二次創作小説(紙ほか)

Act11:連鎖反応 ( No.352 )
日時: 2016/08/25 08:25
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

「テメェら、よくやったなコノヤロー。遂に鎧龍は世界への進出を決めた」
「未だに実感沸きませんけどね……」

 後日。
 武闘ビルで再びミーティングがあった。
 D・ステラ本選は、新学期が始まった後に始まるらしい。壮行式などもやった後で、遂に海外での戦いが始まると言う。

「そして、有栖川ツグミの件。それについても、また追々話していくことになるからな。今は奴がぶっ倒れて入院してるから何とも言えんが」
「本当、一体何だったんでしょうね……」
「それとだ。もう1つ言っておかなければならないことがある」
「何ですか?」

 改まった顔でフジは言った。




「——D・ステラ本選より、英雄達——つまり白陽達の使用を解禁する」




 その場に、衝撃が走った。
 今まで、鎧龍の試製カードではない星の英雄達は、言うまでもなく門外不出の秘密。
 故に、大会で使うことをフジから禁じられてられていたし、ヒナタ達もそれで同意していたのだ。

「え、何でですか先輩!?」
『やったよ、ノゾム! あたし達、一緒に戦えるんだ!』
「そ、それはいいけど……何でいきなりまた?」
「此処最近、世界各国で新たなる星の力が観測されつつある——まるで、何かが目覚めたのを皮切りにしてな。無論、実体化するカードなどということは表向きには伏せて貰うが、将来的にD・ステラで何らかの形で星のカードとぶつかることは避けられんだろう。故に、今回このような決断に踏み切った」
「何かが目覚めた……?」
「さあ、何が目覚めたまでかは詳しくは分からん。だが、今まで無かった事態に俺達も頭を抱えている状態だ——」

 世界への進出。
 だが、それと同時にフジは言う。
 何らかの形で何かが動いたことで、何かが連鎖するようにして始まりつつあると言う——

「邪悪龍。コロナ。そして星のカード——どうなるかもう、分からんねコレは」

 全員は黙る。
 何が起こっているのか。これから何が起ころうとしているのか。
 それがさっぱり分からない。
 だが、そんな中——口を開いたのはヒナタだった。

「何が起こってるのか——俺達の目で確かめにいけばいい! 俺達は世界に行くんだ。そこで何があるのか——それは分からねけど」
「ヒナタの言う通りよ。今までだって、色んなピンチを乗り越えて来たんだから!」
「……ヒナタ先輩……如月先輩……そうっすね!! オレ達でやりましょう!」
「どんなスクープが待ち受けているのか……私、もう今からドキドキしてます!」
「全く……大会で勝ち上がり、デュエマに革命を起こすことも忘れてないだろうな貴様等。僕達はデュエマの表と裏、両方の敵と戦うことになるのだから」

 既に、全員の意思は固まっていた。
 世界で一番になる事。星のカードについて調べる事。そしてコロナの事。
 まだ、やるべきことは山ほどあるのだから——




 ***




「……獅子怒さん」
「ああ。我々も、すぐさま海外へ行こう。邪悪龍の動向、この目で確かめねばならぬ」
「ええ分かってますよ」
「我が妹の為だ——何としてでも邪悪龍を撃滅せねば……」

 獅子怒の目は昏い。
 信念に囚われた囚人か、それとも——

「……俺は勿論協力しますよ、獅子怒さん」
「……ああ。ありがとう」

 


 ***



「アマツカゼ。アレの場所は分かるか?」
「……ああ、もうそろそろで割り出せそうだ。だけど、まだ解放されてないかもしれないね」
「そうか……まあ良い。私自身、まだ早いと思っている」
「そうだね。下手をすれば、あれは君が食われてしまう代物。覚悟は出来ているかい?」
「お前は誰に言っている? 当の昔に——世界を壊す覚悟など、出来ている」

 あるビルの屋上から——彼女は視界に広がる景色を眺めた。
 美しい。
 実に空の色が美しい——憎々しい程に。

「私を捨てた世界をこの手で壊す——そのためには、何だってしてやるさ」




 ***




「——警戒した方が良いのは、ヤーパンのデュエリストだ」
「……」

 1人の少年が言った。
 特に、と彼は続ける。

「我々が勝ち進むのは言うまでもないが、そうなった場合ヤーパンとは必ず当たることになるだろう」
「……鎧龍ですか」
「あー、そうだね。戦艦を空母とか抜かしているような連中——あのアホ共に少々、思い知らせてやらないといけないようだ」

 口角を上げて、彼は言った。




「——何の定義をもって戦艦を戦艦たらしめるのか——そして、最強の空母は誰なのか。身を以て教えてやろうじゃないか」



 ***




「す、すごい……! 鎧龍、予選突破したんだ……!」

 その報せを受けた彼女は歓喜した。
 チームに、自分が良く知っている少年が居たので、鎧龍には元より注目していたのだ。

「とにかく、どうしようかな……多分、もうすぐ会えると思うけど——」

 そわそわとした表情で彼女は言う。




「——暁先輩……!」



 ***




 ——画して。
 D・ステラは遂に世界を舞台にして始まろうとしていた。
 それぞれの物語が今——幕を開ける——