二次創作小説(紙ほか)

Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝 ( No.321 )
日時: 2016/08/17 14:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 ——運命の3枚目。
 捲られたカードは——

「コスト6、《躍喰の超人》!! さぁ、テメェのカードを見せてみろ——!!」
「ッ……!!」

 カードが展開される。
 それは——



「俺が捲ったのは、コスト8の《メガ・マグマ・ドラゴン》だぜ、キイチッ!!」
「ッ……!!」

 

 1勝。
 何とか、3敗だけは避けることが出来た。

「チッ、出せるクリーチャーがいねえ……が、そのままW・ブレイクッ!!」

 しかも、キイチはクリーチャーを出すことが出来ないようだ。
 それでも《トラマル》は大量のミサイルを発射し、ヒナタを目がけて狙い撃つ——

「通さないッ! 《アクア超人 コスモ》でチャンプブロック! そして効果でカードを1枚ドローだ!」

 が、それもノゾムの《コスモ》が受け止める。

 ノゾム 
 手札3→4

「チッ、知ってた!! ま、そうなるだろうな!!」
 
 わざわざデッキの平均コストの低い方を狙ったのに、とキイチは吐き捨てるとターンを終える。
 
 キイチ
 手札2
 マナ0/5
 墓地1
 next turn:ノゾム

 結果。
 キイチは手札補充を許してしまうという結果に。
 《トラマル》の効果は決まれば一気に戦況を傾けることもあるが、博打要素も強いのだ。
 デッキの平均コストを高めにすれば、ガチンコ・ジャッジに3回勝てることもあるが、それでもやはり全部を高コストカードには出来ないので難しい。
 さて、ブロッカーが2体も並ぶ中、仮に大型を出したとしてもブロックされるのがオチ。にもかかわらず、キイチは突っ込んだ。
 この理由を考えたノゾムは、1つの仮定を立てる。
 ——このターン、《トラマル》をバウンス除去しようと思ったけど——根っこを絶った方が早そうだぜ!
 ヒナタの顔を窺う。
 彼も頷いた。

「オレのターン、ドロー! マナをチャージし、4枚のマナをタップ! そして、《パクリオ》を召喚だ!」




パクリオ UC 水文明 (4)
クリーチャー:サイバーロード 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手の手札を見る。その中から1枚選んで裏向きにし、新しいシールドとして相手のシールドゾーンに加えてもよい。




 現れたのは、椅子のようなユニットに腰掛けたサイバーロード。
 鍵のような武器を片手に、キイチの元まで間合いを詰め、錠前を開けるかのようにそれをねじる。
 途端に——彼の手札がホログラムで展開された。

「ッ……!!」

 そこにあったのは、《爆走鬼娘 モエル・ゴー》と、登場時に無色以外の自身よりパワーの低いクリーチャーを全て手札に加える《黄金龍 鬼丸「王牙」》だった。
 これでブロッカーを殲滅するつもりだったのだろう。
 しかし。これで封じてしまえばもう怖くはない。

「ビンゴッ! 《パクリオ》の効果で相手の手札を見て、それをシールドゾーンへ埋める!!」
「このやろ……ッ!!」
「ターンエンドだッ!!」

 ノゾム
 手札3
 マナ0/4
 墓地1
next turn:獅子怒

「借りは返すぜ!! 今日、この場でッ!! 勝つのは”俺達”だっ!!」
「クッ……」

 完全に戦法を崩されたキイチに対し、指を突き付けるノゾム。
 笑顔でリベンジを宣言する彼に、キイチは顔を抑え、膝まづいて項垂れる。

「クッ、クク……」
「?」

 いや——違う。
 そう、ヒナタは確信した。
 彼は、キイチは——この程度ではまだ、折れてはいない。
 



「アハハハハハハハハハハ!! 面白いッ!! おもしれぇ!! 笑わせたな……お前は、今、俺様を笑わせたなぁーっ!? ”悦”だ。この感覚は最高の悦だよッッッ!! テメェみたいに調子こいたやつを挫いたところを想像したら、ゾクゾクすんだよ、なぁぁぁぁーっ!!」



 その笑みは、戦闘狂の笑みであった。
 強者と戦うことを望み、勝つことに悦を感じるそれだ。
 表情を変えることが少ないキイチであるが——デュエルの時、そして大きく感情が昂った時だけは話が別だ。
 
「ヒッ、ヒヒ……あーあ、久々にコーフンしちまった……獅子怒さん、バックアップ頼みますわ」
「了解した。私のターン、ドロー」

 キイチとは対照的に至って落ち着き払った態度と表情でカードを引く獅子怒。
 そして——4枚のマナをタップした。

「さて、マナをチャージし——《蟻獅子の隷属 アントニオ》の効果発動。自分が光の呪文を唱える時、《アントニオ》は自身をマナゾーンにあるかのようにタップし、マナとして使うことが出来る」




蟻獅子の隷属 アントニオ 光/闇文明 (2)
クリーチャー:ジャスティス・ウィング 2500
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
自分の光文明と闇文明を持つ多色クリーチャーのコストは1少なくなる。
光の呪文を唱える時、このクリーチャーがバトルゾーンにあれば、自分のマナゾーンにあるかのようにこのクリーチャーをタップしてマナを生み出してもよい。(このクリーチャーをバトルゾーンに出したターンに、この能力を使ってもよい)




「んなぁっ!?」
「まるで、《蛙跳び フロッグ》みてーだな……! 実質、1ターンに1度光の呪文のコストを−1できるんじゃねえか」

 隷属、の名が示すのは彼が所詮蟻獅子達の尖兵でしかないことを示していた。
 しかし、彼らは単に戦うだけではない。前線で戦闘を続ける主力への配給、即ち補給兵としての役割も持っているのだ。
 つまり——

「実質5コストで、呪文《ジャッジメント・タイム》を唱える。この効果により、次の相手のターンの終わりまで、相手のクリーチャーは攻撃もブロックもアンタップも出来ない」

 次の瞬間、全てを裁く無数の光がヒナタ達の場に降り注いだ。
 場にあるクリーチャー全ては身動きを取ることが出来ない。

「そんな、皆動きが止まっちまった——!!」
「《アントニオ》の弱点は、自身がブロッカーであるにも関わらず、自身をタップして効果を発動してしまうという点だ。他にもブロッカーはいるが、念には念を押し、というやつだ」

 だが、裁きの光の効果はまだ終わってはいない。
 獅子怒は、最後の手札をヒナタ達に突き付ける。

「そして、《ジャッジメント・タイム》のもう1つの効果——手札からコスト4以下の光の呪文を唱える事が出来る。それにより、《エンジェル・フェザー》を使い、光のコマンドと呪文を手札に加える」

 次の瞬間、獅子怒の山札の上から3枚が展開された。
 そして——その中から2枚を彼は手札に加える。

「私が手札に加えるのは——《蟻獅子の衛兵 マルコキース》と《ヘブンズ・ゲート》だ。そして、場に《蟻獅子》を持つクリーチャーが2体以上いるとき、G・ゼロでこいつをバトルゾーンに出すことが出来る!」
「なっ!?」

 次の瞬間、地中から手が突き出される。
 そして、這い出るかのように人型が現れた。しかし、その顔は獅子、そして尻からは蟻の腹部に当たるものが生えており、更に手足も蟻のそれだ。
 大きな槍を振り回し、こちらを威嚇する姿はまさに侵入者を拒む衛兵だ。

「《マルコキース》の効果発動……こいつが場に出た時、自分が相手よりも手札が少なければ2枚カードを引く」




蟻獅子の衛兵 マルコキース 光/闇文明 (5)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/ダーク・モンスター 5000
G・ゼロ:場に《蟻獅子》とあるクリーチャーが2体以上いるとき、このクリーチャーのコストを支払わずにバトルゾーンに出してもよい。
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の手札が相手よりも少なければカードを2枚引く。
ブロッカー
このクリーチャーは相手プレイヤーを攻撃できない。




 枯渇しそうだった彼の手札が更に補給される。
 《アントニオ》の効果、そしてそれと相性が良い相手を足止めする《ジャッジメント・タイム》。最後に、手札に加えられた《ヘブンズ・ゲート》。
 既に、彼が動き出しそうなのは明白であった。




「——精々足掻きたまえ。次のターン。君達は思い知るだろう。聖羽衣学園の編み出した支配の戦法を——」