二次創作小説(紙ほか)

Act10:伝える言の葉 ( No.347 )
日時: 2016/08/24 11:59
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 それは、純白に染まった悪魔であった。
 天使のような装飾に身を包み、羽も先ほどの蟲のものではなく、羽毛の生えた羽だ。
 だが、何処か禍々しい。
 赤い瞳や、棘の生えた蝿の足の意匠を感じる脚の装具など、純白の天使を思わせる容姿でありながら、確実に悪魔と言える要素をそれは兼ね揃えていた。
 先ほどのような蟲のクリーチャーは見当たらないが故に、より人に近くなった印象さえ与える。しかし。溢れ出る漆黒のオーラが、禍々しさに拍車を掛けていた——!

「そんな……!! 止める術無し、だったってことか……!!」
「《アピセリン・ゼブルビュート》の効果発動。このクリーチャーの武装に成功した時、山札の一番上を捲る——それが無色カードならばコストを支払わずにプレイする」

 純白の悪魔は、自らの得物である弓矢を掲げた。
 そして、それが地上に黒い雷を落とし——新たな神を生んだ。
 
「場に出すのは——《神青輝 P・サファイア》」



神青輝 P(プログレ)・サファイア  ≡V≡  無色 (9)
クリーチャー:オラクリオン 9000+
スピードアタッカー
パワーアタッカー+3000
T・ブレイカー
このクリーチャーが相手のシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに見せる。相手はその中から、「S・トリガー」を持つカードをすべて自身の手札に加え、その後、残りを墓地に置く。(相手はその「S・トリガー」を使ってもよい) 



「《P・サファイア》……!!」
「更に、クリーチャーだったので効果発動——」

 次の瞬間、更にもう1本、《アピセリン》が地上に黒い雷を落とした。
 そして——もう1体の《サファイア》が姿を現す。
 
「ふ、増えたぁ!?」
「嘘でしょ……!?」
「嘘じゃない。《アピセリン・ゼブルビュート》の効果——この時出したカードがクリーチャーならば山札から同じ名前のクリーチャーをもう1枚場に出せる」

 場に出す、だからゼニスの効果は使えないけど、と彼女は付け足した。
 だが、それにしても恐ろしい効果だ。

「マナをチャージ——そして呪文、《トンギヌスの槍》。効果で《白陽》を山札の下へ」

 再び、黒い雷が撃ち込まれた。
 今度は、白陽の胸を巨大な槍が刺し貫いていた——!!

『ガハッ……!! ヒナタ、すまない……!!』
「白陽!?」
「更に《ゼブルビュート》の効果発動。同じ名前の呪文を山札から唱えるかも」

 次の瞬間、今度は《ジュダイオウ》が巨大な槍の前に打ち砕かれた。
 ——や、やべえ……!! 《トンギヌス》の槍で最大2枚を確定除去——おかしいだろ!? もしも《UKパンク》が居たら、6枚のカードがぶっ飛ぶんだぞ!?
 これで、場のクリーチャーの殆どが一掃されたと言ってもいいだろう——そして、半壊した場に、2体の《サファイア》が攻撃を仕掛ける。
 
「《サファイア》2体でシールドを攻撃——」

 ブロッカーの居なくなったシールドへ、2体の《サファイア》が攻撃を仕掛けた。
 S・トリガーで無ければ、シールドを直接墓地へ叩き込むサファイアは敵に回せば非常に凶悪な難敵となる——

「1体は《デカルトQ》でブロック!」
「そのまま、もう1体でも攻撃。暁ヒナタのシールドをT・ブレイク」

 ブロッカーの居なくなった場に、一気に攻撃が叩き込まれた——シールドが燃えていく。
 1枚、2枚と燃えていく——!
 更に、割れた破片が熱を持ってヒナタ達に襲い掛かった。

「きゃあっ!?」
「くそっ……痛ッ……!!」

 思わず、裂かれた箇所を抑える。
 腕だ。腕が熱を帯びて痛み出す。一方のコトハは、脚を裂かれたらしい。そのまま項垂れるように、崩れ落ちた。
 しかし——そのうちの1枚は焼け落ちなかった。
 S・トリガーだ。

「ッ……S・トリガー《天守閣 龍王武陣》! 効果で山札の上から5枚を捲り、その中から火のクリーチャーを選んで——よし、《爆剣豪 グレンモルト》を俺は選択だ! そのまま、そのパワー以下のクリーチャーを1体破壊する! 破壊するのは——《アピセリン・ゼブルビュート》だ!」

 浮遊する城の砲門が開き、《アピセリン》を狙う。
 そして——捉えたと同時に斉射し、撃ち落したのだった。

「ッ……やられた……!! だけど、《ゼブルビュート》が場を離れた時、山札の上から5枚をマナゾーンに置く……!!」



空虚の魔天姫(バアル・エンプレス) アピセリン・ゼブルビュート 無色 (12)
スターダスト・クリーチャー:デビル・コマンド・ドラゴン 12000
B・コア
このクリーチャーの武装に成功したとき、山札の一番上のカードを表向きにする。それが無色カードならばコストを支払わずにプレイしても良い。それがクリーチャーだったとき、山札から同じ名前のクリーチャーを1体、バトルゾーンに出す。
自分が無色のカードをコストを支払って使った時、マナゾーン、または山札を見てその中から同じ名前のカードをプレイする。こうして山札を見た時、山札をシャッフルする。
自分の無色カードのコストを1少なくなる。
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンを離れた時、山札の上から5枚をマナゾーンに置く。


 
 次の瞬間、ツグミのマナが一気に増加した。
 地を食らう悪魔は倒れても尚、大地を暴走させるのだ。

「何とか止められたか……! だけど」

 鎧龍シールド7:ヒナタ(2) コトハ(5) ヒナタ手札1→2
 
 ツグミ
 手札2
 マナ5
 墓地5
 next turn:ヒナタ

 とはいえ、被害の割に手札の補充が出来なかったのは痛い。
 更に、相手にはまだ後続のカードがあるのだ。止め切れるか、分からない。

「——コトハ、大丈夫か?」
「……まだ戦える、だけど……脚が……!」

 見れば、裂かれた彼女の足は破片で酷い傷になっていた。

「だけど、まだ戦える……! 肩を、貸して?」
「おい、無理だろ!?」
「うるさい!! あんたの、隣で倒れなんかしないわ……! そうしたら、あたしは自分が許せなくなる……あんたの隣だから、あんたがいるから頑張れるんだから!!」
「……コトハ」
「だから、肩を貸して頂戴!! そうすれば、あんたの隣なら、まだあたしは戦えるから!!」
「……ああ、分かった。無理はするなよ」
 
 ヒナタが手を差し伸べる。
 それを掴み、コトハも立った。
 そして、彼女にヒナタが肩を貸す形になった。

「俺のターン!!」

 カードが手に渡る。
 そして、正面に浮かぶ手札を見て——そこから、左手で1枚を払った。

「《次元龍覇 モルト「覇」》を召喚! こいつはスピードアタッカーだ! そのまま、《P・サファイア》に攻撃する!!」
「自爆特攻か!?」

 《グレンモルト「覇」》のパワーは7000。対する《サファイア》のパワーは9000。このままでは、どう考えても前者の負けであるが——ヒナタは考え無しに無謀な勝負を挑みに行ったわけではなかった。



「いーや、違うぜ!! 攻撃時にこいつのマナ武装7が発動し、超次元ゾーンから《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》を出す!!」