二次創作小説(紙ほか)

Act5:天王/魔王VS超戦/地獄 ( No.303 )
日時: 2016/04/03 17:05
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)

 純白の鎧に身を包んだ時間を司る天王。 
 翼を生やし、時計のような盾を後ろ足に付けて、ホタルの下で甲高く咆哮した。
 穢れ一つない美しい角を生やし、さもながらユニコーンのようだ。     《ミラダンテ》は時という概念に革命を起こす。
 その時計の針が十二時を差した時、全ては停止する。

「これが私の——革命です! その効果で、相手のクリーチャーを全てフリーズします!」
「っ!! 次のターン、アンタップする事が出来ない!?」

 《ミラダンテ》が吼えると同時に、ライトの場に居たドラゴン達の時間が止まった。
 そのまま、石像のように硬直してしまい、動く気配が無い。
 時間を操るクリーチャーに相応しい攻撃と言えた。

「そして、《ミラダンテ》で《モルトNEXT》を攻撃します!」

 次の瞬間、《モルトNEXT》の身体の時間が一気に加速する。
 時間が急速に加速したことで、一気に体の細胞は衰えていき——そのまま朽ち果てた。

「あ、ば、馬鹿な——!! 俺の《モルトNEXT》が——!!」
「ターンエンドです」


 
 ホタル
 手札1
 マナ0/6
 墓地7
 next turn:ジュン

 淡々と言い放つホタル。
 しかし、まだ兄弟のシールドは10枚ある。
 まだ有利だ、と彼らは思っていた。
 そして、ジュンのターンとなる。 
 此処は厄介な《ミラダンテ》を破壊するしかない。邪魔者さえのければ、トップが強い兄がどうにかしてくれる。
 そう思っていたが——

「お、俺のターン……!! 《魔狼月下城の咆哮》で——」
「ストップ」

 ——言ったのは、またもやホタルであった。
 次の瞬間、月下城から飛び出した狼の幻影は消滅してしまう。
 まるで、朽ち果ててしまったかのように城も崩れ落ちてしまう。

「その時計が停止した時沈黙の時訪れる——《ロッキンスター》の革命2発動」

 甲高い声で吼える《ロッキンスター》。彼の龍もまた、《ミラダンテ》と同じ姿形をしており、胸には時計が付けられていた。 
 それが停止したことで、沈黙の時が文字通り訪れたのだ。



「もう、あなた方は光以外の呪文を唱えることは出来ません」




時間龍 ロッキンスター VR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 7500
ブロッカー
W・ブレイカー
自分のターンの終わりに、このクリーチャーをアンタップする。
革命2−自分のシールドが2つ以下なら、相手は光以外の呪文を唱えられない。




 呪文は封じられた。
 最早、他に出せるカードも無いので、ジュンはターンを終えるしかなかった。
 時はどんどん止められていく。
 まるで、自分たちを縛り付けるかのように——



 
 ジュン
 手札1
 マナ0/7
 墓地7
 next turn:レン


「時を止める、か……確かに、もう相手は何もできなくなっていく。刻一刻と、時計の針が進む度に——ならば僕が最後の一押しをしよう」

 レンのターンとなった。
 そのまま、彼は——ホタルの最後のシールドを墓地に置く。

「ありがとう、ホタル。貴様が守り抜いたシールド——此処で僕が繋げる!!」
「後は頼みました、黒鳥——いや、レン先輩!!」
「ああ!! 貴様が守り、僕が決める。これこそが、最初から描いていたシナリオ!!」

 次の瞬間、地面より暗黒の鎧を身に纏ったクリーチャーが姿を現した。
 まるで、深く遠い深淵から這い出るかのように、剣を振りぬき、久しい地上へと戻ってくる。

「ターンの始めに《暗黒鎧 ザロスト》を最後のシールドを犠牲にして墓地より復活させる!!」
「い、今更ブロッカーなんか出してどうするつもりだ!!」
「それにお前、正気か!? さっきからシールドを墓地に置きまくって!!」
「まあ見ておけ。貴様らの慢心が、貴様らを滅ぼすのだ。これが真の結束、真のコンビネーション、そして真のレボリューションという奴だ!!」

 


暗黒鎧 ザロスト UC 闇文明 (4)
クリーチャー:ダーク・ナイトメア/革命軍 3000
ブロッカー
このクリーチャーは攻撃できない。
自分のターンのはじめに、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、自分のシールドをひとつ墓地に置いてもよい。そうしたら、このクリーチャーをバトルゾーンに出す。



 彼はカードを引いた。
 シールドはもう無い。
 故に後は残されていない。
 しかし。だからこそレンに退路は無い。
 そもそも元より、引き下がるつもりなど毛頭無い。
 ——誰かの為に戦う力、か——悪くは無い。隣の仲間と心を通わせ、戦う喜び、楽しみ——本当の意味で思いだせたかもしれない。
 ヒナタが自分に叩き込んでくれた拳。
 ホタルの誰かを信じるという強い思い。
 そして、あの少女の言葉。
 過去は全て、無駄ではないから、彼もまた引きずりながらも前に進む事を選んだ。
 仲間を信じ、想い、共に進むという未来を掴むため——
 ——僕はまだ戦える!! もう、負けるわけにはいかない!!

「マナをチャージする。そして、8枚のマナをタップ」

 彼女は自分を信じてくれた。
 もう、自分は誰かの信頼を裏切る訳にはいかないのだ。
 暗黒の騎士が剣を地面に刺す。
 そして邪気が漏れて、彼を包んでいく。
 もう1度立ち上がり、戦う覚悟を与えてくれた仲間のため。
 革命の時は過去の呪縛を断ち、訪れた。

「魔界の声を聴く。全てを失い、死と絶望を乗り越え、そして貴様を呼ぶ」

 ——懐かしい——使わせて貰うぞ、この言葉。
 あの少女の台詞と自分の台詞を重ねながら、彼は想う。
 ——素直じゃない、狡賢い、意地が悪い。まさにその通りだ。だが、そんな僕でも仲間を信じるということを本当の意味で分かった。もう僕は、理屈や偽りの言葉だけで身を固めていた黒鳥レンじゃない!
 《ザロスト》の鎧が砕け散った。その身体は、最早実体の無い概念体、つまりは彼らの潜む”夢”そのものなのだろう。
 ——夢、か——そうだな。今の僕の夢は——仲間と共に勝利をするということ!! 例えそれが邪悪龍だろうが、世界の強豪だろうが、関係は無い!! 仲間を信じ、想う事で僕はまだ強くなれる!!
 仲間が消える悪夢。それさえも乗り越えて、魔王は降臨する。
 過去の魔王にして、伝説の革命軍が今、這い上がる——



「全てを無に帰す魔王よ、滅亡と破壊の連鎖に革命を!
降臨せよ、《魔の革命 デス・ザ・ロスト》!」