二次創作小説(紙ほか)
- Act2:狩猟者は皮肉か? ( No.33 )
- 日時: 2014/06/15 21:39
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
「お前に手札は与えない。ターンエンドだ」
まずい。ぎりぎりまで追い詰めて、一気に攻め込む作戦らしい。
だが、こちらも負けてばかりではいられない。
「オレのターン! 《アクア隠密 アサシングリード》召喚! 効果で《オンセン・ガロウズ》をバウンス!」
アクア隠密 アサシングリード P 水文明 (4)
クリーチャー:リキッド・ピープル閃 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンにあるカードがすべて水のカードなら、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
サイキック・クリーチャーをバウンスした場合、問答無用でそのクリーチャーは超次元ゾーンへ逆戻り。
破壊よりもコストが軽くなりやすいバウンスがサイキック・クリーチャーへの対抗手段なのだ。
「《アクア忍者 ライヤ》召喚! 効果で《アサシングリード》を手札に戻すぜ!」
さっきのキイチと似たような戦法だ。《アサシングリード》を手札に戻すことで、効果を使いまわすつもりなのだ。
アクア忍者 ライヤ UC 水文明 (1)
クリーチャー:リキッド・ピープル閃 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを1体、バトルゾーンから手札に戻す。
《ライヤ》は1マナでパワー2000というスペックの持ち主だが、1ターン目から召喚するには向いていない。何故なら、登場時に自分のクリーチャーを1体手札に強制送還(《ライヤ》も当然対象範囲)してしまうため、意味が無い。
だが、このように出したクリーチャーの登場時効果を使いまわすには使えるのだ。
「《サイクロペディア》でW・ブレイク!」
「トリガーなし、か」
吐き捨てるようにキイチは言った。
「ターンエンドだッ!」
「うーん。このままでは積むな。なーんて。まァ良い。俺のターン、《剛腕の政》進化-------------《スーパー大番長 「四つ牙」》に!!」
《カチコミの哲》の体が一気に膨れ上がり、炎に包まれた。
同時に、雄たけびが上がって巨大な体躯を持つビースト・フォークの《「四つ牙」》が現われた。
背景ストーリーでは《俊足の政》が進化した姿らしい。厳密には少し違うが、同一人物から進化させるというところは曲がりなりにも彼の拘りか。
スーパー大番長「四つ牙」(クワトロ・ファング) SR 自然文明 (6)
進化クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 9000
進化−自分のビーストフォーク1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を自分のマナゾーンに置いてもよい。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を自分のマナゾーンに置いてもよい。
W・ブレイカー
「《「四つ牙」》は、唯のビーストフォークじゃねえ。大番長だ。番長はまず、何をするか。まず子分共のためにマナを増やす」
山札から2枚がマナに置かれた。現在、タップされていないキイチのマナは残り4。
「んでもって、子分が進化する。《カチコミの哲》進化、《諸肌の桜吹雪》!!」
諸肌の桜吹雪 VR 自然文明 (4)
進化クリーチャー:ビーストフォーク/ハンター 6000
進化−自分のビーストフォーク1体の上に置く。
ガードマン
W・ブレイカー
このクリーチャーがタップされていて、相手のクリーチャーが攻撃する時、そのクリーチャーは可能であればこのクリーチャーを攻撃する。
----------ガードマン持ちは良いとして、標的を自分に定める効果だと!?
しかも、パワー6000のW・ブレイカーだ。
「さあ、《アパッチ・ヒャッホー》でシールドをブレイク。そして《諸肌の桜吹雪》でW・ブレイク」
「S・トリガー、《アクア・サーファー》で《「四つ牙」》をバウンス! 後は《スパイラル・ゲート》で《諸肌の桜吹雪》もバウンス!」
「《火焔タイガー・グレンオー》でシールドをブレイク」
ターンエンドだ、と冷たく告げた。シールドは既に無い。
「オレのターン! 《月英雄 碧鎧のルーン・ツールC》召喚!」
『任せて、ノゾム! あたしの効果でコスト6以上のS・トリガーは発動できない!』
《ルーン・ツール》を見たキイチは少し怪訝そうな顔をした。
見たことも無いカード。しかし、ホログラム発生マットが認識しているということは、偽造して作られたカードではない。
(何だアレは?)
「マナ武装7で山札からカードを選んで2枚手札へ!」
しかし、ブロッカー1体でどうにかなる問題でもない。それでもノゾムは最期まで足掻こうとする。
いける。
「《サイクロペディア》でW・ブレイク!」
「ちッ、雑魚が。俺のシールドを全部持っていくか! ムカつくぜ」
青筋立つキイチ。だが。
「だがな、S・トリガー----------《特攻の菊》ッ!!」
だが、S・トリガーが現われる。《ルーン・ツールC》の効果で阻むことが出来るのはコスト6以上のS・トリガーのため、コスト5のトリガーは防げない。
「くそっ!!」
ダメだ。これ以上は攻撃しようと思っても、阻まれてしまう。
「俺のターン、進化《スーパー大番長 「四つ牙」》!! そして、ダイレクトアタック!!」
***
「ったく獅子怒さん、期待外れですよ、コイツら」
「そうか」
「ったく、ゴミばっかでほんと拍子抜けですわ」
「そこらへんにしておけ」
獅子怒が唸るように諭した。
「ですがね、獅子怒さん」
「私の言う事が聞けないかね」
ビクッ、とそのときだけキイチの肩が震えた気がした。
何も言い返すことが出来ない。ヒナタもノゾムもキイチの実力を前にして敗北したのだから。
「ガキはまだ良いとして-----------ヒナタ。やはりお前は弱くなったな」
「ッ---------!!」
「今日は鎧龍の視察とてめーらがどれだけの実力を誇るのかを見にワザワザ大阪まで獅子怒さんに連れてこられたのに、残念だぜ」
どうやら、後ろの大男、獅子怒にキイチは連れてこられたらしい。
一体、何のために、という疑問が浮かんだ。
それを問うと、憫笑しながらキイチは答えた。
「知らないのか? もうすぐ、この世界中がデュエリストによって1つの戦場と化す--------------つまり、デュエリスト養成学校の1番星を決める大会が開かれるのよ」
「何だと?」
「何も知らないみたいだな」
獅子怒が続けた。
「最強のデュエリストチームを決める世界大会------------D・ステラ。それが開かれることが決定した」
「な、世界大会!?」
「そうだ、年齢制限は中学生という規律がある上に(つまり無頼シントが参加できない)エル・ヴァイオレットの転校-----------現在、鎧龍の中で有力なデュエリストはお前だ。暁ヒナタ」
しかし、期待外れだったらしい。後日、鎧龍にもその通達が送られる予定だという。
「今年、世界一になるのは、この”獅子怒シド”率いる我々聖羽衣だ」という言葉を残すと、つかつかと2人は店を出て行った。
ヒナタとノゾムに圧倒的な敗北感を残して。
「俺--------分かるぜ。あの獅子怒シドって人、すっげぇ強いって---------キイチの足元にも及ばなかったのに、俺は-------どうしてこんなに弱いんだ!!」
「先輩……」
***
「外道を装うっつーのは、やっぱ苦しいもんですね」
俯いたままキイチは言った。
「すまなかったな」
「いや、あいつに渇を入れるには丁度良かったでしょ」
彼は帰りの電車の中で、隣の大男にそう返した。
「だが、何より気になるのはあのカードだ。これは今年のD・ステラ、荒れるぞ--------------」
その瞳は、何より闘争心と期待に満ちていた。