二次創作小説(紙ほか)

Act10:伝える言の葉 ( No.346 )
日時: 2016/08/24 10:07
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 現れたのは、何時かの《アピセリン》であった。
 以前同様、片方にだけ生えた銀蝿の羽に、長く伸びた純白の翼、そして血のように赤いアルビノの瞳。
 だが——今度は、手足に課せられていた枷が——外れている。
 そして、その小ぶりな尻、正確に言えば尾てい骨の辺りから再び蟲のような巨大なクリーチャーが尾を生やすようにして現れたのであった。

「な、何度見ても気色の悪いクリーチャーね……!!」
「《アピセリン》の登場時効果。超次元ゾーンからB(ベルゼ)・コアを持つクリーチャーを1体、バトルゾーンに出す。出てきて、《暴食の天魔 バアル・ゼビュー》」

 次の瞬間、今度は蝿のようなクリーチャーが現れた。
 しかし、頭部には人の顔のようなものが付いており、呻いている。
 見た目の醜悪さもあって、とてもぞっ、とするクリーチャーであった。

「さて——《バアル・ゼビュー》の効果で、もう私のB(ベルゼ)コアを持つクリーチャーはクリーチャーや呪文の効果で選ばれない。そして——この子は自分のマナゾーンのカードを無色としても扱う効果を持っている」
「なっ!? マナを脱色するのは《シューメイン》だけじゃないっていうの!?」
「マナ脱色……そうなのか!? そう呼ぶべきなのかコレ」

 更に、追い打ちを掛けるようにしてツグミは言い放つ。

「ターン終了時に《アピセリン・ホロウ》の零式マナ武装7発動——マナゾーンに無色カードが7枚以上あれば——この子の効果が発動する」

 次の瞬間、《アピセリン・ホロウ》の蟲部分が咆哮する。
 同時に大地は荒れ果て、そして食らい散らかされたマナが氾濫した——

「山札の上から2枚をマナゾーンに置き、マナの中のカードを1枚を山札に戻してシャッフルする。ターンエンド」

 ツグミ
 手札3
 マナ9
 墓地3
 next turn:ヒナタ

「ヒナタ、気を付けて! 奴の武装条件が分からないけど、ああやってステラアームドを呼び出したってことは……もう、あいつは完全に目覚める一歩手前なのかもしれないわ!」
「分かってる! 武装だけはさせたくねぇところだな! だけど、どうしよっかね……ただ、殴るだけじゃ……」

 カードを引くヒナタ。
 そこあったカードを見て、思わず頬を緩めた。

「それじゃあ、久々に頼んだぜ、相棒!!」

 7枚のマナをタップする。
 生み出されるのは灼炎のマナ。そこから——黄金に輝く9つの尾が揺れた。




「黄金の九尾を携えし、聖獣よ!! 今、この俺と鼓動をあわせろ!! 咆哮せよ、そして開闢せよ!!
《尾英雄 開闢の白陽》!!」



 揺れる9つの青白い炎。
 そこから、真紅に染まった槍を掲げる九尾の英雄が姿を現す。

『やれやれ。また相手はステラアームドか。まあ良い。私の力を使うのだろう?』
「ああ! 《ガントラ・マキシバス》に《デトロイト・テクノ》の力を”貼り付ける”!!」

 次の瞬間、《ガントラ・マキシバス》は大きな咆哮を上げた。
 自身の力に、《デトロイト・テクノ》から写し取った力を乗せたのだ。
 そして——

「頼むぞ! 《ガントラ・マキシバス》でシールドをW・ブレイク!」

 狙うのは有栖川ツグミのシールドだ。
 そのまま2枚が叩き割られた。

「更に、《レヴィア・ターン》でシールドをW・ブレイクだ!」
「ッ……!!」
「ターンエンド」

 一気に割られる4枚のシールド。
 これにより、敵のシールドは残り6枚となったのである。

 enemyシールド6:ニュークリア・デイ(5) ツグミ(1) 手札3→7

 ヒナタ
 手札1
 マナ7
 墓地2
 next turn:ニュークリア・デイ

「私のターン——3マナで《戦慄のプレリュード》を使用し、次に出す無色カードのコストをマイナス5する」

 重々しく告げる偽りの神。
 そして、戦慄の音色と共に新たなクリーチャーが現れた。

「《墓地の守護者 メガギョロン》を召喚。その効果で《戦慄のプレリュード》を再び手札に。そして——《デトロイト》の効果でマナの3枚の無色カードの数字を2にして——残る1マナをタップし、合計4マナで《戒・神聖麒 シューメイン》を召喚——!!」
「出て来たわね……3体目のオラクリオン零式……!!」

 現れたのは仮面を被った聖獣の偽神であった。
 彼の者が吼えれば、大地は再び無へ帰す。
 ニュークリア・デイのマナも染色されていく。

「更に自分のクリーチャーのコストを支払って召喚したので、《シューメイン》の効果で《空腹の超人》をマナから場に出す……!!」



空腹の超人(ハングリー・ジャイアント) R 自然文明 (4)
クリーチャー:ジャイアント/アンノイズ 4000
無色クリーチャーを自分のマナゾーンから召喚してもよい。



「ターン終了だ」

 ニュークリア・デイ
 手札1
 マナ0/7
 墓地2
 next turn:コトハ

「あたしのターン!」

 ——《空腹の超人》——!? 成程、確かにこいつならマナから無色クリーチャーを出せるようになるうえに、マナにある時無色カードとしても扱える零式と相性が良い——! 最早、展開に手札は必要ないとでも言いたげじゃない……!
 つまり。枯渇しかけていた《ニュークリア・デイ》だが、次のターンから一気に攻勢を仕掛けてくる可能性が高くなったと言うことだ。しかも《シューメイン》の効果でマナの全てのカードが無色扱いなのだから。

「なら、今度はコイツよ! あたしは《恐・龍覇 サソリスレイジ》を出して、《恐龍界樹 ジュダイオウ》をバトルゾーンに出すわ! 更に《サソリスレイジ》の効果で1マナを加速する!」

 次に現れたのは、《ジュダイオウ》だ。
 これにより、パワー5000以下のクリーチャーは攻撃が出来なくなる。
 更に、この盤面ならヒナタのクリーチャーの分のコストも合わせて、龍解条件は達成できる。
 次の自分のターンの始めまでに何も無ければ、の話であるが——

 コトハ
 手札5
 マナ0/9
 墓地2
 next turn:ツグミ

「——私のターン。ターンの始めにマナからカードを5枚——山札の上に好きな順で戻す」
「……え」

 突如。
 奇怪な行動をとったツグミ。そして——コトハは戦慄する。
 その意味を理解して——
 ——まさか!?

「これにより、《バアル・ゼビュー》の武装条件達成——星芒武装」



片翼の天姫星 アピセリン・ホロウ 無色 (7)
クリーチャー:ワーム・コマンド・ドラゴン 7000
B(ベルゼ)・コア
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、B・コアを持つステラアームド・クリーチャーを1体、超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。マナゾーンにカードを1枚置く。それが無色カードならば、カードを1枚引く。
零式マナ武装7—ターンの終わりに山札の上から2枚を自分のマナゾーンに置いてもよい。その後、マナゾーンからカードを1枚選び、山札に戻してシャッフルする。



暴食の天魔 バアル・ゼビュー  無色 (5)
ステラアームド・クリーチャー:ワーム・コマンド 5000
B・コア
相手がクリーチャーや呪文の効果で自分のクリーチャーを選ぶとき、自分のB・コアを持つクリーチャーを選ぶことはできない。
自分のマナゾーンのカードは全て無色カードとしても扱う。
星芒武装:ターンの始めに、カードを5枚、自分のマナゾーンから山札の一番上に好きな順で置く。そうした場合、このクリーチャーを《アピセリン》と名のつくクリーチャー1体の上に置く。


 その言葉が言い放たれると同時に、《アピセリン》の赤い瞳が光った。
 大地の全てを食らい尽す悪魔が今、目覚める。
 流れ込む魔力に身を任せ、その身体は変態していく——武装し、完全となった成虫へと。




「それは、純白の悪魔——世界を食らい、虚無に還す純白の悪魔。今こそ目覚め——武装せよ。
《暴食の魔天姫(バアル・エンプレス) アピセリン・ゼブルビュート 》」