二次創作小説(紙ほか)

Act6:伝説/閃龍VS獅子/必勝 ( No.323 )
日時: 2016/08/17 17:49
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 さて、《ジャッジメント・タイム》により、ヒナタとノゾムのクリーチャーは完全に足止めされたことになる。
 例え、クリーチャーを進化させたとしても、進化元に何らかの効果が掛けられている時、進化後のクリーチャーもそれを引き継いでしまうために手も足も出ないのが現状だ。
 


 獅子怒
 手札2
 マナ0/4
 墓地2
 next turn:ヒナタ



 ——ともかく、キイチの手札に何も来なければ、良いんだが——!
 ——手札事故祈りですかぁ!?
 ——いや、実際そうだろ!? もういい、とにかくどうとでもなりやがれ!!
 祈りながらもカードを引くヒナタ。
 そして——

「——呪文、《メテオ・チャージャー》! せめて、邪魔なそいつだけでも破壊する! 《メキラルコ》を破壊だ!」




メテオ・チャージャー C 火文明 (3)
呪文
相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体破壊する。
チャージャー




 次の瞬間、大量の隕石が《メキラルコ》へ降り注ぎ、粉砕する。
 更に、《マグナム》の身体も元の形へと戻っていく。虫の四肢は人形の手へと戻り、露出した腹部も元の大きさへと戻った。
 これにより、《マグナム》は本来の姿と力を取り戻したことになる。

「これで踏み倒しは使えなくなった! チャージャーでこのカードをマナに置いてターンエンドだ!」

 ヒナタ
 手札1
 マナ3/6
 墓地1
 next turn:キイチ

「——もうおせーよ」
「!」

 カードを引くキイチ。
 そして——1枚のカードを掲げた。

「《斬斬人形 コダマンマ》召喚!! こいつの効果で、さっき《パクリオ》で埋められたカードを手札に加える!!」
「っ……!! 何でそんなカードを——!!」

 キイチが出した《コダマンマ》は、本来ならば赤中心の速攻・ビートダウンで手札補充として使われるカードだ。
 しかし。

「対人メタって分かるか? 分かるよなあ。お前、獅子怒さんや俺が何らかの形でクリーチャーを踏み倒して来ること、そしてブロッカーを使うことを念頭に置いてそのデッキを組んだことはもう読めてんだよ」
「……!!」
「今回のテメェのデッキは革命軍を切札にした赤単メタビート! だが、同様に俺もお前らの対策をしてたんだよなぁーっ!! 例えば十六夜ノゾム。テメェが青単コン使いってのは知ってたから、《パクリオ》を使ってくるかもしれない——だからこのカードを入れたんだよ。手札に入れることさえ出来れば、《トラマル》の効果は意味を成す!!」

 大量に虚空へ撃ち放たれたミサイル。
 それらが大穴をこじ開ける——そこから大いなる存在が現れることを示唆するように。

「再び《トラマル GGG》で攻撃し、三連ガチンコ・ジャッジ!! 指定はお前だ、ヒナタッ!!」
「——ッ!!」

 1度目——ヒナタが《一撃奪取 トップギア》でキイチが《フェアリー・ライフ》で、同コストのためキイチが勝利。
 2度目——ヒナタが《エヴォル・ドギラゴン》に対し、キイチは《ダイハード・リュウセイ》。
 そして3度目——再三捲られる山札。
 しかし——




「残念だったな」




 ——キイチ、《罠の超人》でコスト9。
 ——ヒナタ——《燃える革命 ドギラゴン》、コスト7。

「あ、ああ——しまった、《ドギラゴン》が——!!」
「ほほう。そいつか。だけどこれで俺は3度のガチンコ・ジャッジに勝利し、お前は切札が山札の一番下へ送られた! さあ、ショータイムだ! 出でよ、俺の切札ァーッ!!」

 大穴から何本もの紫電が放たれる。
 そして、轟!! という音と共に、途方もなく巨大な太刀が降りかかり地面へ突き刺さった。
 同時に、現れた巨大な影がそれを握りしめる。
 
「天頂の力に目覚めし者よ、その太刀は大いなる牙——本能のままに暴れ、全てを狩りつくす王者となれ!!」

 純白の身体、宿すは黄金の精神。天頂に立つ者を意味するマーク。
 その名は——ゼニス。全てを統べる存在。
 



「現れ出でよ、《黄金龍ゴールデンドラゴン 鬼丸「王牙」》!!」




黄金龍(ゴールデン・ドラゴン) 鬼丸「王牙(オーガ)」  ≡V≡  無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ゼニス/ハンター 13000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、無色ではない相手の、このクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーをすべて破壊する。
スピードアタッカー
T・ブレイカー
バトルゾーンにある自分のハンターとエイリアンはすべて「エターナル・Ω」を得る。(「エターナル・Ω」を得たクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、かわりに手札に戻す)




 思わず、絶句した。
 これが天頂を統べる者、ゼニスの迫力なのか、と。
 溢れ出る殺気と力を前にして、ヒナタもノゾムも全ての言葉を失う。
 同時に——

「《鬼丸「王牙」》の効果発動。振り下ろせ、狩人の大剣!! こいつよりもパワーの低い無色以外のクリーチャーを全破壊だッ!!」

 ——ヒナタとノゾムの場のクリーチャーが、その太刀の一振りで消滅した。
 それほどに圧倒的な力であった。並みのクリーチャーでは瞬殺され、跡形も残らない。
 それでも尚、抵抗するようにヒナタは叫んだ。

「《マグナム》の効果発動!! 《「王牙」》を撃ち抜けッ!!」

 死に際に放たれたか、《マグナム》の弾が《「王牙」》の胸を撃ち抜く——しかし。

「確かに《「王牙」》は効果こそ発動したものの破壊される——だが、此処でこいつの第二の効果ッ!! 俺のハンターは全て”エターナル・Ω”を得て、場を離れる時に代わりに手札へ戻す!! 勿論、自身も例外じゃねえんだよなぁ!!」
「ッ……!!」

 結晶のようなものに包まれたかと思えば、《「王牙」》はそのままキイチの手札へと送還された。
 あらゆる場を離れる効果に対し、”手札へ戻す”だけで済ませることが出来る能力、それがエターナル・Ω。不死身の力、そして天頂へ立つ者の特権であった。
 そう何度もキイチがガチンコ・ジャッジに3度連続で勝てるとは思わない。
 しかし。手札にある限り、いずれ《「王牙」》は戻ってくるだろう。

「さて、今度こそぶち抜く!! ヒナタ、テメェのシールドをW・ブレイク!!」

 《トラマル GGG》のミサイルが、ブロッカーのいなくなったシールドへ叩き込まれる。
 2枚が砕け散り、2枚共ヒナタの手札へ送還された。

 鎧龍シールド残り8:ヒナタ(3) ノゾム(5)

 ヒナタ手札1→3

「ターンエンド」

 それ以上の余計な攻撃はせず、キイチはターンを終える。今の間に、かなりボロボロにされてしまったが——

 キイチ
 手札1
 マナ6/6
 墓地1
 next turn:ノゾム

「オレのターン、ドロー!」

 カードを引く。
 しかし、こんな時に限ってバウンスカードが来ない。
 せめて、《アントニオ》さえバウンスすれば、まだ良かったのであるが——

「無いもんは仕方ない、か——!! オレはマナをチャージし、《ブレイン・チャージャー》を使用! 効果でカードを1枚引いて、チャージャーでこいつをマナに送り、ターンエンドだ!」

 
 ノゾム
 手札3
 マナ1/5
 墓地2
 next turn:獅子怒

 画して。 
 場が剥き出しのまま、ノゾムはターンを終えてしまうことになる。
 マナは溜まり、手札も安定しているのでまだいいのだが——

「私のターン」

 カードを引いた獅子怒は、呟くように言った。

「《アントニオ》を含む6枚のマナをタップ——」

 瞬間、虚空に穴が開く。
 さて、と獅子怒はヒナタとノゾムに語り掛ける。

「天国への門——我らが掲げる象徴、”サファイア・ウィズダム”へと繋がる礎——本来、天使とは純粋なる善である必要があるが、時としてこの世は”悪”という形で正すことも必要だ。それが、より確実で堅い支配へと繋がるのならば、猶更だ」
「何が言いたいんだ?」
「天使の本質は酷く歪で醜い存在だ。人間が、真実から目を背け、信仰のために今のような美しい姿としたのだ。本来、天使とは正しくも醜い存在なのだよ」

 2人は首を傾げる。宗教染みているからか、普段自分たちにはなじみがないからか、全く意味が分からない。
 しかし、構わずに獅子怒は告げた。




「我らの掲げる蟻獅子とは、天使のそういった面を誇張した象徴——見せて差し上げよう。鎧龍の者よ。これが、我ら聖羽衣の掲げる天使の真髄!!」



 
 次の瞬間——眩い光が場に満ちた。

「——呪文、《ヘブンズ・ゲート》!! 効果で手札から光のブロッカーをバトルゾーンへ出す!」

 そして、そこに暗い影が落ちた。
 何本もの紫電と共に、深淵から現れし天使が姿を現す。




「信心深く、謙虚に、そして勤勉であれ——神よ、醜くも正しき我が化身に祝福を!!」




 それは、異形であった。
 今までの蟻獅子とは桁違いに巨大な存在——





「出でよ、聖なる正義、《蟻獅子の聖霊 ミルメコレオ》!!」