二次創作小説(紙ほか)
- Act7:青天霹靂 ( No.329 )
- 日時: 2016/08/21 12:41
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
「何だ……!? 今更、そいつに何が出来る」
見たことのないクリーチャーを前にして、獅子怒は慄くように言った。
しかし。所詮は只の進化クリーチャー。ブロッカーも持っていないようで、もう防御策は残されていないはず。
強いて言うならば噂の革命ゼロトリガーくらいだが——それも運が絡む上に手札に無ければ意味が無い。
よって、獅子怒はこれを危機に値しないと判断したのだった。
が、しかし。
「《プラズマ》の効果発動!! オレはカードを4枚引く——この時、《エビデゴラス》の龍解条件クリアだ!!」
「なっ!?」
「こいつ……たった1枚のカードで……!!」
龍素の空母が目覚める。
そして、無限の蒼穹へと飛び立つため、全ての龍素をフル回転させ——究極の結晶龍を投影した。
「弱き者の盾となれ!! そして世界を導け——龍解」
次の瞬間、蒼穹に浮かび上がる強大なる龍。
それが、証明するのは希望と勝利、そして今此処に刻む伝説だ。
「立証開始、《最終龍理 Q.E.D+》!!」
0と1。その数列が龍の周りを舞う。
慄く獅子怒。しかし、これでもまだ勝利には届かない。
次には何をしてくるのか、と目を見張っていたが——
「ターンエンドだ!!」
——何もしない——!?
獅子怒は顔を顰める。
もう諦めたのか、と。しかし、既にシールドは全て割ってしまった。もしもターンを渡してしまえば《ドギラゴン》が暴れ出す可能性が非常に高い。
そうなれば重大な負け筋が出来る可能性がある。しかも、《プラズマ》はタップされたままなのだ。
「ターンの始めに《メキラルコ》を破壊し——墓地から《ミルメコレオ》を復活させる。そして——私は君にターンを渡すわけにはいかない。そのまま、《レオニダス》でダイレクトアタックだ!!」
次の瞬間、破滅の光がノゾムとヒナタを包んだ。
シールドゼロの状態で叩き込まれる一撃——しかし。
「遍く知識の集積よ、遍く異変(エラー)への防壁となれ——革命2発動!!」
次の瞬間——獅子怒のクリーチャーとキイチのクリーチャーは全て消失した。
——大いなる英雄の激流に包まれて。
「な、何が起こった——何が起こったって言うんだ!?」
「《プラズマ》の革命2だ! こいつが居る限り、オレのシールドが2枚以下ならばあんた達のクリーチャーが攻撃するとき、オレは手札からS・トリガーを持つカードを使うことができる!!」
普通、S・トリガーとはシールドから手札に加えられた時にしか使うことが出来ない。しかし。《プラズマ》はそんな防御の常識に革命を起こした。これにより、手札に来て腐ってしまうS・トリガーカードが有効活用することが出来るのだ。
「今オレが使ったのは、《英雄奥義 スパイラル・ハリケーン》!! そのマナ武装7で、攻撃が届く前にあんたらのクリーチャーを全てバウンスした!!」
革命龍程式 プラズマ VR 水文明 (7)
進化クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン/革命軍 11000
進化−自分の水のクリーチャー1体の上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、カードを4枚引いてもよい。
革命2−相手のクリーチャーが攻撃する時、自分のシールドが2つ以下なら、「S・トリガー」を持つカードを1枚手札からコストを支払わずに使ってもよい。
獅子怒とキイチの表情に明らかな動揺が走る。
つまり。手札が尽きない限り、ノゾムの防壁を崩すことはほぼ不可能。
それどころか、今ので自分たちのクリーチャーが全滅してしまったのだ。
——しかも、こいつにはまだ弾が間違いなくある——!! どの道、このターンで決めるのは無理だ!!
ターンを終える獅子怒。
最早、彼に術は残されていない。
「——ノゾム、よくここまで頑張ってくれたな!! こっからは俺のターンだ!!
「はいっ!!」
カードを引くヒナタ。
そして、7枚のマナをタップし、顕現させる——
「《革命龍 アサルト》進化——!!」
炎に包まれた龍が天高く舞う。
そして、大いなる革命の剣と共に、より大きな龍へと昇華する。
「龍を超える龍よ、俺の鼓動に応えろ! 燃える炎の刃を振るい、革命を起こせ!」
大きく、炎の翼を広げ——革命の時が訪れた。
火文明の王にして、伝説の革命軍が咆哮する。
「暁昇る戦場に勝利を刻め!!
《燃える革命 ドギラゴン》!!」
それは、絶対なる勝利への確信をもって現れた。
伝説へと歴史を刻む龍は飛び立ち、無限の剣を掲げる。
ノゾムが叫んだ。
「先輩!! どかん、って決めてやってください!!」
「ああ、分かってる!!」
「さっき、先輩の拳……震えてました」
「えっ……マジか」
「だけど、先輩にサポートして貰った分、今度はオレが返す番です!! 今度はオレが付いてます!! オレも、先輩を信じてますから!! オレ達の革命が合わされば、絶対に負けません!!」
「……そうだな!!」
笑みを浮かべたヒナタは《ドギラゴン》に手を掛ける。
震えは——止まらない。
だから、もう1方の手で手首を掴む。
「燃え上がる紅蓮の魂よ、無限の剣となって新たな時代を切り開け——《燃える革命 ドギラゴン》の”革命0”発動!」
——鎖は解かれ、剣は無尽蔵なエネルギーを糧に蒼く輝いた。
ヒナタの迷いもまた、解き放たれたのだ。
——後輩に見抜かれるなんて——俺もまだまだだな——よし、行くぜ!!
「《ドギラゴン》は攻撃するとき、アンタップする!! つまり、無限攻撃だ!!」
会場の止まらない歓声と共に。
聖羽衣側からのどよめきと共に。
そして、後輩の希望も全部背負い、《ドギラゴン》は飛ぶ。
「1撃目、T・ブレイク!!」
薙ぎ払われたシールド。
しかし、其処に反応は無い。
そのまま更に剣が振り下ろされる。
「2撃目、T・ブレイク!!」
焦りを隠せないキイチ。
既にシールドは残り4枚。
だが、それでもなお、更に攻撃していく。
「3撃目、T・ブレイク!!」
そして、残るシールドは1枚。
そして——
「4撃目、最後のシールドをブレイクだ!!」
——獅子怒の最後のシールドが収束した。
「させぬ……させぬわぁぁぁぁーっ!!」
次の瞬間、再び虚空に天獄への門が開く。深淵の天使が再びその姿を現した。
「S・トリガー、《ヘブンズ・ゲート》を使い、光のブロッカーを2体までバトルゾーンに出す!! 《ミルメコレオ》と《メキラルコ》をバトルゾーンに!! 《メキラルコ》の効果で、《ドギラゴン》を無力化だ!!」
次の瞬間、蟻の四肢と触覚が生え、《ドギラゴン》は一気に失速する。
しかし、まだ動ける。
そのまま最後の一撃を叩き込む。
「《ドギラゴン》でダイレクトアタック!!」
「《メキラルコ》でブロック!!」
効果は復活するものの、既にアンタップし損ねたため、《ドギラゴン》はもう起き上がれない。
しかも、《ミルメコレオ》の毒にやられ、そのまま破壊されてしまう。
「《ドギラゴン》すまない——ターンエンドだ!」
「ッ……!! ヒナタァァァァァーッ!!」
叫ぶキイチ。
8枚のマナをタップし、最後の攻勢に出た。
「《永遠のリュウセイ・カイザー》召喚!! ダイレクトアタックだぁぁぁーっ!!」
流星の龍が飛ぶ。
通れ、通れ、通れ!!
その願いは——
「遍く知識の集積よ、遍く異変への防壁となれ——」
「希望と勝利と伝説の証よ、大いなる鎧と盾となり、俺を守れ——」
『——革命2、発動!!』
——2つの革命が合わさると同時に、阻まれた。《プラズマ》の効果で《スパイラル・ゲート》が発動し、《ミルメコレオ》がバウンス。
更に《リュウセイ》の攻撃は、既に場に居ないはずの《ドギラゴン》によって阻まれた。
それにキイチは驚きが隠せない。
「そ、そんな——しかも、そいつは破壊されたはず——」
「《ドギラゴン》の革命2は登場時効果。つまり、次の俺のターンまで、あいつが除去されても俺達は負けないしお前らは勝てない」
「ッ!! そ、そんな、馬鹿な!! む、無意味だったってことか!? 今の攻撃は——」
「どうやらキイチ君——此処までのようだ」
獅子怒はノゾムの方に目を向ける。
そして——彼は一気に叩き込んだ。
勝利の一撃を。
「証明完了——《革命龍程式 プラズマ》でダイレクトアタック!!」