二次創作小説(紙ほか)

Act7:青天霹靂 ( No.326 )
日時: 2016/08/17 15:40
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 ヒナタ
 手札2
 マナ0/7
 墓地1
 next turn:キイチ

 場を壊滅させらたキイチと獅子怒——しかし。場にはまだ、《トラマル GGG》と《ミルメコレオ》が残っている。だが、《ミルメコレオ》も眷属が居なければターンの終わりに破壊されてしまうのだ。

「獅子怒さん——!!」
「……ふむ。この布陣を破るとは、流石革命軍と言ったところか」
「仕方ない。アレを使いますか、獅子怒さん」
「頼む」

 頷くと、カードを引くキイチ。そして——

「——よし、3体目の《モエル・ゴー》を召喚!! 効果で手札に《永遠のリュウセイ・カイザー》を手札に!! そして《トラマル GGG》で攻撃——する時に三連ガチンコ・ジャッジ発動!!」

 再び捲られる3枚の山札——そして、展開された結果は——
 1度目、キイチが《フェアリー・ライフ》でヒナタが《イフリート・ハンド》。ヒナタの勝ちだ。

「よし、勝った! 幸先良いぞコレ!」
「まだまだぁーッ!!」

 2度目。キイチが《ガチンコ・ルーレット》、対しヒナタが《勇愛の天秤》——

「ッ……だけど、後1回勝てば!」
「させねぇよ!!」

 3度目——キイチは《真実の皇帝 アドレナリン・マックス》。
 対してヒナタは——《ゴウ・グラップラー・ドラゴン》——敗北だ。

「ッ……!!」
「本当、肝心なところで負けてくれるよな、テメェは——助かったぜ!! 行け、《永遠のリュウセイ・カイザー》!!」

 2度のガチンコ・ジャッジに勝ったことにより、キイチの手札から更なるハンターが姿を現す。それはさっきの《鬼ライダー モエル》で手札に加えられたカードだ。
 現れたのは、あの時の戦いでノゾムを追い詰めたクリーチャー、《リュウセイ・カイザー》だったのだ。

「こいつの効果はもう分かるよなぁ!? 相手が場にクリーチャーを出すとき、そいつを問答無用でタップインする上に自軍を全員スピードアタッカーにする強力カード、グッドスタッフの極み、汎用性抜群のハンターの星!!」
「待てよ、タップイン——ってことは!?」

 クリーチャーがタップしてバトルゾーンに出る。
 即ち——場に出たクリーチャーは問答無用で《ミルメコレオ》の効果でターンの終わりに破壊されてしまうということ。
 《ミルメコレオ》の恐ろしさは、まさに随伴となるクリーチャー次第で幾らでも凶悪に成り得るということだったのだ。
 このままでは、出したクリーチャーは全て犬死にになってしまう。

「さて、シールドをW・ブレイク!! 狙うのはヒナタ、テメェのシールドだ!!」
「また、俺のシールドかよッ……!!」

 鎧龍シールド:ヒナタ(1) ノゾム(5)

 ヒナタ手札2→4

 叩き割られる2枚のシールド。
 次のターンが回るノゾムではなく、ヒナタのシールドから割っていくつもりらしい。
 ——キイチのことだ、まだ何かあるはずだが——!!

「ターンエンド」

 キイチ
 手札2
 マナ6/6
 墓地2
 next turn:ノゾム

「成程な……!! こういうことか。単なるタップ効果が此処まで脅威になることもねぇってことか!!」
「でも、場に他に何も居ない《ミルメコレオ》は次の獅子怒のターンの終わりに破壊されるはずですよ、先輩!」
「ああ、何も出なければ、だけどな——!!」
「とにかく、今度はオレの出番です! オレだって、いつまでも先輩の後ろを追いかけてるだけじゃないんだ!」
 
 カードを引くノゾム。
 そして、溜めに貯めた6枚のマナをタップした。
 
「《龍覇 M・A・S》召喚!! その効果でコスト6以下のクリーチャー、《トラマル》をバウンス!!」
「まあ、進化元がいるから時間稼ぎにしかならねーけどね」
「まだだ! バウンスだけじゃねえぞ! こいつはドラグナー、コスト4以下の水のドラグハートをバトルゾーンに出せるんだ!」

 タップされて場に現れたものの、ようやくノゾムの本領発揮と言わんばかりに《M・A・S》がドラグハートを引き連れる。
 超次元の門が解放され、そこから巨大なる龍の空母が降臨した。

「そして、出でよ!! 《龍波動空母 エビデゴラス》をバトルゾーンに!!」

 歓声が沸き上がる。
 鎧龍の切札とも言えるこの巨大なドラグハート・フォートレスは難攻不落。
 《ミルメコレオ》でクリーチャーを破壊できても、すべてのカードを破壊することは出来ないのだ。

「ターンエンドだ!!」
「——その時に《ミルメコレオ》の効果発動」

 ターンの終了をしようとするノゾムに獅子怒が静かに告げた。

「タップされた《M・A・S》を破壊」
「やっぱり、来るか……!!」

 《ミルメコレオ》の瞳が光る。
 次の瞬間、《M・A・S》の身体から無数の触覚、そして節のついた肢体が伸びていく。
 まるで、それはさっきの《マグナム》のように蟲へ変態していくようだった。しかし。今度は違う。

「いっ……!!」

 ノゾムは言葉を失った。今度はそのまま、《M・A・S》の身体が砕け散ったのだ。
 
「クリーチャーを出せるものならばやってみろ。攻撃できるものならばやってみろ。こうなるがね」
「……!!」

 ノゾム
 手札2
 マナ0/6
 墓地3
 next turn:獅子怒

「だが、フォートレスは噂通り厄介な代物だな……まあ良い。動いた時点で破壊されるだけだがね」
「ターン……エンド」

 獅子怒のターン。
 カードを引いた彼は——迷わず、たった1枚だけであるそれを使う。
 水の5枚のマナを消費して——

「呪文、《スクランブル・タイフーン》。その効果により、カードを5枚引くぞ。……そして、墓地に《ミルメコレオ》と《ボンソワール》、そして《アントニオ》を墓地へ——そして」

 告げるように彼は言った。

「G・ゼロ発動——墓地に《蟻獅子》が5体以上あるとき、私はこのクリーチャーのコストを支払わずに場に出すことができる」
「なっ!? まだ出すのかよ!?」
「これで最期だ。打ち破れるものなら打ち破ってみたまえ」

 次の瞬間、獅子怒の墓地のカードの中から《メキラルコ》、《マルコキース》、そしてさっき落とされた《ミルメコレオ》が現れる。
 そして、それらを重ね、頂に1枚のカードを叩きつけた。

「深淵なる創造主よ。真実とは酷く醜く、そして正しい——愚かなる悪魔共に裁きの一手を——墓地進化GV」

 墓地進化。
 この男は確かにそう言った。墓地のカード3枚を進化元にして現れる進化クリーチャーのことであるが——次の瞬間、蟻が次々に深淵の門から這い出てくる。
 そして、それが集まり——1つの形を成した。
 それは天使であり、そして創造主である。
 裁きの名のもとに、外道を持って外道を貫く深き者の正体——




「権限せよ、《超霊獣 レオニダス・キルギルティー》!!」




 ——それは獅子の頭を持つ天使であった。
 四肢こそ、蟲のものであったが今までの蟻獅子に比べれば、よっぽど天使に近い。
 それもそのはず。この天使こそが、あの魔獣達を創り上げたのだから——

「教えてやろう。この魔獣の能力を。《レオニダス》の効果発動、進化元の《蟻獅子》クリーチャー1体をバトルゾーンへ出す!! 現れよ、《メキラルコ》!!」

 地底の門をこじ開け、現れたのは、下等なる蟻獅子。しかし。その効果は、天を舞うヒナタの《アサルト》へ向かう。
 次の瞬間、革命の風は止んだ。
 革命龍は地に堕ち、そしてうねうね、と変わり果てた蟲の姿で蠢くのみ。
 
「クソッ、登場時に進化元を出す能力か——!!」

 ——まずい。サーチも出来なくなっちまった——!!
 一気に焦りを覚えるヒナタ。打点も、効果も失ったクリーチャーに何も意味は無い。
 しかも、今のままでは《ドギラゴン》を出しても無駄だ。

「まだ終わってはいないぞ?」
「!」

 ヒナタとノゾムは身構えた。
 次の瞬間、再び地底の門が開く——





「《レオニダス・キルギルティー》の効果は、ターン終了時にも発動する。出でよ、2体目の《ミルメコレオ》!!」




 次の瞬間。恐怖を振り撒く蟻獅子がもう1体。場に現れたのだった——