マナで《無双竜鬼ミツルギブースト》召喚! その効果でこいつをマナゾーンに置いたら——相手のパワー6000以下を破壊できる! 《青銅の鎧》を破壊だ!」
「っ……!」
更にマナを加速させてきた。
次のターンでもう7マナになるのだ。
だが、此処でヒナタは一気に動き出した。
「呪文、《超次元シャイニー・ホール》! 効果で《時空の不滅 ギャラクシー》を召喚!」
超次元シャイニー・ホール C 光文明 (5)
呪文
バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップする。
次のうちいずれかひとつを選ぶ。
▼自分の超次元ゾーンから好きな数のサイキック・クリーチャーをコストの合計が5以下になるように選び、バトルゾーンに出す。
▼コスト7以下の光のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。
時空の不滅ギャラクシー VR 光文明 (7)
サイキック・クリーチャー:エンジェル・コマンド 5000
覚醒−このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、バトルゾーンを離れるかわりに、コストの大きいほうに裏返す。
「厄介なクリーチャーを出してきたな、オイ……! だけど、こっちだって負けない!」
サイキックを展開してきたヒナタに対し、ショウゴは地力での勝負を挑もうとする。
ドラゴンのパワーで何かされる前に押し潰すつもりなのだ。
「7マナで《隻眼の鬼カイザー ザーク嵐》を召喚だ!」
隻眼の鬼カイザー ザーク嵐 P 火文明 (7)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
相手の呪文の効果またはクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からハンターをすべて手札に加え、その後、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
「切れた手札はこれで補う! 山札から3枚を捲り——《R・S・F・K》、《ボルバルザーク・エクス》を手札に!」
「……!」
「ターンエンドだ」
次のターン、ショウゴは決めるつもりだ。
ガチンコ・ジャッジで下手すればシールドを全て消し飛ばしてからダイレクトアタックを決める《R・S・F・K》をバトルゾーンに出すつもりだろう。運次第と言いたいところだが、ドラゴンデッキはコストの平均が高くなりがちなのでガチンコ・ジャッジに勝てる確率も高い。
要するに、運が良ければシールドを大量に削り切られ、悪ければゲームセット。しかも《ボルバルザーク・エクス》もいるので、そちらも出して来るだろう。
ともすれば、打点は完全に揃ってしまう。
——このターンで……どっちかが来れば——よしっ!!
カードを引いたヒナタは、この状況の打開を1枚のカードに託した。
6枚のマナをタップする。
——俺が——俺の力で照らす!! 俺が作ったこのデッキで!!
「その光は、天から地上を照らす! 《蒼狼の始祖アマテラス》召喚!」