二次創作小説(紙ほか)
- Act5:天王/魔王VS超戦/地獄 ( No.305 )
- 日時: 2016/04/17 03:17
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: AfTzDSaa)
『決っっっ着! 最後まで粘り強く戦った、勝者は鎧龍決闘学園だぁぁぁーっ!!』
アナウンスが響き渡る。
それが、鎧龍の勝利を告げたのだった。
観客が沸き立つ。
息を飲むような攻防。最後の最後の逆転劇。全てが会場を熱狂させた。
そして、鎧龍にも蓬莱にも惜しみのない拍手が贈られたのだった。
「レン先輩!」
「……ああ。僕たちは勝ったんだな」
「はいっ! 勝ったんですよ! 先輩が私を信じてくれたからです!」
「そうだな。同時に、貴様が僕を信じてくれたからでもある」
「何故だ!!」
叫んだのはジュンだった。
こんな結果は認められないと言わんばかりの形相で怒りのままに怒鳴る。
「何故、双子の俺達でさえこんなに仲が悪いのに、赤の他人同士の貴様らが此処までの結束を見せ付けてくれるんだ!!」
「さあな?」
「貴様……!!」
「ただ、一つだけ言えることは、違いに良さを見出したこと。そして共通点を見出したことだ。それが、僕達が互いに認め合うきっかけになった」
考え方は違った。だが、共通点もあった。
仲間の為に戦うという気持ちは、レンもホタルも本質は変わらなかったのだから。
「そして、どんなに強いカードを使っていても、それを利己的な理由で使えばカードは、クリーチャーは絶対に応える事は無い」
「っ……!!」
「確かに……俺達は、自分たちの強さを見せつける事しか考えていなかった。自分たちのカードの強さに、溺れていたのか……」
「貴様らはまず、互いを認める事から始めるんだな」
そう言い、レンは双子に背を向けた。
ホタルも後に続く。
戦いは終わった。もう、これ以上長居する理由は無かった。
あの2人に何かを教えられたかは分からない。
だが、自分たちの生き様を見せることは出来たはずだ。
あの2人は悔しさを押し隠せないようだった。だとすれば、それは彼らを成長させるきっかけになってくれるだろう。
——僕に偉そうに言えた資格は無いのだがな。
そう、皮肉気に笑いながら、レンは帰っていく。
この戦いで絆を結んだ少女と並び、仲間の元に戻るため——
「兄貴」
「何だ」
「今すぐ仲良しこよしの兄弟に俺らがなるのは無理な話だろう」
「そうだな」
「だが——今日の戦いはとても良い機会だったと俺は思っている。その——だな」
「もういい、何も言うんじゃねえ。分かってるよ、んなこと」
ライトは恥ずかしそうに背を向けた。
「行くぞ。次に奴らに会った時のために、もっと強くならねえといけねえ。今度はお前と一緒にな」
「……そうだな、兄貴」
***
「つーわけでお疲れ様だったな、黒鳥、淡島」
武闘ビルのフジのオフィス。
全員は、まずレンとホタルの勝利を喜んでいた。
珍しくフジも真面目に労っており、嬉しそうだった。やはり、自らの会社が開発したカードが活躍したのもあるし、後輩が勝利してくれたのもあるのだろう。
「すげーよ! 本当に時止めをやったんだな、ホタル!!」
「そ、そんなに凄いことでもないですよ」
「すげーってば! 革命0強すぎだぜ!」
「レン、かっこよかったぜ」
「そうね。今回は貴方も大健闘ってところかしら」
「何で貴様らに上から目線で褒められねばならんのだ」
まずは一勝。
彼らは蓬莱学園に勝利する事に成功したのだった。
が、しかし。喜ぶのも束の間の話であった。
まだ2戦残っている。
聖羽衣と零央。この2つの学園との戦いがまだ後に控えているのだ。
「次の対戦相手は——聖羽衣学園だ。そして——対戦カードは既に決めた」
またもや勝手に色々決めてしまった彼だが、最早突っ込まなかった。元より、ノゾムを誰と組ませるかという話だったからというのもあるが。
だが、妙に神妙な顔で彼は言った。
「まず、対戦相手から言おう」
「対戦相手、ですか」
「ああ。相手は総力を持ってこっちを叩き潰すつもりらしい」
そう言うと、彼はタブレットを向けた。
そこには2人の生徒の写真が写っていたが、ヒナタとコトハ、レン、そしてノゾムは一瞬でそれが誰なのか分かった。
「聖羽衣学園大将、獅子怒シドと副将にまでのし上がった槙堂キイチだ」
ごくり、とヒナタとノゾムは生唾を飲んだ。
あの時、ヒナタとノゾムは2人揃ってキイチに負けた。
そしてそのキイチが大人しく従う程、あの獅子怒シドという男も強いということも思いだす。
それを思ってかの判断か、フジは告げた。
「槙堂キイチは、以前ヒナタとコトハと組んでいたからな。そして奇遇にも俺様は——ノゾムの相方はヒナタにした」
「!!」
ヒナタとノゾムは顔を見合わせた。
そして確信する。これはリベンジのチャンスだ、と。
ハーシェルの事件が起こる前に、カードショップで2人纏めてボコボコにされた思い出は忘れるわけがない。
「ヒナタにした理由を一応聞きましょうか、武闘先輩」
「そうね。一応、ね」
「なーに、簡単だ。最終的にはノゾムとの相性で決めた。こいつらは、良い師弟関係だからな」
そう言われて、誰も反論する者はいなかった。
まして、あの敗北を知っているコトハも、頷くしかなかった。
「ノゾム、やってやろうぜ。キイチの奴に成長した俺達の力を見せてやるんだ」
「先輩……!」
「その意気だな」
完全に2人もやる気だ。
一戦目が終わった直後とはいえ、既に休む暇は無いことを示している。
ヒナタも、ノゾムも、今まで培った力をぶつけたくてうずうずしているのだ。
まして、レンとホタルの試合を見た後でボルテージは既にマックスだった。
「次の試合はな、アウェー戦だ」
「アウェー? ということは、聖羽衣の方に僕らが行くということですか」
「私達が戦うわけじゃないけど、まあ着いていくことになるのかしらね」
「その通りだ。次の試合会場は、大阪セントスタジアム。既にスケジュールは立てているから、本格的な旅行の準備をしておくことだな」
此処まで来ると盛り上がってくる。
フジは、全員に遠征の手引きを後日説明すると言い、その日のミーティングは終わったのだった。
「——待ってろよ、聖羽衣!! 待ってろよ、キイチ!! 勝つのは、俺達だぜ!!」