二次創作小説(紙ほか)

Act9:伝説/始祖VS偽龍/偽神 ( No.343 )
日時: 2016/08/22 12:23
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「何、そいつ……!!」
「さあ、何でしょうね!!」

 ギョギョギョ、と産声を上げる始祖龍を前にして、初めて有栖川ツグミは動揺らしい動揺を見せた。
 しかし。最早鎧龍のシールドは0。このターンに殴り勝てる打点があるわけでもない。

「ターンエンド」

 それはコトハも分かっていたのか、素直にターンを終える。
 初めて感じたこの焦燥感。ともかく——今は彼女達を倒すことに全力を注ぐしかない。
 ——ブロッカーは2体しかいない……だてんせーせいなら《鬼羅丸》だけでもどうにかなるかも。それならこわいのは、つぎのたーんの暁ヒナタの暴走——

「呪文、《トンギヌスの槍》——その効果で《バトライ閣》を消滅させるかも」

 次の瞬間、槍が飛んでいき、《バトライ閣》は一瞬にして崩れ去る。
 カード除去であるがゆえに、問答無用なのだ。

「ターンエンドかも」

 そして——もう、このデュエルで自分に出来ることが無いと悟ったヒナタは——いや、正確に言えばコトハに任せても問題が無いと確信したヒナタは、彼女に言った。

「任せて良いんだな」
「……あたしを誰だと思ってんの、ヒナタ」
「口うるさくて、可愛げが無いけど世界一頼れる委員長」
「よろしい♪」

 にっ、とまた彼女は笑って見せる。
 可愛げが無いと言った矢先に思わずそれに見とれてしまうヒナタだが——最後まで自分に出来ることをやるしかない。
 しかし、引いたカードは此処に来てブーストカード。
 そのままターンを終えることにする。
 ——やれやれ。後はあいつ次第だな——!
 続く真胴のターン。
 此処で、全てが決まると言っても過言では無かった。

「まあ良いでしょう。いい加減、そろそろくたばってもらわねば困るのですよ。12枚のマナをタップ」

 彼は言い放つ。
 最早、彼もこれで決めるしかないのだ。




「《超絶奇跡 鬼羅丸》を召喚——」
「《革命目 ギョギョウ》の効果発動」



 虚空が裂かれて、ゼニスがその姿を現す。
 しかし。それに反応するかのように、《ギョギョウ》の下にある大地が揺れた。

「その効果で、そいつよりもコストの低い《龍覇 セイントローズ》をマナから出す!!」



革命目 ギョギョウ VR 自然文明 (6)
進化クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン/革命軍 8000
進化−自分の自然のクリーチャー1体の上に置く。
W・ブレイカー
相手のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、そのクリーチャーのコスト以下の、自然の進化ではないクリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
革命2−自分のシールドが2つ以下なら、このクリーチャーの召喚コストを5少なくする。
 


「マナは染色させているから、あたしのマナのカードは全て自然文明としても扱えるわ! よって、《真聖教会 エンドレス・ヘブン》をバトルゾーンへ!!」



真聖教会 エンドレス・ヘブン  ≡V≡  光文明 (5)
ドラグハート・フォートレス
自分のクリーチャーが破壊された時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
龍解:自分のターンの終わりに自分のシールドの数が相手のより多ければ、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。



 《ギョギョウ》と《コートニー》、そして《ニャス》が大地に祈りをささげると同時に、《セイントローズ》が現れ、更に聖なる教会が現れる。
 この時、真胴は既にこの壁が突破不可能であるものだと察した。
 自分がクリーチャーを出す度に、相手はそれよりもコストの低いクリーチャーをマナから出せる。
 そして、更にブロッカーを破壊すれば、《エンドレス・ヘブン》の効果でシールドが増える。
 つまり、最早打点を並べただけではもう勝てないのだ。

「くっ、《修羅丸》の効果で3連ガチンコ・ジャッジ——!! 対象は、貴方です暁ヒナタ!!」
「くそっ……だけどもう、そっちも切札はそこまで残ってないはずだぜ!!」

 互いに3枚のカードが展開される。
 1度目、ヒナタの《ミツルギブースト》コスト5に対して、真胴が《トンギヌスの槍》コスト6。
 2度目、ヒナタの《モルト「刃」》コスト9に対し、真胴が《サイバー・W・スパイラル》コスト9。
 3度目、ヒナタの《メンデルスゾーン》コスト2に対し、真胴が《暴剣超邪 ハリケーン》——!

「——《トンギヌスの槍》の効果で《ボアロパゴス》を消滅させます」

 次の瞬間、不沈の遺跡は一瞬にして崩落した。
 更に、現れた2体の巨大クリーチャーがコトハのブロッカーを目がけて攻撃を仕掛ける。

「《W・スパイラル》の効果でブロッカーの《セイントローズ》と《シール・ド・レイユ》をバウンス! そして、《ハリケーン》で《セブ・アルゴル》と《ギョギョウ》をフリーズ!」
「《W・スパイラル》と《ハリケーン》に反応して、《ギョギョウ》の効果でマナゾーンからもう1体の《シール・ド・レイユ》と《無双恐皇 ガラムタ》をバトルゾーンへ!」

 次の瞬間、再び現れた聖霊の龍の咆哮により、《W・スパイラル》と《ハリケーン》はその身をシールドに封じられる。

「わりぃ、コトハ。また負けた……!」
「大丈夫よ。相手の構築が元々勝ちやすいように大型ぶち込んでたんだわ。でも、もう大丈夫。こっちにはまたブロッカーが居る。相手の攻撃はもう、通らない」

 見れば、もう真胴の場には《鬼羅丸》しかいない。
 対するコトハの場にはブロッカー《シール・ド・レイユ》がいる。
 もう、彼の攻撃は通らなかった。

「ターン……エンド」
「それじゃあ、あたしのターン」

 やっとここまで来た。
 そして——カードを引いた。
 ヒナタの方を向く。彼も頷いた。相手のシールドは7枚。対するコトハの場には《ベニジシ・スパイダー》2体と《ボアロジー》、《シール・ド・レイユ》、《コートニー》や《ニャス》、《ガガ・パックン》、《ガラムタ》の8体が攻撃可能。
 コトハは一斉攻撃を仕掛けたのだった。

「《ガラムタ》でシールドをブレイク。そして——この子が攻撃するとき、もう誰もこのターンの終わりまで「S・トリガー」を使うことはできないわよ」



無双恐皇ガラムタ SR 闇/自然文明 (6)
クリーチャー:ダークロード/アース・ドラゴン 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:デスパペットおよびビーストフォーク(このクリーチャーを召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分のデスパペットまたはビーストフォーク1体につき1少なくなる。ただしコストは2より少なくならない)
このクリーチャーが攻撃する時、このターンの終わりまで、誰も「S・トリガー」を使うことはできない。




 デュエマに於ける逆転の根幹を封じるカード。それが《ガラムタ》だった。
 最早、大地の怒りを納める方法は無い。
 ——詰んだ、かも——!? 痛ッ……!?
 次々にシールドを割られながら——ツグミは、自身の身体に異変が起こっていることに気付いていた。
 しかし。
 最早語るまでも無い。大地の生み出した多大な軍勢を前に——無力にも平伏すしかないのだ。

「有栖川ツグミ。あたしはあんたを恨んではいないわ。むしろ感謝もしてるのよ。だから、たっぷり礼で返してあげる」

 最後の一撃が、零央学園チームへ突き刺さる。
 コトハの勝利宣言によって。



「《薫風の面 ニャス》で——ダイレクトアタック!!」